現代詩)円
絶えまない彼女の瞳は地球の裏側をみて
揺るぎない彼の眼差しは地球の表側をみる
ふたりの視線は交錯していく
だ円状の形を繕って
ふたりの視線は交錯していく
しかし見ている先は一緒でも決して交わる事ができない
地球の裏側では彼女が泣いている
地球の表側では彼が憤っている
一枚のプレートが鏡のように反射する
私は貴方で、あなたはわたしだ
地球で風がひょうと吹く
さっと一瞬だけふたりの声が重なる
ふたりがはっと息を吸い込む
確かに彼女(彼)は存在するのだ
今日もふたりは地球を周り続ける
いつか出会えると信じて
視線を交錯して円を描いていく