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【読了】『聖獣王のマント』紅玉いづき

読了日:2024年10月25日
紅玉さんのファンタジーってだけで、テンションが上がる!
なんせ、デビュー作の「ミミズクと夜の王」を含む人喰い3部作もファンタジーなので、紅玉いづきのファンタジーにどっぷり浸かれると思うと、嬉しさ、懐かしさがあって、発売前から楽しみにしていました!
(新作ファンタジーは水銀糖Ⅱ以来、5年ぶりとのこと)

装画はMONさんが担当されており、これまでもミミズク、毒吐姫、MAMA、雪蟷螂の完全版も担当されています。
MONさんのイラストも好きですし、
紅玉いづき×ファンタジー×メディアワークス文庫といえば! という感じ!
統一感もあって良いですね!
(MONさんは他に西尾維新・伝説シリーズ文庫版の装画も担当されてます)

少女は王となった。紅玉いづきが贈る、ドラマチックロマンファンタジー!!

どうして、わたしなんかを選んだの?

行き場もなく夜の街をさまよっていた家出少女チル。ある夜、路地裏に突如降ってきた黄金の髪を持つ美しい男。その口が発したのは――「うまれかわりを、のぞまれますか?」「我が王よ」
かくして、チルは異世界に取り込まれる。破れたマントを胸に抱えて迷い込んだのは、かつて豊かな織物の国と呼ばれた動乱の国リスターン。
一度はすべてを諦めた無力な少女は、荒廃した国を救い、王となり得るのか。少女文学の旗手が贈る、ドラマチックロマンファンタジー。
『ミミズクと夜の王』から17年。こんな紅玉いづきを、待っていた!!

kadokawa.co.jp


・いろいろなことに苦しみ、それでも生きることを諦めずにいてくれること
序盤、チルの周りの世界は悲惨なもので、自分を売ろうとすることが正しいかというと、もっと他にやりようはあったのかもしれない。けれど、彼女が考えうる方法の中で、少なくとも生きる選択肢を選んでくれているのが嬉しい。現実にはクリキュラはいないかもしれないけれど、それに変わる何かに出会えるはず。だから、みんな、生きる選択肢を選んで。

・子どもの意見を尊重してくれる世界
マニージェ、ビージャンだけでなく、織師たちもチル決断を尊重したり、彼女の安否を心配したりしている。それを当然と思えている世界って、尊くないですか!? 
ヒステリックに叱り、叩く母親や、養育費を支払わない別れた父親がいた世界。そんな世界で生まれ育ったチルがマニージェたちと出会えて良かった。子供のことも一個人として尊重する大人たちと出会えて良かった。

最後には、聖なる剣の国の存在が明らかにされており、時代こそ明記されていませんが、
もしかしたら、チルたちとミミズクが同じ世界、同じ時間に存在しているかもしれない!!!!
過去作との繋がりがあるのはファンとしてはワクワクしますね!!

異世界に踏み込み、その世界の戦いに巻き込まれるチル。周りの人たちや戦い、クリシュナとの出会いを通じて自分の進むべき道を探す。
少女の成長物語というには短い時間の物語。
けれど、リスターンで王位に就くという大きな決断をする。きっと王になった彼女は、この先多くの決断を迫られるし、更なる成長を求められることだってあるかもしれない。
本物語は飽くまで、チルという少女の人生の一瞬を切り取った物語。
とても濁っていて、輝いている一瞬を切り取った物語。

この先のリスターンの行方に想いを馳せ、
そして、またどこかでチルたちに会える日を夢みて。

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