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廃校に泊まる VO.1(岡山県) 

私の旅はいつも当時の情報誌やサイトに無くて驚かれる。
多分、ご縁のおかげでなりたっているから。
今回はその中から廃校をテーマにした旅を3回にわたってご案内。
1回目は岡山県美咲町にあるアーツ&クラフツビレッジです。


僻地に佇む

岡山市内から1時間半。
僻地とよばれるこの場所に国も年齢も違うアーティストたちが集まる豊かな場所がありました。
 
アーツ&クラフツビレッジは旧旭第二小学校、旧中保育所の廃校を再利用した施設です。
人の手を加えない自然農やパーマカルチャーが学べる場所として海外からのワーカウェイも多く滞在し、学び、作品を作り国際的なアーティストや活動家として活躍しています。

まさかこの日の参加者もそうなると思いもせず。

私の住む南大阪から中国道で岡山へ車を走らせること3時間強。高速を降りる頃には五月雨がしとしと降りだしていました。山深くカーブの先が見えない山道。人の影すら無く不安になりかけたその時、私の目にしっとりと佇む木造校舎が飛び込んできたのです。

明治16年に建てられた木造校舎

出迎えてくれたのは原田豊美さんという母親の年齢ほどの優しそうな女性。染・紡・織の作家でもあります。イギリス滞在時にアーツクラフツ運動と出会い帰国後(今から約30年前)に奇跡的にこの地と出会いビレッジの運営を開始されたのでした。
アーツクラフツ運動とは生活と芸術を一致させるというイギリスヴィクトリア時代の思想です。

パーマカルチャーを学ぶ

 
今回、旅の目的は「パーマカルチャーワークショップ」への参加。
「パーマカルチャー」というのは簡単に言うと

人間が存在する前から地球上にある自然のシステムを知ることで、自然と人間が共存しあえる
暮らしのデザインです。

それはとても簡単でシンプル。
すでにそこにあるもの。

具体的には、農法、デザイン、ライフスタイルとどれもが私たちの生活に欠かすことのできないかつ、とても心地よくワクワクする暮らしの創作です。

何より「地球を森林に」という大きなものに向かっているのに実際は家庭の中で実践できること。
ますます「暮らすこと」が大切に思えるきっかけになった旅となりました。

参加者は離島で自然農を営む方や、都会で環境を意識して生活するご家族、年齢も幼児から60代までと様々で1人での参加でもすぐに仲間になれます。

【パーマカルチャーに関する書籍】
自然界には「デザインのパターン」があります。植物の「つる」に見られる螺旋、波型、放射状等でがそれにあたり、直線のものなど存在しない。講師の「朽ちたジャングルは無い」という言葉が印象的。自然が正常に機能していれば人間の手を加えなくても木々や果実は育つ
【雨水タンク製作ワークショップ】
参加者を向こうにビレッジの住人のねこちゃん。雨水タンクとは雨水を再利用できるように貯めておく装置のこと。家庭用雨水タンクの作り方をレクチャーを受ける
【スパイラルガーデン】
石は蓄熱の役割を果たし、日当たりを好む植物、湿地を好む植物を適材適所に植えることで場所を取らずに育てることができるのです。 効率的でかつデザイン性も確立されている事に衝撃を覚えた
ロッキングチェアとロケットストーブのベンチ
【ロケットストーブのベンチ】
ロケットストーブとはドラム缶と土のとてもシンプルな構造で上から薪がくべられるのが特徴。
土のベンチの中にダクトが通っているのでじんわりとベンチが温まる。
土の絶妙なカーブが不思議と身体にフィット

いかがでしょうか。パーマカルチャーのイメージが少し湧いてきましたか?


ランチは手作りの釜でピザを作り海外スタッフの方と一緒にいただく
ごはんを炊くのは「おくどさん」で
子ども達が待ち遠しく見張っているのが可愛い

ビレッジ案内

ビレッジには「木工・染め・糸紬・織り」等のワークショップがあります。

敷地内にある木から綿の実を収穫し、糸を紡ぐところから始まる。貴重な糸車
糸は草木染め、藍染、ベンガラ染めなどで染めることができる
初心者でも簡単にできるようにSAORI織機を始めとした多種多様な織機が揃う
敷地内や地域の耕作放棄地で人の手を加えない自然農を行う。農具までもがフォトジェニック
鶏小屋では玉子を収穫できる
参加者の子ども達が川で捕ったおたまじゃくしと花を入れて遊んでいた。それさえもアート


さて、学んで遊んで食べて頭も身体も満足した私たちの寝床はこちら・・・


ビレッジの隣にある元保育園の保育室!!
(ヴィレッジ内にも宿泊のお部屋がある)


スマホに触れる事も無く自然にまみれた私の身体は
保育室の小窓から見える満点の星空とふわふわの寝袋に包まれ、目を閉じると同時に眠りにつくのでした。
 
いかがでしたでしょうか。
環境問題と聞くと少し小難しい感じですが
パーマカルチャーの考えはとてもシンプル。

自然のシステムを理解し、人間が工夫をすること。
そこにデザインが加わればとても豊かな自然と人の共存が実現するのです。

現地でご一緒した小学生は今、環境問題に取り組むアウトドアブランドのスポンサーが付き、世界中の山を相手にする登山家となりました。ビレッジでの経験が未来に繋がっている事を目の当たりにし嬉しくなりました。


次回は和歌山の廃校にある秋津野ガルデンについて書きます。
 

#私のこだわり旅
#パーマカルチャー
#自然環境
#廃校


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