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仕事に行きたくなくなったらぶらり途中下車して焼肉を食べに行きませんか

お正月休みも終わり、早くも世間は通常運転モードに突入している。
「仕事に行きたくない!絶対に行きたくないでござる!!」とダダをこねている方々もいらっしゃることだろう。

仕事に行きたくない時は誰しもある。
しかし社会人の責任として、みなさん満員電車に揺られ、当然のように出勤する。

だが「どうしても行きたくない、今日は本当に無理」という時は、すべてを忘れて焼肉を食べに行ってみませんか

私はそれで救われたのだ。



フリーターの悲哀

20代前半の頃、とあるカフェレストランで働いていた。
当時フリーターだった私は1日10時間・週6ペースでシフトを入れており、社員よりもガムシャラに働いていたのだ。
労働基準法などお構いなしである。

「凛がいないと店が回んないよ」
「やっぱり凛さんがいてくれると心強いです」

職場の声に「そんなことないよ~」と言いつつ、私は悦に入っていた。

やっぱり私は必要とされている。

そう思って必死に働いていたし、仕事も好きだった。

しかしある日のこと。
出勤途中の品川駅の構内で、私は立ち尽くした。

仕事、行きたくない。

何が原因なのか自分でも分からないが、足が動かなくなってしまったのだ
早く行かなければと思う気持ちと、もう行きたくないという気持ちが相反しながら混在していた。

泣きそうになっていた私に「凛ちゃん!」と声がかけられた。

振り向くと、妹のセリちゃんが手を振っていたのだ。



愛すべき妹・セリちゃん

私達姉妹はとっても仲良しだ。
世間の姉妹はそうでもないらしいのだが、私達はよく一緒に買い物に行ったりランチをしたり、居酒屋に飲みに行ったりする。

親友のように過ごしてきたので、私は妹を「セリちゃん」と呼び、妹も私を「凛ちゃん」と呼ぶ。
妹から「お姉ちゃん」と呼ばれたことは一度もない。

品川駅で立ち尽くしていた私の姿を認め、セリちゃんは近寄ってきた。
ちなみに品川駅は1日平均37万人が利用するターミナル駅なので、知り合いと遭遇するというのはかなり奇跡的な確率だ。

「あれ?今日これから仕事?わたしね、学校午前だけだったんだー」
「仕事なんだけど…、行きたくない…」
「えっ。どうしたの?」
「分かんない…。けど、焼肉食べたい」
「なにそれwじゃあ行く?わたしもお腹空いちゃった!」

私達は山手線に乗り、恵比寿横丁に焼肉を食べに行った

昼を少し過ぎていたせいか店内はそこまで混んでおらず、焼肉定食2人前に私はビールを注文し、制服のセリちゃんは烏龍茶を注文した。

仕事をサボって昼間からビールを飲み、焼肉を食べる。
それがどんなに罪深いことか分かってはいたが、しかしだからこそ快感だった。



ふと現実に戻る

焼肉でお腹いっぱいになった幸福感は、すぐに後悔の念に押し流されていく。

これからどうしよう。
みんなに迷惑かけちゃった。
もうこのまま仕事やめる?

難しい顔をし始めた私に、セリちゃんが問いかける。

「お店から電話、掛かってきてないの?」
「鬼のように掛かってきてる。でも怖くて出らんないよ、もう」
「んー、でもさ。やっぱ連絡したほうがいいよ。凛ちゃんに今の仕事合ってるよ。すごい楽しそうだったもん」

そう、仕事は楽しい。
けど…。

「多分がんばりすぎちゃったんだよ。時々焼肉食べたら大丈夫だよ」

そうかもしれない。
私にはもっと休息やいたわりが必要なのか。
たとえば焼肉のような。
たとえば妹のやさしさのような。



反省と決意

店の先輩から個人的に連絡をもらい、「別に怒ってないからちょっと話しよ」と言われて店の近くのカフェへ向かった。
そして今日のことを正直に話した。

仕事に行きたくないと思ってしまったこと。
妹と焼肉を食べに恵比寿まで行ったこと。
ついでにビールも飲んじゃったこと。

先輩は笑っていた。

「凛がさ、シフト入れ過ぎだなってアタシも思ってたんだよね。もうちょっと休み入れるし、なんなら直接アタシに言ってくれれば当日休んでもいいよ。ま、凛は真面目すぎるだけだからさ、もう多分こういうことしないでしょw」

私は泣きながら先輩に謝り、店長に謝り、当日のバイト仲間と社員に謝り、店へ復帰した。
そして、二度と同じ過ちを繰り返さないためにも、自分の心のケアにも気を配ろうと決めたのだ。



焼肉で救える心がある

ここまで読んで頂いた方の中には「バイトだからそういうことができるんだ。正社員がそんなことできるわけないだろ」とお怒りの方もいらっしゃるかもしれない。

確かにアルバイトと正社員では立場も責任も背負っているものも違う。
でも、ふと「このまま死んじゃおっかな」と思う気持ちは平等に訪れる。

だからもしもフォロワーさんが「仕事に行きたくない」「消えたい」と思ったなら、私と焼肉を食べに行きませんか

安くておいしい店、知ってるんですよ。
大丈夫、私が奢ります。
そこらのパパ活女子とは一緒にしないでくださいね。
別に自殺を思いとどまらせようとか、そんな驕った考え持ってません。
でも死ぬ前においしい物食べといたほうが絶対にいいですよ。
それで決意が揺らがなくてもいいし、「もう一回食べたいからもうちょっと生きてみよ」と思うのも自由です。

本当につらくなった時は「そういや死ぬ前に焼肉奢ってくれる変な女が東京にいるらしい」って思い出してみてくださいね。


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