10年


爪先に。

指先に。

睫毛に。

悲しさが降り注ぎ積もっていつか潰れる。

喉に。

心臓に。

肝臓に。

会いたいが次々と流れ込む度にこびりついていつか破れる。

そう思ってあの日から10年。

まだ潰れず、破れない。

愛しくてひとつも落とせないから。
寂しくて少しも放てないから。







東日本大震災から10年によせて、詩を書きました。(詩のキマリとかそういうのはわからないけど詩のツモリ。)

これは3月から見つめて書いて消して繰り返して今まで下書きにいました。
なのでもう4月です。

短くて長い、 10年でした。

ただ、遠くにいたわたしでもいろいろいろいろいろいろを脳裏に焼きつけて、いろいろいろいろいろいろを考えさせられたから。

きっとみんなもっといろいろいろいろいろいろいろいろあるのでしょう。

わたしは毎年訪れるあの日を、不可能なのはわかっていてもみんながみんな、世界の誰でも悲しくなくて優しさを抱きしめてあたたかい、そんな瞬間とその続きを願う日にしました。









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