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サ高住AIR滞在当初、実はワークショップ担当は罰ゲーム?と感じたことが有りました。でも今は…

サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)のアーティストレジデンスに参加、つまり、サ高住に滞在しております。4月から3月まで、1年間です。

さて、4月に滞在が始まってすぐの頃、書道のワークショップを開催したものの、ワークショップは誰かの役に立ったのだろうか…私はワークショップ講師として必要だったのだろうか…と悩ましく思った経験とその後の気づきについては、こちらの記事に記載しました。

https://note.com/natsukashii/n/n1db8812631da

その後、別のワークショップを試みました。

サ高住の敷地内にある庭木を利用した草木染です。

剪定で出た枝を集める

5月中旬、業者が入って剪定をする予定があるというので、業者の方々がトラックに切った庭木を積む前に、少しずつ枝を分けていただきました。

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業者の方々に教えていただいて、庭木は、意外にも10種類以上もあることがわかりました。

草木染の木々

写真上段は、シラカシ、シャリンバイ、モミジ、ハナミズキ、ツツジ、
下段は、ヤマモモ、キンモクセイ、サザンカ、ランタナ、レッドロビン(紅カナメモチ)だと思います。これ以外にも、アオキ、アジサイ、オリーブ等もありました。

庭木エキスの採取

そしてその後、何日かかけて、庭木のエキスを採取しました。
やり方は簡単です。
野菜のようにザクザク包丁で刻んで、お湯で30分程度茹でて、茹で汁を冷まして、濾して葉を取り除き、ペットボトルに詰めて、冷蔵庫に保存する、これをひたすら10数種類続けました。

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煮込んでいる時、草木のニオイが湯気にのって部屋中に充満しました。

草木のニオイで魔女妄想

話が飛びますが、魔法使いは野草から何か魔術のようなことをするというのを物語で読んだり、映画で見たりしたことが有るのですが、何となく腑に落ちていなかったのです。そんなに植物に力があるのかと。視覚だけではピンとこなかったのです。

しかし、ニオイを知ると、なんだか魔力があるように感じるという発想に合点がゆきました。植物から出てくるニオイが、こんなに強いとは!しかも種類ごとに違います。

自分の周囲に強力な得体の知れぬニオイを充満させることで、何か新たなパワーを得たような気持になるというのは、有りうるかもしれない。そうだそうだ!と、語る相手もなく、孤独に一人部屋の中で、納得しておりました。


ただ庭木を茹でるという単純作業でしたが、まるで自分が魔法使いになったような気分になって楽しみました。

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ワークショップを効率よく進めるために実験を重ねる

その後、徐々に参加者が多数になっても、簡単に染めて、楽しんで頂くには、どんな手順が良いのか、工程を考えるために、実験を繰り返しました。

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何種類かの媒染液を試し、最終的には、ミョウバンと浸染用鉄液を使用することにしました。

それぞれの草木から染色のサンプルも取りました。

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耐熱のビニール袋に入れれば、同時に何種類ものサンプルを鍋にかけて作ることができると思いついたときは、嬉しかったです。まず、実験の時間短縮が加速します。
またビニール袋を分けておけば、ワークショップの際に、参加者のお一人お一人に別の溶液を選んでいただいて、一度に袋ごと茹でて、加熱して、色を定着させることができます。

試行錯誤の末、1か月後、満を持して、とまでは行きませんが、思いつく限りの工夫をした上で、ワークショップ開催に踏み切りました。

ワークショップ前、住宅内で宣伝活動

まず、宣伝活動を頑張りました。

楽しいのではないか?という雰囲気をお伝え出来たら、参加者も増えるのではないかと思い、写真のような姿で、食事時に居住者様が集まる食堂を一周しながらお声掛けしました。

草木染宣伝 (2)

草木染ワークショップ当日

効果テキメン、10人超の皆様がワークショップにお集まりくださいました。

草木染WS布配布 (2)


一部の居住者さんには、草木染めに夢中になっていただけました。この年になっても初めてのことって有るのよ~とルンルンな方もいらっしゃるのですが、

草木染WSゴム配布後減少 (2)

参加者の数人、おもむろに席を立ち、去る。

輪ゴムを配ったところで、一気に4人減少しました。

摘まんだり折り畳んだりして輪ゴムで束ねておくと、液体が染み込まず染まらない部分ができるので、模様になります。昔だったら針と糸でやったでしょうが、手間をかけず輪ゴムでちょいと縛るだけ、簡単です。
本に書いてあってその通りにやっているだけ、ツラツラ資料を配布して説明しておりましたが、これが、なんだか厄介なことに聞こえたようなのです。

これは、罰ゲーム?

ワークショップ、ここまで1か月の準備、せっかく開催するからには、皆様に楽しんで頂きたいと思って、満を持しての開催です。

頑張りました。1か月。そして迎えたワークショップ。
それなのに、おもむろに席を立って出てゆかれました。
しかも4人も。

11人中、4人も。

ショックが大きいです。まるで、ワークショップを開催することは、何かの罰ゲームなんじゃないかと思ってしまうくらい、その時は衝撃を受けました。

真っ先に席を立たれたのは90代の女性でした。つられてもう一人の90代の女性、近くのお2人の女性が去ってゆかれました。

なぜ、席を立たれたのか、半年後の今ならぼんやり理解できます

実は、このワークショップを開催した6月、滞在開始から2か月程度でした。
当時は、まだ皆様の状況を分かっておらず、なぜせっかくお越しくださったのに、最後までお付き合いいただけないのか、分かりませんでした。

途中で席を立つだなんて、ひどい、傷ついた、と思ってしまっておりました。

しかし、今ならわかります。皆様に教えていただいて、だんだん想像できるようになったと思います。

どうも私の説明に不安を感じたご様子だったのです。

ワークショップ当日にいらした皆様の平均年齢は90歳前後です。

怖がらせてしまったのではないかと思うのです。

新しいことに挑戦すること、だんだん怖くなるものです。
そうでなくても、ご高齢の皆様、昨日できていたことが今日できないかもしれないことに、不安や怖さを抱え、毎日チャレンジの日々をお過ごしの方もいらっしゃるのではないかと、想像します。

その上さらにもっと新しいことをやってみようということを強要してしまっては、酷かもしれないと思い始めました。

また、個別にお話ししていれば、伝わることも、一度に多くの方々に向かってお話してしまったばかりに、何のことやらと怖くなって、ストレスを感じたのかもしれません。

席を立ちたくなるのは当たり前だと、滞在開始から半年過ぎた今ならわかります。

今はやり方を変えています。

今は、お1人ずつ丁寧にワークショップをするようになりました。

お1人ずつですと、どのあたりに不安があって、手を動かすことにつながらないのか、お話を進める中で見えてきます。お一人お一人、戸惑うところを丁寧に解消すれば、それぞれの楽しみ方で、楽しんで頂けます。

草木染ワークショップに再挑戦

もう一度、8月になって、草木染のワークショップをしました。

この時は、前回の乱雑な進め方を反省し、1種類の植物に絞って開催しました。

一度にたくさんの方に説明するのではなく、お1人ずつ会場にお越しいただいて、お1人ずつ輪ゴムで布を縛って、模様を作っていただいて、お1人ずつ、染色溶液に浸していただきました。

会場までお越しいただけない方も、突撃と申しますか、押しかけワークショップと言いますか、お部屋のドアをトントンとノックして訪問、やってみようかなぁとおっしゃる方には、廊下に出ていただいて近くの椅子に腰かけて、ご一緒に10分程度、手作業をしていただきました。

その後、染め上がってお1人ずつ配りにうかがうと、とても喜んでいただけました。

学校教育のように集合して一方的に進めるよりも、個別に

平均年齢が85歳以上の方々ですから、何か変わったことに対して、興味はあっても最初は恐怖心、拒絶反応が出やすいのではないかと、私は感じています。それを乗り越えるには、お1人お1人と丁寧に接するのが大事なのではと、今は思っております。

高齢の皆様の体調は、若年層と比べるとデリケートになっています。日によって天気によって体調も違います。痛い所、苦しい所、一人ひとりコンディションが異なります。個別対応であれば、そういったところも気遣いできます。だからと言って、私は介護の専門家ではないので、お声掛けするだけで、何の対応もできない若輩者です。周囲にいらっしゃる職員の皆様に助けていただくばかりです。

私の気が付かないことも多々あります。
まだまだ若輩者、周囲の方々にご指導いただきながら、少しずつ気づきを増やしてゆきたいです。

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