人生に絶望してベトナムに飛び立った話7〜ホテルの朝食は意外な注文方法〜
早朝のリバーサイド散歩を終えてホテルへ戻り、朝食を求めて建物内の食堂へ。
わたしが宿泊したRoxana River Side Hotelは、3階建てで1フロアに4部屋のみのこじんまりとしたホテル。
今回のホテル選びのマスト条件は「バスタブ付き」「朝食付き」だったので、昨夜の広々バスタブに大満足したわたしは「どれどれ?」という気持ちもあって朝食を待ち望んでいた。
7時から提供開始の食堂に着いたものの、誰もいない。
宿泊客どころではなくホテルの人もいない。
電気も点いていないし、朝ごはんっぽい匂いも全くしない…
なぜだ!?
わたし何か間違えたのかも…と思いドギマギしていたところ、食堂の裏の方から物音がして厨房と思われる扉の影からベトナム人女性がひょっこりと顔を出した。
「Good morning!」
人がいて嬉しかった反動で咄嗟に英語で挨拶し、その女性はわたしをテーブルに促した後こう言った。
「何が食べたい?」
んえ!?
ちょっと言ってる意味わかんないんですけど…状態になったけど、ここではバイキングや決まったメニューのサーブではなく、食べたいものを作ってくれるなんとも斬新なスタイルだった。
とはいえ、何を作ってもらえるのかわからないのでメニューはあるか聞いたところ、ペラペラの紙にズラズラと書かれたメニューが出てきた。
よかった…ちょっと安心。
そこにはいわゆる朝ごはんのメニューがずらりと並んでいて、トーストとスクランブルエッグ、ポーチドエッグ、ベーコンなどの欧米スタイルのものや、フォーをはじめとしたベトナム料理、フルーツ、スムージーなどがあった。
普段朝食を食べないから食欲がない状態だったけど、とりあえずトースト&チーズ入りオムレツとフルーツサラダをオーダー。
「OK!」
女性は厨房へ戻って行った。
ワンオペスタイル、かっこいい。
奥の方から卵を割る音やフライパンのジューっという音。トーストが焼けた「チン!」という音。ようやく厨房っぽい音が聞こえてきてその合間にコーヒーポットが出てきた。
「お好きにどうぞ」
と言われ、早速コーヒーをいただくことに。
昨夜学んだベトナムコーヒーとはなんぞやにならって、ブラックコーヒーにたっぷりのコンデンスミルクを入れていただく。
朝から甘い飲み物しか飲んでないけど、やっぱりおいしい。
ブラックのままだと濃すぎるベトナムのコーヒーには、コンデンスミルクの甘さがちょうどいいみたいだ。
そしてトーストとチーズ入りオムレツも出てきた。
おいしそうな匂いが漂う。
「フルーツは何がいい?」
と聞かれた。
すでにこの食堂の希望を聞いてくれるスタイルに慣れ始めたわたし。
「マンゴーとパイナップルと…」
「ドラゴンフルーツもあるよ」
「じゃあドラゴンフルーツも」
「OK!」
そしてトーストに手をつけたタイミングで、昨夜フロントでチェックインを担当してくれた女性がやってきた。
「おはよう、ご飯はおいしい?なんでも食べたいものをオーダーしてね」
こじんまりとしたホテルならではと言っていいのか、とてもアットホームな雰囲気に心が温かくなった。
※初日の料理は写真撮るの忘れてました…
ちなみにフルーツはとんでもない量が出てきて、マンゴーとドラゴンフルーツは半分ずつ、バナナはまるっと1本。
こんなはずじゃなかった!と思いながらも残すのも申し訳なくて朝から全部たいらげた。
2日目の朝食時間には、初日と同じ女性が待っててくれた。
やっぱり食堂にはわたし一人、貸切状態。
そして今日はホテルの女性に薦められた「カオラウ」というメニューに挑戦してみることに。
カオラウとはホイアンの郷土料理で、太めの米粉麺に、焼豚、揚げワンタンと香草が乗っていて、醤油ベースの甘めのタレに絡めて食べる麺料理。
フォーのように澄んだスープと平たい麺とは違って、器の底に溜まったタレをかき混ぜていただくスタイル。
はじめての味だったけどとっても美味しい!
一説によると、日本の讃岐うどんが発祥とも言われているらしいが、確かに麺のコシがすごくて食べ応え十分。
まぜそばのように麺もワンタンも焼豚も、ぐちゃぐちゃにかき混ぜながらすべてを平らげた。
わたしはフォーよりも断然カオラウ派だな。
その日以来、わたしの朝食は毎朝カオラウになった。
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