尾崎世界観「母影」を読んで
2021年6月30日
芥川賞にノミネートされた「母影」
著者はロックバンド クリープハイプのボーカル尾崎世界観。
読後真っ先に出てきた感想は、
「どういう感想をもったらいいんだろう」
だった。
主人公は小学校低学年と思しき女の子。
彼女のひとり語りで進んでいく物語。
お母さんが働くマッサージ店は、おそらく性的サービスを提供している。
そしてそのお店のカーテンを隔てて、主人公を待たせている…!
カーテン越しのお母さんの影=母影(おもかげ)なのか…
お客さんとお母さんの会話が聞こえる距離。
こんなのアリ?
読んでいて辛かった。
主人公は、お母さんが何か恥ずかしい事をしていると察している。
できればやめてほしい。きっと恥ずかしいことだ。
それでもお店に足を運ぶ。
先述の通り、作品にどういう感想をもったらいいのか分からなかった。
分からなかったんだけど、
「私は何が欲しくて、何を失いたくないんだろう。」
作品を通してそんな質問を投げかけられた気がした。
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何度も母影の事を思い返してしまう。
同時に、私が欲しいものと失いたくないものについて考える。
尾崎世界観に爪痕を残されたって事か?
読書ってこういう楽しみ方もあるんだな…
余談。
「言っていい?」の使い方がうまいと思った。
クリープハイプの「ラブホテル」を連想した。安直。
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