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仕事を探す(谷垣)|それでも日々は続く vol.2

2025年2月12日(水)より期間限定で、清風堂書店・谷垣大河×秋月圓・秋峰善の「交換日記」をはじめます。

※谷垣さんの勤める清風堂書店(大阪・東梅田)は、2025年2月28日(金)に閉店します。

谷垣大河(Tanigaki Taiga)
1994年生まれ。天牛堺書店、紀伊國屋書店を経て2022年に清風堂書店入社(2025年2月末で閉店)。
X(Twitter)@Silver_Hammer6

秋 峰善(Shu Pongseon)
千葉市稲毛区育ち。2024年3月「秋月圓」創業、『夏葉社日記』刊行(第3刷)。2025年1月「シリーズ人間」創刊(「新世界」)。趣味は将棋(歴3年)とサッカー(歴30年)。
X(Twitter)@shugetsuen

執筆者プロフィール

2月10日(月)

休日。昼から転職活動。13時に千里にあるオフィスへと向かう。その道中にある店で就活用の革靴を買ってそのまま履いていく。清風堂に移ってから、スーツとは無縁の生活を送ってきたがそのツケが回ってきたようだ。数年前にオーダーでつくったスーツは入らなくなり(10キロくらい太った)、出番のなくなった革靴はカビが生えしばらく前に処分してしまった。

今は次の仕事を探している。

この日は3回目の面接で、みっちりと2時間かけて話をした。この後には適性検査と本面接が控えている。入社までのステップが多いが、ひとつひとつのハードルは比較的低いのかもしれない。しかし、その後が大変なのである。もしここで働くことになったとして、はたして半年耐えることができるのだろうか。勘のいい人はこの段階でどんな仕事なのかピンとくるかもしれないが、それだけ大変な仕事に就こうとしている。でも、正直それ以上にわくわくしている自分もいる。知らない世界に飛び込んでみたい。自分がどこまでできるか試してみたい。謎の行動力が湧いてくるタイミングがたまに訪れる(秋さんは経験したことありますか?)が、それが今だと思う。

いつかこの日記を読み返す時がやってくる。その時に何を思うだろう。

面接を終え、オフィスから出ると日が傾きはじめていた。ボーッとした頭のまま近くの街をぷらぷらと歩きながら、家族に連絡を入れる。

モノレールに乗って家路につく。途中下車すれば、友人が勤めている書店に行くこともできたが、邪魔してはいけないと思ってやめた。こういう時でないとなかなか顔を出せないのがすこしもどかしい。本当は毎週どこかの書店に行ってじっくり棚を眺めたいのに、時間がなくてできていない。

そんなことをうだうだと考えていたからか、乗る電車を間違えていたことにすぐ気づかなかった。来る時にはまったく目にしなかった駅名が車内でアナウンスされている。私はなぜいつもこうなのだろう。

その後は無事に阪急に乗り換えることができた。気持ちを落ち着けようと、水無瀬にある長谷川書店へ向かう。長谷川さんと話をしていると気持ちが落ち着く。私にとってここは本屋でありながら、お寺のような空間でもある。

そろそろ帰ろうかと思って、BRUTUSをレジに持っていく。長谷川さんは「自分のとこで買ったらええのに」と笑っていた。

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