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#28 目を離した隙に
切られた茎が伸びた。
風の丘ガーデンの研修3日目、茎を切ることで茎がさらに増える頂芽優勢という植物の性質を利用した「ピンチ」という作業を行った。そこから約1ヶ月経った今日、出過ぎた茎がさらに出過ぎた結果、ネメシアという花が晴れて出荷されるに至った。
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自分が手を加えた花が旅立つ瞬間は感慨深い。
植物は目を離した隙に大きくなるので、成長した姿を見たときは驚きを隠せない。
目を離した隙に、と言えば先日妹の誕生日だった。
互いに憎み、妬み、たまに何かが共鳴したかの如く仲良くなったと思えば、ひょんな一言で冷戦へと突入する。彼女のせいで、世のAB型は全て自分勝手な不思議ちゃんだという偏見まで育ってしまった。しかし、大学で家を出てから年に1,2回しか会わなくなり、精神は互いに成熟に向かう。結果、帰省の度に顔を合わせれば「おう」と一言掛け合い、連まず離れず、絶妙な距離感を形成するようになった。
そんな妹が22歳になった。ちょっと目を離した隙に、である。もう立派な大人だ。別に良い兄では無かっただろうが、妹の成長に変な寂しさを感じた。
今年も無言でスタバカードを贈る。
「ありがとう」の一言をもらう。返信はしない。
絶妙な距離感を保ち続けることが兄妹仲を保つ秘訣なんだろうか。
誕生日おめでとう。