PSVita『グノーシア』クリア、トロフィーコンプリート!
『グノーシア』トロコンしたぞッシャオラァァァァイ!!!!
という勢いだけで感想を書きます。
(※生存者バイアスのかかった文章です、念のため注意!
あと、プレイ画面は全て公式ホームページ
http://d-mebius.com/gnosias/
から拝借したものです)
ベースは『人狼』。だからって助かると思うなよ
物騒な見出しにしてみたけど、あまり深い意味はない。
人狼が一人用オフラインで遊べる、なんかストーリーがある。
人狼ゲームを繰り返していけば、ストーリーが解明されてくんでしょ?といってしまえばその通りで、序盤はよく分からないまま狼(=作中ではグノーシアと呼ばれる)を探してお互いを疑い、時に騙し、あるいは自分自身も窮地に立たされたりして、地道に遊んでいくことになる。
何度か繰り返し遊んでいくうちに、やれること(役職)が増えて、人狼としておなじみのルールになっていく。
さらには、自分がどの役で開始したいか?というのも好きに選べるようになる。
え、それズルくない?と思う人は「おまかせ」を使うといいだろう。役割は適当に振られる。
私は死にたくないので、死ににくい条件で死ににくい役職ばっかで遊んでたけど。
でもねえ、死にます! 全然ダメ!!! へたくそが過ぎる!!!!
ありがたいUIと、ありがたくないNPC
グノーシアは少しだけRPG的な要素があって、人狼ゲームを繰り返していくと経験値(Exp)が貯まっていく。そのExpを消費して、自分のステータスを好きに伸ばせるのだ。
たとえ敗北したとしても、単純な時間のムダにはならない。どの程度攻略できたかによって、しっかりExpが入る。
実にありがたい設計だ。涙が出ちゃう。NPCが簡単に勝利させてくれないことを除けばね!
とにかく遊び続ければExpだけは貯まるので、負けて泣きベソをかく暇があったらもう1回! 次は勝てるかもしれないから! 適当に目についたやつとか疑っていこう! 死んでも死なないからどんどん死んでいけ!
おそろしく乱暴だが、これがグノーシアの王道的攻略法である。
疑われたら終わり
さてExpを貯めたら次は、どのステータスに振ろう?という問題が出てくる。
私は現実の自分に寄せて「直感あり、ステルスまあまあ、カリスマ・かわいげ・演技力は死んでる、ロジックはてきとー」でステ振りした。
その結果、
「ピンと来たぞ! こいつは嘘つき! グノーシア! 敵!」
「でも誰も味方してくれない!」
「疑いすぎて自分が疑われる側になった!」
「ダメだ、誰も弁護してくれない…」
という、宝が持ち腐れるどころか尿路結石みたいな苦痛しかもたらさない存在になってしまった。
ちくしょう、台無しにしやがった! 誰もお前を愛さない。
このステ振りでプレイすると、マジで発言の影響力がない。
「カリスマ」や「かわいげ」が高くて、周りを味方にする能力が高いキャラに疑われたら終わりである。誰も助けてくれない。ハイクを詠んでサヨナラを叫ぶ以外にやれることはない。
ついでに、NPCたちからの印象も大して良くないので、発言をしすぎると直球ドストレートに「うるさい」と言われてしまう。
これは正直まあまあ傷付く。
そ、そんなあ……。こんなワイでも一生懸命、議論に参加しようとしてるんですよ……。もういいです、退場します……。
明けない冬などない。我が世の春!
だがストーリーを進めていくと、ステ振りのやり直しが可能になる。
やっぱそうだよね!!! そういう救済はあるよね!!!!!
というわけで直感全振りの尿路結石をデトックスし、これまでのプレイで「カリスマ」「かわいげ」が大正義なことを学んでいるのでガン上げ。
負けまくって周回しまくってるので、余ったステータスをロジックに突っ込み、演技力とステルスにもまあまあ振る。
結局、直感は5まで下げた。(※カンストは50)
さらば、とくに役に立たたないままうずくだけの能力よ……!
(ステータスのバランスが悪すぎただけで、直感がムダな能力ということはないはず)
さてカリスマとかわいげをガン上げした結果どうなったかというと、
今まで脅威でしかなかったカリスマ・かわいげの高いキャラと対等に渡り合えるようになり、さらに自分の意見に同調してくれるキャラがモリモリ増え、口数が多くても「うるさい」と言われなくなった。
来た! これよこれ!!!
「卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。
我らが雛で、卵は世界だ。
世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。
世界の殻を破壊せよ。世界を革命するために。」
世界を革命する力(カリスマ)を!!!
いやマジで、革命的に遊びやすくなったのでグノーシアと全然なんにも関係ないアニメの台詞貼っちゃった。絶対運命黙示録。
困難を乗り越えて、星の世界へ
NPCたちの知らんところで個人的に革命が起きていたとはいえ、連戦連勝とはいかない。結構普通に負ける。
そもそも、私は人狼のセオリーを何も知らないのである。リアルで知人たちと遊んだことがあるだけで、ルールと役職を把握している以外はおよそ丸腰だ。どうすれば生き残れるのか? 完全に手探りだ。
しかし周回しまくって全キャラをだんだん把握していったことと、カリスマ・ロジック・かわいげが高いおかげで味方がとにかく多いので、最終日近辺まではだいぶ生き残れるようになったし、何をすると夜ターンで死ぬのかがだんだん分かってきた。
が、それとは別に、ストーリーを先に進めるためにはいろいろと条件がある。
自分一人がただ生き残っても、イベントが発生しなければ意味がない。
しかしこの作品、一度や二度イベント回収に失敗したからといって、簡単に投げ出したくなるような設計にはなっていない。
上述の通り、Expが入るのでプレイがよりスムーズになるし、なにより、イベントが1つ明らかになるごとに、『グノーシア』という作品世界のおもしろさ、奥深さ、キャラの魅力が引き出されていくのだ。
「続きを知りたい」という欲求が、プレイヤーを次の、そのまた次の人狼へと何度でも駆り立てていく。
素晴らしい。
これはただの人狼ではない。助かると思うな、と最初に書いた意図は実はここにある。
漫然と遊んでいる場合ではないのである。期待を上回っておもしろいからだ。
「困難を乗り越えて、星の世界へ」という標題は、『グノーシア』のゲーム本体を起動したときに表示されるメッセージである。
条件を満たしつつイベントを回収していくのは、結構マジで困難だ。
しかしこの世界には見るべきものが、否、見届けなくてはならないものがある。
『グノーシア』は、いずれ他のハードでも遊べるようになるだろうと思う。たぶん。
同じデベロッパーの『メゾン・ド・魔王』が結構いろんなハードで遊べたから、そう期待しているだけだが。
とにかく、この名作は一部のVita持ちの間だけで埋もれさせるべきではない。
一人のVitaを愛する民として、これは素晴らしい作品なのだと、声を大にして主張し続けなければならない。と、私は思う。
ある意味では、今現役でVitaを稼働させている人間は、『グノーシア』を遊ぶことができる特権を持った人間なのだ。
特権を、使おう。グノーシアを、遊ぼう。
そして共に、困難を乗り越え、星の世界に触れよう。
最後に
もしVita以外に移植されたからといって、手を出さない人が大多数なのは想像に難くない。テキストを読むタイプのゲームが、古今東西掃いて捨てるほどあるからだ。
なので、一部の人に伝わってほしい!という表現を最後に置いておきたい。
『グノーシア』プレイ中、私はあることに気が付いた。というか思い出した。
「あ! これ前にも見たことあるわ」
モチーフとして、ある会社の、あるシナリオライターが以前書いた作品と、ほんの少しだけ重なる部分があったのだ。
しかしそれを書くと、「ああ、あれじゃん」と、約10年前の国民的に有名な作品を連想してしまう人が98%になってしまうと思うので、社名と人名はあえて書かない。
私が思い出したのは、約15年前の、まあぶっちゃけて言うと、『鬼哭街』の次の作品である。
分かる人は、ググるまでもなく一発で何を指しているか分かるだろう。
ググらないと分からない人は、ネタバレ防止も兼ねてあえて調べに行ってはいけない。ゼロ年代初~中期に、何か連想させるものがあったらしい、ということだけを気に留めてくれればいい。
モチーフはさておき、書きそびれたので最後に付け足す形になってしまったが、
『グノーシア』も「その作品」も、BGMが抜群に素晴らしい。美しく、儚く、切ない。
聞いているだけで、「この作品には、何かが隠されている」という予感をかき立てられる。この切なさが、ただのフレーバーだとはとても思えないのだ。
そして実際、全てが分かったときに、その名状しがたい「切なさ」は唯一無二の感情へと変化していることだろう。
その感情に、私からは名前を付けられない。
なにしろ、各プレイヤーにとって唯一無二なのだから。
名前を付け、言語化を可能にするのは、プレイヤー自身の経験だけだ。
『グノーシア』はそのような、プレイヤーの中に埋もれた感情に光を当てる作品だと言える。
星の世界があるのは、作品の中だけではない。
プレイヤー自身の中にも、きっとある。