オーストラリアで人生リセット

少し前の私の話。今なら書けるかもと思って書き進めてみることにした。

2023年7月、オーストラリアの旅。
荷物はバックパックに全て詰め込んで、とにかく逃げるようにして日本を飛び出した。

4月に仕事を辞めて、辞めた翌日にベトナムに飛んで、ただただのんびりと過ごしたものの、心が和らいだ感は一時期で終わってしまい、帰国して国内を転々として東京に戻ってきてからは自宅から出られない日が続いていた。
むしろベトナムに行く前よりもひどい状況にあった。
窓から外を見ても、狭い空に馳せる思いは何もなく…居ても立っても居られないのに何にもできない自分が嫌でしょうがなかった。

家から外に出られないのなら、もういっそのこと日本を出てしまえばいいのだ！という理解不能な思考回路を経て、フライトチケットを買った行き先は、縁もゆかりもないオーストラリア。しかもあちらは冬まっさかり。
わざわざ寒いところに行かなくても…なんてことは冷静になったら考えられるけど、その時の私にそんな余裕はなかった。

出発当日。今回の旅はミニマムに。極力金額を抑え、夜出発〜早朝到着のカンタス航空便にした。久しぶりの外出と電車は緊張するけど、かなり早めに出発したから、途中で気分が悪くなって休憩しても余裕がある。そう思えるだけで心が楽になって、私は安心して成田エクスプレスに揺られていた。
※タイトル写真は成田エクスプレスに揺られる私の相棒（バックパック）

飛行機の出発ターミナルを確認するために、車内でeチケットを開く。
「第２ターミナル…お店とか少ないターミナルだったっけなぁ」なんて考えながら、スマホ画面を閉じようとした時…私はとてつもない違和感に襲われた。

「HND 第２ターミナル」
HND…エイチ・エヌ・ディー

HANEDA！！ハネダ？？羽田空港じゃんか！！！！

成田エクスプレスはNRTに行くやつで、私が向かわないといけないのはHNDで。
はい、パニック。そんなことあるわけないやんと思っていた間違いをやってしまった私自身のことが理解できず、成田エクスプレスの車内で大混乱に陥った私。チェックインはオンラインでできるとしても、空港到着は出発の2時間前、保安検査場は1時間前通過と言われていた。

フライトは20時発。今15:45。あと約40分、電車は成田空港までノンストップ。成田から羽田空港に向かうとして…あーーーパニック。

とりあえずカンタス航空に電話しようとスマホを開くと、電話受付は16時までらしい…！今、15:50。すぐに電話をかける。
長い呼び出し音が続くものの、一向に繋がる気配なし。困り果てて、次はチケットを予約した航空券サイトへ電話すると、すぐに繋がった。

「あの…今夜のオーストラリア行きのチケットを購入した者ですが、羽田出発なのに、成田に向かってますいま私（恥）」
（電話口の人）「え！！？？航空会社はカンタスですか？カンタスにはもう連絡されましたか？」
「それが全然繋がらなくて…電話受付も16時までだったのでもう無理だと思ってこちらにご連絡させてもらいました。」
「そ、そうなんですね、、航空会社によっては荷物受付が2時間前で締切られるので。とりあえず成田空港に到着されたら、羽田空港に移動してください。」
「ですよね、ただ私、荷物はバックパックだけなので、機内持込み予定です。預ける荷物はありません。」
「でしたら少し安心かも…でも急ぐに越したことはないので、とにかくがんばってください！！！」

会ったこともない優しい人からの励ましを受けて、私の心は少し落ち着きを取り戻した。だけど、時間は止まってくれない。
私は無事にカンタス航空のフライトに間に合うのだろうか！？