なつき

数学を勉強しています. 勉強したことについて投稿するかもしれません. 間違いなどありましたら,教えていただけるとありがたいです.

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マガジン

  • 位相空間論入門

    位相空間論入門の記事一覧です。

最近の記事

G 同変な構造が同伴ベクトル束上に持ち上がって平行な構造になること

スピン幾何の勉強をしていて,クリフォード積はSpin群同変なのでスピン接続に関して平行な構造になるという記述を見たのですが初めはどういうことなのかよくわかりませんでした.(自分が読んでいたのは本間先生の教科書です.) 他のいくつかのスピン幾何の教科書なども参照したのですが,証明は省略されていたのでわかりませんでした. しかし,実はこの事実は同伴ベクトル束の一般論から従うのだということがわかりました. それについてまとめたものを備忘録として置いておきます. 後から自分が見

    • 𝐺𝐿𝑛(𝑅)⁺の基本群

      タイトルにもある$${GL_n(\R)^+}$$とは,行列式が正であるような$${n \times n}$$行列からなる集合です.これは一般線型群$${GL_n(\R)}$$の部分群になります. スピン幾何の勉強をしている途中で$${GL_n(\R)^+}$$の普遍被覆空間が出てきたので$${GL_n(\R)^+}$$の基本群について調べてみました. 結論としては$${GL_n(\R)^+}$$の基本群は$${SO(n)}$$の基本群と一致するので,$${n \geq 3

      • 被覆空間と基本群の関係

        最近,被覆空間の理論について知りたいと思い Singer-Thorpe を眺めてみたところかなり面白かったので,備忘録としてまとめておきたいと思います. ただし,証明まではきちんと追っていないので,万が一間違っていた場合はすみません.詳しく知りたい方は Singer-Thorpe を参照してください. 被覆空間の定義被覆空間の定義にはいくつかパターンがあるようだが,ここではSinger-Thorpeに倣って次のようにする. 例:$${n}$$次元球面$${S^n}$$は

        • Lowring W. Tu のDifferential Geometry 問15.4 解答

          本記事ではDifferential Geometry (Lowring W. Tu 著)の問15.4の自分の解答を公開します.そんなに難しい問題ではないのですが,自分が解くのに結構時間がかかってしまったので,備忘録かつ自戒的な意味もあります. この問題を解くために補題を2つ示しておきます. 証明. $${\langle X, Z \rangle = \langle Y, Z \rangle}$$より$${\langle X - Y, Z \rangle = 0}$$である

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        • 位相空間論入門
          5本

        記事

          Loring W. Tu の Differential Geometry 問題12.5について

          タイトルにある通りですが,Differential Geometry (Loring W. Tu 著)の問題12.5でかなり苦労したので,今後他の方がこの本で勉強する際の参考になればと思い自分の解答を公開しておきます. 記号や言葉の意味はテキストを参考にしてください. 結論だけ言えば,計量にかかっている$${a}$$が関数であるため,§12までの内容だけでは足りず,ラプラシアンというものが必要になってくるのでそれの導入を行なってから解答を書いています. この本の演習問題

          Loring W. Tu の Differential Geometry 問題12.5について

          対角化の幾何的な意味

          今回は行列の対角化の幾何的な意味について自分なりにまとめてみたので書き残しておこうと思います. とは言え,よくされている説明とほぼほぼ変わらないと思いますのでご了承ください. この記事では簡単のためにベクトル空間として$${\mathbb{R}^n}$$(特に$${\mathbb{R}^2}$$)を考えることにします. 基底の変換$${\R^2}$$をベクトル空間として見るとき,我々は(特に高校数学なんかでは)標準的な正規直交基底(標準基底) $$ \bm{e}_1 =

          対角化の幾何的な意味

          位相空間論入門(5)-内部・外部・境界・閉包と開集合・閉集合

          以下では$${X}$$を位相空間とします. 内部・外部・境界・閉包の定義まずは距離空間と同様に,位相空間に対して内部・外部・境界・閉包を定義します. $${\langle}$$ 注意 $${\rangle}$$ $${((A^c)^\circ)^e}$$のようになる場合は括弧を省いて$${A^{c\circ e}}$$のように書くことにします. 距離空間のときと比べてみると全く同じ定義の仕方であることがわかります. 内部・外部・境界・閉包の性質まず,内部・外部・境界・

          位相空間論入門(5)-内部・外部・境界・閉包と開集合・閉集合

          自動微分 と dual number

          先日大学で自動微分について講義を受けて,個人的にかなり面白いなと思ったので,学んだことや調べたことや考えたことをまとめておこうと思います. 自分は少し話を聞いただけの素人なので,書いていることが間違っていたりするかもしれません.お気づきのことがあれば指摘していただけるとありがたいです. ボトムアップ型の自動微分について書きます. 自動微分とはコンピュータで微分を計算するにはどうすればいいでしょうか.微分というのは定義に戻れば極限の計算であり,コンピュータはこのような極限

          自動微分 と dual number

          位相空間論入門(4)-位相空間の定義

          さて今回からついに位相空間に入ります. 位相空間の定義まず位相空間を定義しましょう. 上の定義を言葉で言い換えると,空集合と全体集合を含んでいて,有限個の元の共通部分もまた含まれていて,任意個の元の和集合もまた含まれているような部分集合の族が位相ということです. この定義の3条件は命題3.10から来ています.命題3.10では距離空間の中の開集合が満たす性質として3条件を提示しました.そこで,ここでは逆にこの3条件を満たすような部分集合族を考えて,その元を開集合と呼ぶこと

          位相空間論入門(4)-位相空間の定義

          位相空間論入門(3)-距離空間の復習

          概要位相空間とは開集合が定義された空間であり,位相があると連続写像を定義することができます.連続写像は連続関数を一般化したものと捉えることができます. 位相空間の定義に入る前に距離空間について復習することにしましょう.第一回,第二回と同様に特に大事だと思われる概念や命題を抜粋して書き留めておきます.命題に関しては証明は省略します.次回の位相空間からはちゃんと証明も書いていきます. 関数$${f \colon \R \to \R}$$が連続であるとは,任意の点$${a \i

          位相空間論入門(3)-距離空間の復習

          位相空間論入門(2)-写像の復習

          前回は集合の基本的な部分について復習しました.今回は写像について軽く復習します. 写像写像とは2つの集合の間の元の対応づけのことです.高校まで扱ってきた関数は写像の一種です. 集合$${X}$$の全ての元に対して,集合$${Y}$$の元がそれぞれ1つずつ対応させられているとします.この対応のさせ方を写像といい,写像を$${f}$$とすると$${f \colon X \rightarrow Y}$$と書きます.このとき集合$${X}$$を写像$${f}$$の定義域といい,集

          位相空間論入門(2)-写像の復習

          位相空間論入門(1)-集合の復習

          位相空間についての基礎的な事項を連載していきたいと思います. 初めてnoteで記事を書いてみているので,続きが出るかはわかりません. また読みにくかったらすみません.書き方のアドバイスなどももらえると嬉しいです. 位相空間についての記事なので集合や写像と距離空間に関する初歩的な事項はある程度前提とします. 第一回は集合に関する記号や言葉などの必要事項をざっくりまとめます. 集合集合とは大雑把にはもの(数など)の集まりのことをさし,その集合を構成しているもののことを要素や元

          位相空間論入門(1)-集合の復習