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仕事を探す夫
みなさんお疲れ様です。
スマホの機種変でGooglePixelにするかXperiaにするかで悩んでいる夏木です。
写真の編集力や使い勝手なら絶対にPixelにするべき(写真下手勢は特に)なんですが、わたくしの中のソニー信者が「Xperiaを選べ」と囁いてきます。
あぁ、どうしたらいいの…。
なお私はAndroidと血の盟約を結んでいるのでiPhoneは買えません。
さて最近の夫ですが、ついに就活を始めました。
今回はシニア就活の現実について書き記しておきます。
みなさんも他人事じゃないかもしれませんよ。
無職に飽きる
去年の秋、定年退職を待たずに仕事を辞めた夫。
60歳を過ぎているものの、年金が貰える65歳に到達するにはまだ数年ある。
幸い、それなりの蓄えがあるので収入が無くとも生活に困る事は無い。
私が働いて得た金も、生活費ではなく個人的な美容代や遊行費として使っている。
絶賛ニート生活を満喫し、一日中テレビを見たりゴルフに行ったりUberでローストビーフ丼を頼んだりアマプラで映画を見ていた夫が、ある時呟いた。
「さすがに飽きてきた」
でしょうね。
何しろ没頭出来る趣味や推し活を持たない人だ。
アマプラにオススメされたのか、先日仕事から帰った時には「アオのハコ」を観ていて度肝を抜かれた。
いや千夏先輩可愛いけども。
その内「ハニーレモンソーダ」とかにも手を出しそうな勢いだ。
りぼん漫画原作のアニメを観る60代男性とか面白すぎるだろ。
というわけで私の予想通り、夫が仕事を探し始めた。
サラリーマンのバイブル
内館牧子著「終わった人」という小説をご存知だろうか。
定年退職を迎えた主人公が、生き甲斐や自分のやりたい事を見つけられずに足掻く物語だ。
映画化されて話題になった頃に夫が文庫本を買い、私にも「面白かったよ」と勧めてきたのでお互い読了済みである。
ところが。
夫はこの小説の主人公が取った悪手と全く同じムーブをかましたのだ。
作中、主人公は懇意にしていた取引先に「うちに来て欲しいぐらいですよ」などと言われていたのを真に受け、退職後に「相談役とかで良いから」と雇用を持ち掛ける。
しかし相手は「そういう事ならまず履歴書を持ってきて下さい」とバッサリ切るのだ。
同じように夫も取引先から「良かったらうちで働きませんか」と言われていた。
「そろそろのんびりするのも飽きたしなぁ」という頃合で連絡したところ「上に確認してみます」という返信を最後に連絡が途絶えたのだ。
現役時代の肩書きを過信すること無かれ。
相手はお世辞やおべんちゃらで持ち上げてくれているだけ。
特に営業上がりの会社員は職に直結する資格を持っていない場合が多い。
目に見えない営業スキルを持っていたとしても、老練の会話術より若手の熱意を是とするのは雇用側として当たり前だ。
そして夫はここから更なる地獄を見る。
年齢の壁
ハローワークに通い始めた夫は、いくつかの会社に応募した。
履歴書と職務経歴書を作成し、相手先によって郵送したりPDFで送付する。
しかし大抵面接にすら辿り着けない。
何故か。
多くの企業はシニアを欲していないからだ。
平成19年10月から「人員の募集要項について年齢制限を設けてはならない」という規定を厚生労働省が定めている。
本当は40代までしか採用したくなくても、法律上それは募集要項に記載出来ない。
よってシニアが応募してきた場合は不採用通知or無返信となるのだ。
「シニア積極採用」と謳っている企業もあるけれど、実情は現場仕事である。
清掃・警備・タクシー運転手などが主立った職種。
勿論アルバイトでも社会保険完備の職場は多数あるし、雇って貰えるだけ有難い。
私のように「社員もバイトも結局やってる仕事内容は同じ」ということを理解しているならまだしも。
上場企業で肩書きを持っていた人間が、期間限定とはいえ「現場仕事」に身を窶すには相応の葛藤があるだろう。
「社長」という肩書きの弊害
それでも夫はいくつかの会社と面接まで漕ぎ着けた。
しかし、またしても大きな壁が立ちはだかる。
職務経歴書に「代表取締役」と記載されているからだ。
「社長さんをやられてたんですか?」
「そんな方がうちに来て大丈夫ですか?」
言い方は様々だが、おそらく面接官の面々はこう思っていただろう。
元・社長とか扱いにくいわー。
現場だって色々気を遣うだろう。
もしかしたら年下の上司に対して夫は「これどうやるの?教えてよ」などとフランクな物言いをするかもしれない。
こんな新人が現場にいたら鼻つまみ者だ。
というわけで夫は面接を連戦落ち続けている。
老後の生活は計画的に
夫の現状を目の当たりにして私が感じたことをあえてストレートに記すとするならば。
退職後のビジョンはしっかり持っておけ。
先に紹介した「終わった人」の作中でも触れられているが、やりたい事や趣味がない人間の老後は悲惨である。
「仕事が趣味」の人間がもう一度働こうとしたところで、雇ってくれる職場は限られているのだ。
あんな仕事はしたくない・人に教えを乞うのも嫌・若造に頭を下げたくない。
そんなプライドの塊人間を雇用してくれる場所など無いのだ。
ここから夫は更に闇堕ちしていくわけだが、長くなってきた上に暗すぎるのでまたの機会にでも。
ご無沙汰していた「おうちごはん日記」でも一回挟みましょうかね。