
アフターコロナは「マルチステージ」へ
2016年11月に発刊され話題となった「LIFE SHIFT」
このライフシフトの本が発売されて一気に「人生100年時代」というフレーズが拡がった。
この本の著者であるリンダ・グラットン氏の提言である人生戦略の中で最も注目すべきが「マルチステージへのシフト」である。
本の発売当時、この本を読んでみたのだが漠然とした感覚でしか捉えきれず、将来はそんな世界になるのだろうな?といった感じだった。
しかし、今回の新型コロナウイルスが世界に与えた影響で、アフターコロナはこの本に書いてあることが現実となり、更にそのスピードが加速していくことだと確信に変わった。
では、このマルチステージとはどういうものかと気になるところである。
その前に今までのステージを考えてみよう。
これまでのステージは「3ステージ」だった。
この説明は簡単で、生まれてから物心がつけば「教育」が始まり、その教育は「仕事」を得るための教育で、仕事に就けばリタイヤまで働き続け、そして「老後」を迎える。この老後の為に仕事をして、そのために学生の時に勉強をする。
こんなライフスタイルが標準的で、誰も逆らわずに当たり前だと考えられてきた。
たまにイレギュラーな人を見受けられることがあるが、その人は「変わっている人」や「破天荒な人」などと分類されることがあった。
当然、日本の中では義務教育を終えても殆どに人は高校・大学に進学し、就活を行って就職する。
このようなレールに沿って教育が行われているので仕方がない。
しかし、最近ではこのようなレールが正しいのか疑問に思う人も増えてきているようだ。
10代の若い人でもその業界のトップで活躍している人も多く出現してきた。
将棋の藤井聡太氏やサッカーの久保建英氏、卓球の張本智和氏など挙げると数えきれないほど若い人が活躍している。
彼ら彼女らは既に3ステージの考え方等は頭にはない。
自分の才能を磨き上げるのに逆に3ステージは邪魔になる。
ただ、これはスポーツや将棋、芸能界だから許されているわけではなく、
私たちも同じように考えなければならない。
マルチステージは人生100年時代を迎える中で、今までのような3ステージの考え方ではリタイヤ後が長過ぎる。
もちろん、お金も底をついてしまう。
人生80年時代では3ステージでも何とか幸せに生活できていた。
しかし、現在では生活スタイルも多様化し、終身雇用もレガシーと感じるようになってきた中で、3ステージのライフスタイルは限界に感じる。
その原因は「仕事」である。
3ステージでは組織に依存する場合が多い。
組織の知名度、ブランド力、安定性、成長性を考えて職に就いた人がほとんどではないだろうか?
それが、たった一つのウイルスの出現で社会が大きく変わってきた。
取り巻く環境も変わってきた。
業界も変わってきた。
しかし、組織に依存していた人はその流れに逆らうことは出来ない。
そんなあらゆる環境の変化でも対応できるために「マルチステージ」が必要になってくる。
3ステージで来た人が、いきなり65歳まで、70歳まで、75歳までと働き続けるのは非常に厳しいだろう。
スキルを上げて、複数の収入源を保ち、依存をしない生き方が100年時代を乗り越えられると本著は唱えている。
そのためには有形の資産と無形の資産を築き上げることが大事だと。
有形の資産の中にはお金だったり、家だったり、土地だったり家計の財務表に載ってくる資産ですが、
無形資産は財務表には載ってこない。
実はこの無形資産を築くことがとても大事なことである。
例えば、仕事のスキルであったり、多種多様な知識だったり、地域とのコミュニケーションも無形資産と言える。
どうしても組織の中で留まれば、スキルも限定されたり、狭い知識でしか判断できなくなったり、人との交流も限定的になる。
これでは無形資産は築けない。
今回のコロナが与えた私たちのこれからのライフスタイルについての問題提起をここで真剣に考えるべきだと思う。
そのためにもう一度この本を読むことを薦める。
この時期だからこそ感じるものがあると思う。
さあ、あなたのマルチステージへの扉は目の前だ!
手には未来へのカギを持っている。
そのカギで目の前の扉を開けるかどうかはあなた次第。
ひとつだけ確実に言えるのは、あなたは今鍵を持っているという事実である。