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北京パラリンピックが始まります

明日(3月4日)北京パラリンピックが開幕するのですが。
とんでもない国際情勢の中での開催となってしまいました。

本来なら競技紹介だけをするつもりだったんです。
しかし。

「ロシアやベラルーシは出るの?」
「ウクライナの選手は無事なの?」

といった話題に触れないわけにもいかないので、今大会の特殊な事情から現時点での開催概要も合わせてご説明します。



ロシアとベラルーシは出られません

当初IPC(国際パラリンピック委員会)は、2日に行われた理事会で「ロシアとベラルーシの選手は国旗や国歌を使わない中立選手として、出場を認める」としていました。

これに大きな反発をしたのが、IPCの会見で真っ先に質問をしたウクライナの新聞記者。

ウクライナの新聞「キエフ・ポスト」のリー・リーニー記者

彼が持っている写真の人物はバイアスロンのウクライナ元ユース代表選手、エフゲニー・マリシェフ氏です。
今回のロシア軍との戦闘中に死亡しました。
20歳でした。

「彼はもう競技で競うことはできない。彼の両親になんと声をかけるのか」

この訴えを受け、各国関係者もIPCの決議に非難の声を上げます。
「侵略国家が参加するような大会に出られるか!」と、参加を拒否する国が続出したのです。

開催が危ぶまれるような事態に直面し、IPCは急遽方針を変更。
一転して「ロシアとベラルーシの参加を認めない」としたのです。
わずか12時間での前言撤回でした。

なお、ウクライナから出場する20人の選手は安全確保のため所在地は明らかにされていませんでしたが、2日に無事全員が北京入りしたと発表されています。

色々なご意見があると思いますが、開催する以上、選手は全力で競技に集中しているでしょう。
そして私としても出場選手を応援するのみです。

というわけで冬季パラリンピックの競技を少しだけご紹介します。



アルペン・チェアスキー

字幕が英語のやつしかなくてすいません。

下半身に障害のある選手がチェアスキーという特殊な用具に乗り込んで雪山を滑降し、そのタイムを競います。

注目は日本のパラ選手団・主将を務める村岡桃佳選手
夏の東京パラリンピックでは女子100m車椅子部門に出場し、6位入賞を果たしています。

実はパラリンピックの選手は夏季・冬季の二刀流に挑戦している人も多いのです。



スノーボードクロス

冬季オリンピックで盛り上がる種目、スノーボードクロスはパラリンピックでも行われています。

足に障害のある選手が義足を履いてスノーボードに乗り、2人同時にスタートして着順を競う形式です。
オリンピックでは4人一斉スタートですが、安全面を考慮してパラでは2人で滑走するのが一般的。

パラ・スノーボードは日本選手の得意種目なので、メダルも期待されています!



バイアスロン

私の大好きな競技、バイアスロンです。
スキー技術+射撃技術の両方が求められます。
的を外すとペナルティコースを走らなければならないため、順位の入れ替わりが激しくてめちゃくちゃ面白いです。

オリンピックでは実弾を使いますが、パラではエアライフルやビームライフルを使っての射撃となります。

日本の阿部友里香選手は左腕に障害を持っているため、なんと右手1本でストックを掻いてスキーをし、射撃も片手で行うんです。
すんごいです。



戦時下で行うパラリンピック

オリンピック・パラリンピックは「平和の祭典」と位置づけられているため、大会前に国連総会で開催中の休戦決議を採択するのが恒例です。

今回も、去年末に行われた総会において「2月28日から3月20日までの間、世界のあらゆる紛争の休戦を呼びかける」ことで一致しました。
が、結果的にロシアはこれを破る形となったわけです。

さて五輪開催中の軍事侵攻についてですが、実はロシアは結構前科がありまして。
2008年の北京五輪(夏季)では開会式の日にジョージアへ侵攻しましたし、2014年自国で開催されたソチ五輪では休戦協定期間中にクリミアを併合しています。

「パラリンピック開催中にパラリンピック選手がどんどん生まれる」という笑えないブラックジョークが現実になりそうです。

とてもパラリンピックを楽しめる状況ではない、という方もいらっしゃるでしょうから、無理に観戦をオススメはしません。
ただ、命の危険に晒されながら北京入りしたウクライナの選手団や、今大会に向けて努力を続けてきた各国選手たちの勇姿を見届けたい、と私は思っています。


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