コンピューターおばあちゃんが最強なのだ
「コンピューターおばあちゃんって何…?」と思ったあなたは間違い無く平成生まれだ。
おめでとう。
NHK「みんなのうた」内に登場した曲で、非常に中毒性の高い魔曲である。
ちなみに数年に一度再放送されているそうなので、平成生まれも聞いたことあるかもしれません。
何故コンピューターおばあちゃんは最強なのか、その理由について語りたい。
おばあちゃんはコンピューターではない
まず冒頭の歌詞を引用させていただく。
ぼくのおばあちゃんは
明治生まれのコンピューター
いきなり驚愕の情報が孫から齎される。
おばあちゃんがコンピューター…?
困惑するのも無理はありませんが、続く歌詞を読めば意味が分かってくる。
算数 国語 社会
なんでもドンと来いさ
物知り博学 足腰カクシャク
元気にワンツースリー
英語もラクラク
義歯(いれば)をカクカク 得意のABC
コンピューターおばあちゃん
コンピューターおばあちゃん
イェイイェイ ぼくは大好きさ
とっても物知りなおばあちゃんをコンピューターに例え、そんな元気で博学なおばあちゃんを自慢したい、という孫視点の歌なのだ。
決してサイボーグ的なアレではない。
子供の頃に聞いていた時には歌詞の意味まで考えなかったが、大人になってから聞くと、これは人類の最終進化形態を歌った曲なのではないかと気付いた。
おばあちゃんという「経験値の高さ」+「デジタル」=最強。
高齢者にデジタルは無理、は思い込み
よく「日本はデジタル化が遅い」と言われるが、原因のひとつは「高齢者には難しい」「使えない人を置いてけぼりにする気か」という高齢者に対する世間の間違った配慮だ。
例えばパソコンを触ったことがない人に「さあこのパソコンの電源を入れてください」と言ってもできない。
知らないのだから、できないのは当たり前なのだ。
でも誰かに教えてもらったり、本を買って自分で調べれば誰でもできるようになる。
だから「どうせ教えても分からないだろうし」「うちのばあちゃんには無理だろう」というのは単なる思い込みだ。
総務省が毎年行っている「通信利用動向調査」というものがある。
これによると、2020年度の調査では「ソーシャルメディアの利用率」が70代で43%、80代で36%だ。
全体の利用率が70%であることを考えると、十分高い数字ではないだろうか。
もちろん若者とは違い、高齢者にとってデジタルのハードルが高いのは事実だ。
歳を重ねると学習意欲は低下する
一般的に、人間は50代半ばになると学習意欲が低下していくと言われている。
前頭葉の老化によって、新しいことを覚えようとする気力が減退したり、自分から学ぶ姿勢を取りづらくなってしまうからだ。
なので「さあスマホの時代ですよ。おじいちゃんおばあちゃんも役所へ行かずにネットで手続きしましょうね」などと言われても、なかなか重い腰が上がらない人もいらっしゃるだろう。
そこで思い出してほしいのがコンピューターおばあちゃんだ。
長い人生経験から得た知識と、デジタル活用という技術を兼ね備えれば、もう最強なのだということを教えてくれている。
若者にはとても太刀打ちできない存在になれるのだ。
その為には周囲の協力や環境の整備が不可欠となる。
高齢者が取っ付きやすいようなアプリを開発したり、分からないことを何度でも根気よく教えてくれる人材も必要だ。
ハードとソフト、両方から攻めなければ、いつまで経っても日本のデジタル化は進まないのではないか。
すでにコンピューターおばあちゃんはいる
私の祖母は90歳だがLINEをやっている。
まだ文字変換が覚束ないようだが、ぐんぐんスキルアップしていて、先日は自撮りの写真も送られてきた。
おばあちゃん超かわいい。
この祖母にLINEの使い方を教えてくれているのが、同居している10歳の曾孫だ。
私にとっては姪に当たる。
子供は覚えるのが早いので、祖母が「これどうやったらいいの?」と聞くと「これを押してね、ここをこうすればいいんだよ」とすぐ教えてくれるのだそう。
大人になると「自分ができることを人に説明するのがめんどくさい」と思ってしまいがちだ。
しかし子供は普段自分が教えられている側なので、人に教えるという体験そのものを楽しめる。
そして教えることによって自身の復習になり、さらに「ありがとう」「すごいね」と褒めてもらえるので一挙両得だ。
だからおじいちゃん・おばあちゃん&孫・曾孫というのは最強の組み合わせではないかと思う。
私も歳を重ねてきて、たまに「若い子の話題にはもう着いていけん…」などと思ってしまうことがある。
しかしそれではダメだ。
新しいシステムや情報をどんどん取り入れなければ。
そして将来近所の子供達に「コンピューターおばあちゃん」と呼ばれたい。
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