文章の音
女子は今も昔も、きっと未来も永遠に星占いが好きだったりする。
有名な占星術師で作家の石井ゆかりさん。
占星術師というより星の詩を詠んでいる星詠み家といったほうがしっくりくる。彼女の「星読み」というサイトにも有料登録していたくらいちょっと夢中なときがあった。
星占いだからもちろん自分の星座「かに座」から読み始めるのだか、他の星占いと違うのは、自分の星座だけにどどまることが出来ず、最終的に12星座を全て覗き読みしてしまうような12短編エッセイ、そんな星占いなのだ。彼女の丁寧でいて、独特な表現がそうさせているのだと思う。
石井ゆかりさんの表現というのは、なんとなく古風でちょっぴり複雑な表現だけれども、音としてなんだか気持がよく最後まで流れていくような文が多くある。その反面、流れるように読み終えると、あれ?さっきのってどういう意味?と後からまた読み返さないといけないといった、ひと工程も加わってくる。気持ち良いが、多少面倒でなくもない。。しかし、その多少面倒な工程が終えたにもかかわらず、また他のものも次々読みたくなるという、ちょっとしたホーリック(中毒)だ。まるで中学の少女のように好きな占いを夢中に覗き読みしてしまうのだから、こんな自分も困ったものだ。
今の時代それはそれは沢山のブログがあって、「分かりやすい、面白い、さらっと読める文章」が山ほど溢れている。携帯の画面をさーっとスクロールして一度で理解できてしまうほど、そういった文章力に優れている人が多く、文章力の足りない私はいつも感心するばかりだ。本当にどれも、とても読みやすく書かれている。
ただ一方で、携帯の画面をスクロールしているのにもかかわらず、なぜだか、月明かりの下、窓際で本をゆっくりめくって読んでいるような気分になれる作品には魅力が沢山詰まっている気がするのだ。少々複雑だけれども、流れるような音で作られた、ロマンティックで、読み終えたあとも、しばらく、その物語に浸れるような作品。
今の私はそんな作品をとても読みたいような気分です。
そんな感じです。