祭りに命を懸ける町
みなさんお疲れさまです。
地震の影響で夫の帰省がキャンセルになり、しょんぼりしている夏木です。
一緒に焼き肉を食べに行く予定だったのに…。
またニンニク塩だれハラミが遠のいていく…。
まぁしょげててもハラミはやって来ない、というわけで一発明るい話でもしようと思います。
「東京都の恥部」「選挙立候補者もビビって遊説を切り上げる」でおなじみの私の町のお話です。
祭り狂いが生息する町
東京の下町では夏になると各地で祭りが行われる。
有名な浅草三社祭のような大規模なものもあれば、手作り神輿を作って小学校でやるような祭りまで、大小様々だ。
わが町の祭りは中規模程度だが、この土地の人間は祭りの開催に命を懸けている。
どのくらいの熱量かというと、祭りが終わった翌日からもう来年の祭りの話を始めるレベルだ。
町には「祭りの日は勉強なんかせず神輿を担げ」という特殊ルールが適用されているため、子供たちは祭りの日を指折り数えて待っている。
なんなら学校から「祭り当日はカラースプレーでの染髪を認めます」というお知らせが来る始末。
学校公認でハジけられる日なのだ。
男たちは担ぎ手として朝から晩まで町を練り歩き続け、婦人会は各休憩所で振る舞うためのオニギリをひたすら握り続ける。
フェミニストの方たちが怒り出さないように付け加えておくと、女性陣も順番にタバコ休憩へ行ったり酒を飲みながら楽しんで作っているのでご心配なきよう。
コミケの際に有明のコンビニ棚がポカリスウェットとウイダーで埋まるように、我が町の近隣コンビニも観光客のために棚が冷たいドリンクとビールで埋め尽くされる。
まさに一年で一番町が活気づく日なのだ。
警察も出動する
かく言う私も毎年祭りが近付いてくるとソワソワしてしまい、「新しい浴衣買っちゃおっかな~」などとつい財布の紐が緩んでしまいがちだ。
夫は地方出身者なのだが、初めてこの町の祭りを見た時はドン引きしていた。
どうやら「祭りに懸ける情熱」というものは地域で熟成されるものらしく、未だにその良さをあまり分かってもらえていない。
先に「中規模程度」と書いたが「神輿行列」はそこそこ有名なので、毎年見物客が数万人訪れる。
そのため当日は交通規制が敷かれ、一定間隔おきに警察官が立つのだが、彼らの仕事は交通整理だけではない。
酔って道路で寝始めるオジサンを保護したり、ケンカを始めた若者たちを仲裁したり、勢いでおまわりさんに殴り掛かるオニイチャンを署へ連行するのが主な仕事だ。
しかし私が子供だった頃は今よりもっと規模が小さかったので、警察も特に介入していなかった。
それ故、当時の祭りは無法地帯と化していたのだ。
ヌーディストビーチではない
祭り衣装というのは色々な種類があるのだが、主にこんな感じだ。
サラシを巻いてハッピを着たり、鯉口シャツを着たりなど様々。
浅草辺りになると「江戸っ子的オシャレ感」が増すが、うちの町は少々下品なので露出が多い傾向だ。
現在はそこそこ大人しめとなっているが、私がまだ愛らしい幼稚園生だった時には大変な光景を目にした。
親に連れられて神輿の行列を見に行くと、20歳前後と思われる女子数人が、なんとおっぱい丸出しで練り歩いているのだ。
彼女たちはサラシを腹にだけ巻き、下は短い股引に足袋。
若く弾けるおっぱいをぷるんぷるん揺らしながら見物客を睨みつけ、「見てんじゃねーぞ!!」と凄んでいる。
幼心にも「見てほしくないなら隠せばいいのに…」と思った。
しかし彼女たちにはちゃんと目的がある。
おっぱい丸出しで練り歩く心意気に感謝と尊敬の意を込め、道端からバンバンおひねりが投げ入れられるのだ。
もらった札をサラシの端に挟み込み、彼女たちは一日でとんでもない金額を手にしていたのだろう。
元祖バーレスクは私の町にあったのかもしれない。
祭りの夜は確変突入
大人たちは酔ってへべれけになり、そろそろ祭りの終わりも近付いてくる頃。
中高生たちは特別な夜を過ごすことになる。
日常とは違う一体感と高揚感がそうさせるのであろう。
女子たちの股が激ユルになる。
「罰当たり」という単語をものともしない若者が神社で行為に及んだり、親の車を勝手に簡易ラブホにし始めるのだ。
実際に私の友人は近所の神社で行為をしていたところを神主さんに見つかり、ビックリした反動で発射のタイミングを誤り結婚することになった。
そんなわけでわが町のデキ婚率は非常に高い。
しかもやたらと5月生まれが多いのだ。
ただ地元の人間同士の離婚率は低いし、堕胎したという友人の話も聞かないので、これはこれで少子化対策なのかもしれない。
それを知ってか知らずかこの地区には保育園が多く、よその町からお子さんを預けに来ている人も多数いる。
祭りの再開を待ち望む
長々と解説してきたわが町の祭りだが、当然感染症の影響でここ2年開催中止となっている。
祭り好きの人間からすると、ストレスのあまりバッティングセンターに通い詰めて「ホームラン賞」をもらうのも余裕になってきてしまう(ペルソナ5で)。
「神輿ダコ」が自慢の近所のオジサンも最近陶芸にハマり始めたと聞き、いよいよ危機感を抱いている次第だ。
このままではわが町の荒くれ文化が失われてしまうのではないか。
いや、よく考えたらそのほうがいいのか…。
今年の開催可否はまだ出ていませんが、どうかみなさんが思い切り祭りを楽しめる日が来ることを願うばかりです。
【追伸】私は祭りの日もちゃんとコンドーム持参してました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?