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自転車に乗らない人生
私は車の免許を持っていない。
都市部に住んでいると車が無くても生活できてしまうので、一度も免許を取ったことが無い都民は結構いる。
また、身分証明書にする目的で取得し、その後一度も乗らずにゴールド免許な人も多いのだ。
しかし私は「取るのが面倒」とか「タイミングを逸した」という理由で取らなかったわけではない。
おそらく自分には無理だと考え、挑戦すらしなかった。
なんたって自転車にすら乗れないポンコツなのだから。
自転車に乗れなくても生活できる
「え?自転車に乗れない人なんているの?」と思ったそこのあなた。
恐ろしいことに存在しちゃってるんですよ、ここに。
2018年にトイザらスが20代から50代を対象として、「自転車に関するアンケート調査」を行った。
その中で「あなたは自転車に乗れますか?」と聞いたところ、約99%が「乗れる」と回答。
つまり自転車に乗れない人は100人に1人しかいない。
なんか急に選ばれし民感出てきちゃった。
やったぜ。
自転車に乗れないという話をすると、よく「不便じゃない?」と聞かれる。
しかし私の住んでいる場所は徒歩10分圏内にコンビニとスーパーと駅があるため、特に困らない。
ごくたまに、駅から離れた場所にある病院など、中途半端な距離の場所へ行く必要がある時はタクシーを呼ぶ。
これで解決。
さて、自転車というのは大抵本人の意志に関係無く、親が子供に買い与えて練習させるものだ。
ではうちの親が特殊だったのかと言うと、それがそうでもない。
ちっちゃな頃から頑固者
先程のトイザらスのアンケートによると、子供が自転車デビューをする平均年齢は4.9歳。
つまり小学校に上がる前には、ほとんどの子供が自転車に乗れる状態になっている。
もちろん私の親も幼稚園生の娘に自転車を買い与えようとした。
ところが。
「凛、自転車欲しくないか?」
「欲しくない」
「えっ。自転車乗れたら楽しいよ」
「練習したくない」
あまり記憶に無いのだが、なんかこういう押し問答があったらしい。
私は小さい頃から「転ぶ」とか「怪我をする」といったことに非常に敏感な子供だった。
自転車の練習というのは、最初の内は転んで擦りむいたりは当たり前。
でも徐々にバランス感覚を身に付け、ちょっとやそっとでは転ばないようになり、すぐに自転車にも乗れるようになる。
子供の頃に自転車の練習をさせるのは、基礎的な体幹を養うという意味合いもあるのだろう。
だが私は全力で拒否した。
だって転んだら怪我するし、血が出るし、絶対痛いじゃん…。
こうして100人に1人のモンスターが誕生した。
実は自転車を走らせることはできる
実家は小学校の目の前にある。
例え忘れ物をしても、10分間の休み時間にスキップしながらでも余裕で取りに行ける距離だ。
休みの日に学校の校庭で遊ぶ時など、家が遠い子は自転車で来ていたが、私は歩いて帰れるので問題無い。
同級生はみんな自転車に乗れたが、私は何故か「凛ちゃんはそういう子」というポジションを確立していたので、特にいじめられることもなかった。
こうした環境も幸いし、小学生時代を無事やり過ごした。
そして中学からは電車通学になったので、ますます自転車は必要なくなったのだ。
そんなひねくれ者にも転機が訪れる。
キッカケは高校生の時に付き合い始めたタケルくんだ。
彼は私が自転車に乗れないことを大問題だと思っていた。
「やっぱり自転車には乗れた方がいいよ、俺が教えてあげるから!」
タケルくんは情に厚い男だったので、嫌がる私を宥めすかして土手へ連れて行った。
そしてほぼ毎日夕方に、自転車を練習する変なカップルが土手に出現することになる。
彼の指導のおかげで私は自転車を真っ直ぐ走らせることが出来るようになった。
しかしどうしてもカーブを曲がれない。
曲がろうとすると重心が傾き、自転車ごとガシャーンと倒れてしまう。
「あとちょっとだよ!きっと乗れるようになるよ!」
頼もしい言葉で私を励まし続けたタケルくんだったが、ひょんなことから別れてしまった。
それ以降自転車の練習はしていない。
だから未だにカーブを曲がれないままだ。
風を切る、という体験はできない
実は私は紫外線アレルギーのため、太陽光に連続して30分以上当たることができない。
これについてはまた別の機会に書くので詳細は省くが、お日様の下で風を切って走る、といったことも難しいのだ。
もし自転車に乗れれば、多少なりとも「風を切る」感覚が体験できただろうと思うと、少し残念ではある。
それでも自転車に乗らない生活には慣れていくものなので、今さら乗る気にもなれない。
だからスポーツジムでエアロバイクに乗り、「自転車って結構疲れるなぁ」と疲労感だけを体験している。