好きな映画監督の話

ヨルゴスランティモス監督の映画を見ると体調が悪くなります。アリーアスター監督もそうです。似ています。
それでも見たくなるほどの中毒性があるのは、やはり彼らが評価されている映画監督だからでしょう。

ヨルゴスランティモス監督の映画は、「哀れなるものたち」が一番好きです。
これは原作の小説をもとに作られた映画です。
絵本の世界かのような美しい街並みやドレス。
魚眼レンズで撮影されるシーンもあり、さらに独特な世界観を醸し出しています。
エマストーンの圧倒される演技力により、一層ヨルゴスランティモス監督が作りたいであろう世界を完成に近づけています。
「聖なる鹿殺し」がいちばんにがてです。
クリスチャンタフドルップ監督の「胸騒ぎ」と似ています。
幸せな家庭が崩壊へと徐々に進んでいく様は、どんな恐ろしい怪物が出てくるホラー映画よりも気分が悪くなります。

アリーアスター監督は、「ミッドサマー」が一番好きです。
居場所がなく毎日涙するダニーに、どんな形であれいるべき場所が見つかり笑顔で映画が終わるのは非常に心地が良いです。
その分多くの犠牲が払われていますが。
「ボーはおそれている」がいちばんにがてです。
この映画にはメッセージ性がないと言っても過言ではないからです。
私は頭が悪い人間なので、映画や音楽や本に意味を見出したくなります。
それなりのお金と時間を払ったのです。
ならばそこから学びがなければ割に合わないと考えます。
この映画から学べることはないでしょう。
ただ混沌とした主人公であるボーが見ている世界そのままが映し出されます。
主人公を演じるホアキンフェニックスは、ジョーカーも演じています。
体型管理がお上手な俳優さんで、この2作を比べると別人かのように見えます。
体型で言えば、この2作品の中間に当たる映画は「C’mon C’mon」だと思います。
この映画は全編白黒の映画でとても没入感があります。
人とコミュニケーションを取りたいのにうまく取ることができない、相手を理解したつもりになっている愚かな自分、など目を逸らしたくなるような嫌な自分自身を見つめることができました。
もちろん説教じみた映画ではなく、心が爽快になる素敵な映画です。
ホアキンフェニックスは「GUNDA」という映画のプロデューサーをしています。
こちらも全編白黒の映画です。
セリフは一才出てきません。
ただひたすらに90分間家畜の映像が流れます。
家畜が毎日生きている、ただそれだけを彼らの目線で眺めます。
動物好きの私にとってとてもとても魅力的な映画でした。

濱口竜介監督の映画も好きです。
「悪は存在しない」「ドライブ・マイ・カー」はお気に入りの映画です。
悪は存在しないは映画のラストで泣いてしまいました。
あの寒空と静かな田舎に不気味に漂う二項対立。
映画を観た後はいろいろな考えが堂々巡りになり眠れませんでした。
素敵な映画です。
ドライブ・マイ・カーは村上春樹の小説が原作です。
不倫の描写が出てきます。
不倫といえば、「恋する惑星」が代表作であるウォンカーアイ監督の「花様年華」を思い出します。
ドライブ・マイ・カーと花様年華は両者とも旦那/妻を愛しています。そして両者とも旦那/妻の不倫に気がついています。
不倫や浮気、叶わない恋があたかも美しいように感じている人が一定数いるように感じます。
私は不倫や浮気、人の恋心を弄ぶような人が嫌いです。
でも、裏切られた側が他の人間にすがるような、他の人間で穴を埋めるような行動をしてしまう気持ちは分かります。
そんな裏切られた側の描写があるので、この二つの映画は印象に残っています。
また、両者とも旦那/妻の不倫に対してどこか冷静で静観しているように見えるのです。
それは彼らが思考停止して傷つかないようにしているのか、あるいははなから相手に期待をしていないからなのか分かりません。
ただそれが印象的でした。

ドライブ繋がりでエドガー・ライト監督のお話もしましょう。「ラストナイト・イン・ソーホー」や「ベイビー・ドライバー」などの映画を手がけた監督です。
どちらも音楽が素晴らしい。
ラストナイト・イン・ソーホーは60年代のイギリスの音楽とともに、アニャ・テイラーやトーマシン・マッケンジーが美しく踊ります。
ベイビー・ドライバーもサウンドトラックが素晴らしく、プレイリストにまとめて時々聞いています。
トーマシン・マッケンジーがとても美人で、もっとたくさんの映画に出て欲しいなあと思います。

まだまだ映画初心者ですが、たくさんの作品を見ていこうと思います。
年内に200本映画記録達成したいなぁ。
あと28本、、なかなかの量。


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