嫁と姑、たまに小姑
昔から嫁と姑は反りが合わないと相場が決まっているようで、一緒に住んでいる場合はトラブルの話もよく聞く。
今は別々に住むのがスタンダードなので「嫁姑戦争」みたいなものは起こりにくいが、やはり相性が悪いとお付き合いが大変だ。
そしてなんか知らんけど加勢してくる小姑も厄介。
いちいち出て来なくていいから黙っててください。
嫁の立場で姑・小姑との関係を振り返ってみた。
同居か別居か
当初、私は結婚時に姑と同居予定だった。
というのも姑は「息子が結婚した時のために」という名目で4LDKのマンションを購入しており、あとは嫁が来るのを待つばかりという状態だったのだ。
よくよく考えると恐ろしい話だが。
夫は20歳年上なので、当然その母親も当時すでに70歳近かった。
私は「おばあちゃんと同じぐらいの年だし、まあ何とかなるんじゃないか」という甘い考えで同居しようとしていたのだ。
しかしこの話を聞いた友人たちは全力で私を止めにかかる。
「60代なんてまだ全然元気なんだから絶対に衝突する」
「一度同居したら別居するのは難しい」
「旦那は母親の味方をするから孤立する」
彼女たちの必死の説得により、私は同居しないことにした。
後になって「同居してなくて良かったわー」と思うことがたくさんあったので、あの時の友人たちには本当に感謝している。
結局姑は住んでいたマンションを売り、新たに2LDKのマンションを購入してひとり暮らしを始めた。
夫と私は新居となる別の場所に住み、電車で行き来できる距離を保つことになったのだ。
お嬢様育ち
姑は明るく天真爛漫で、人好きのする性格だ。
それもあって私は同居してもいいかなと最初に考えたぐらいだ。
しかしお付き合いしていく内に、かなり傍若無人な面があることに気付いていく。
結婚した翌月のこと、姑からランチに誘われた。
「凛ちゃん、私おいしいお魚が食べたいわ。一緒に行きましょう」
「はい、喜んで!」
「じゃあお店探して予約しておいてね」
姑は自分から誘うのに相手に店の選定や予約をさせるという変則方式を採用していた。
実は彼女は結構なお嬢様育ちで、レストランやホテルはもちろん、新幹線・飛行機などのチケットも自分で取ったことが無いという。
年若で、かつ嫁という格下の立場の私は張り切って店を探した。
食べログやグルメサイトを周り、魚の鮮度で評判の店を予約したのだ。
が、当日。
姑は小首を傾げてこう言う。
「凛ちゃん、私お魚なんて言ったかしら?今日はローストビーフが食べたい気分なんだけれど」
こいつはヤベェと気付き、私は姑と2人で食事に行くのはお断りするようになった。
行く時は夫との3人で。
ちなみに夫が一緒でも「あら、なんですき焼きなの?私は天麩羅が食べたかったのに」と平気で言っていた。
暗躍する小姑
多少ワガママだったり気分屋なところはあったものの、特に衝突することもなく数年前に姑は他界した。
誕生日には毎年プレゼントも贈ってくれるやさしい人で、本当に良くして頂いたと思っている。
問題は小姑だ。
これが非常にめんどくさい。
小姑は夫の姉なのだが、最初から私たちの結婚には反対だった。
「そんな若い子が結婚なんておかしい。騙されてる」
「一度も会社員をやったことがないような子にサラリーマンの嫁は務まらない」
まあ結婚詐欺の可能性を疑うのは分かる。
しかしサラリーマンの嫁にそんな資格が要るとは初耳だ。
じゃあ大工の嫁になるには大工を経験していないといけないのか?
あ?
おいなんとか言ってみろよ。
せっかく封印していたジャックナイフが顔を出そうとしたが、夫は「姉の言うことは気にしなくていい」と言ってくれたので大人しくしていた。
が、この後小姑は親戚中に私の有る事無い事を吹き込むという独自のネガティブキャンペーンを開始したのだ。
おかげで私は結婚前に彼の親戚中を行脚し、実際に会って話して誤解を解くという旅に出た。
その甲斐あって、小姑以外の親戚の方々とは現在も親しくさせて頂いている。
無理に仲良くする必要はない
晴れて結婚することになってからも、小姑は孤独な戦いを続けていた。
結納の日に開催するクラシックコンサートのチケットをわざわざ取って姑に渡し、出席をドタキャンさせようとしたりとか。
披露宴でキャンドルサービスの炎を吹き消したりとか。
やることなすこと小物過ぎてちょっと笑ってしまい、その内に「小姑が次に何を仕掛けてくるか」が楽しみになったりもした。
そんな彼女もここ数年病気を患い、手術やら何やらでこちらを気にする余裕は無くなったようだ。
冠婚葬祭時には顔を合わし、最低限の礼は尽くすがそれ以上の付き合いは無い。
姑・小姑からすると「大事な息子(兄・弟)をどこの馬の骨とも知らない女にかっ攫われる」わけで、嫁は嫌われて当然なのだ。
もちろん中には本当に気の合う嫁・姑もいるだろう。
しかしそうでなかった場合は、謙虚な姿勢を保ちつつ、適度に距離を取っていたほうがお互いのためではないかと考える。
あくまでも「相手の家族」なのだから、価値観を無理に合わせる必要は無い。
逆にお姑さんも、あまり嫁のあれこれを心配しすぎると疲れてしまうので、「まあなんとかやっていくだろう」ぐらいに思っておいたほうが良いのではと考える若輩者です。
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