天ぷらまんじゅうへの愛と悲劇
コロナ禍のなかでわたしは去年の年末以来、実家に帰れていない。
家族に会えないのは悲しいが、今の世の中、テレビ通話なる便利なものがあり、遠くはなれた顔を合わせて話すことができる。
ただ……食べられないのだ。
世にも、世にも美味しい、
天ぷらまんじゅう
が食べられないのだ!!!見ることはできても!見たって悲しくなるだけだ!
悲劇!!!
そもそも天ぷらまんじゅうはレアなのだ。
お彼岸やお盆にしか出てこない、数ヶ月に一回しか食べるチャンスがない、大変にレアなやつなのだ。
なのに今年は一回も食べられていないのだ。
天ぷらまんじゅうというのはその名の通り、まんじゅうを天ぷらにしたものだ。
揚げたてを食べるとまわりの衣はサクサクであつあつのあんことしっとりの皮が絶妙においしい!
ならば、まんじゅう買ってきて自分で揚げればいいじゃん。
と、思うだろうが、ただのまんじゅうではだめなのだ。
何回それで失敗したことか。
スーパーで買ったまんじゅうを揚げてみたら、全然違った。油を吸った皮がべったりとして、あんこもまとわりつくように甘かった。
ちがう!これじゃない!
天ぷらまんじゅう専用のまんじゅうは皮の水分が少なめ、あんこの甘さも控えめになっていて揚げてちょうどよく美味しくなるよう調整されているのだ。
地元の和菓子屋さんの専用のまんじゅうでなければ、あの味は出ない。
涙がでそう。
あと、もし、専用のまんじゅうが手に入ったとしても……家族みんなで集まって、ご先祖様にお詣りをして、おばあちゃんや母がまんじゅうを揚げてくれるのをまだかまだかと子供たちが待っている。
あのわいわいした感じが余計天ぷらまんじゅうをおいしくしているのかもしれない。
きっとひとりだとだめなのだ。
でもほんと、世にも美味しいので揚げたてを食べてみてほしい。
長野に行ったらぜひとも。