具体 ↔︎ 抽象
たまゆらに迷いほどけて春の川
なつこ
句会に提出した句が、「抽象的」と言われることが多い気がします。「哲学」的なことが好きだったりするので、詠む時に普遍の方向へと流れてしまうというか…。
言語自体が、抽象度の高いもの。関悦史さんは、こんな文章で表しておられます。
俳句作品も言語である以上、個別の指示対象(現物)は見えず、概念しか指示しない。
(関悦史『俳句という他界』「断章」から)
ちょうど、『具体と抽象』という本をKindleのおすすめに見つけました。
具体と抽象は相対的なもので、たとえば「鮪」を例にすると、「『鮪』は 『魚』の具体でもあり 、個別の鮪の抽象でもあるというように 、あくまでも相対的にどうみるかで具体か抽象かが決まる」という説明。
表現において、具体と抽象の関係はどうなるのか。
具体的な表現は 、解釈の自由度が低い 、つまり人による解釈の違いがほとんどないのですが 、反対に抽象的な表現は 、解釈の自由度が高く 、人によって解釈が大きく異なる場合があります 。解釈の自由度が高いということは 、応用が利くことになり 、これが抽象の最大の特長ということになります 。
(『具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ』細谷功)
もともと抽象度が高い「言葉」の中で、どんな言葉を選ぶのか。物差し的なものを知ることができたように思いました。