初note シメサバと妹
私には意外にも好き嫌いが結構ある。
食わず嫌いも多かった。
そしてかなり胃腸が弱い。
その為ナマモノには異常に敏感であった。
旦那と付き合った当初
「食わず嫌いはダメ、まずは食べてみて本当に無理だと思ってから嫌いだと言うべき。」
と言われ、確かに大人として食わず嫌いは恥ずかしいな、と食べた事ない物を進んで食べることにした。
まず当時嫌いだったもの。
生牡蠣
味を想像すると、うぅ...ってなって鳥肌が立つ。うう、うう、うう〜!!生臭そう。でも食べてる人はとても幸せそう。美味しそうに食べている。あたったらお腹を壊すというのに。リスクを負ってまで食べたいのか。
あん肝
あん肝って何?誰のどこの部分?どうしてそんなカラフルな海苔巻きみたいな見た目なのか。絶対に毒がある。明らかに体に悪い色をしている。
蟹味噌
色が汚い。
白子
見た目がキモすぎる。誰も美味しそうに食べていない。
パクチー
食べた。吐いた。あんなカメムシ風味の葉っぱは2度と食べない。
ひかりもの
美味しそうに見えない。臭そう。というか多分臭い。光ってる皮のような所はなぜ取らないのか。取ったら「ひかりもの」ではなくなるのか。
そして食べてみたもの
あん肝は克服。見た目のわりに美味しかった。お酒が進むいいおつまみだった。悪口を言ってごめんなさい。
蟹味噌。磯丸●産で無事好物へと変わった。
しかし某居酒屋で食べた蟹味噌のグラタンであたり、クリスマスに家で1人6時間吐き続けたので注意が必要。
白子。口に入れた瞬間1発KOだった。鳥肌が止まらない。歯応えがおかしい。口を半分開けてアワアワしてしまった。気持ち悪い。まず見た目がアウト。脳味噌。どこがクリーミーなのか。
これはそもそも何かと聞いたら「精巣」と言われオーバーキル。私は死んだ。
牡蠣は未だに生で食べたことがない、なぜなら怖いから。
でも食べたい、この最悪なラインナップの中でみんなが1番美味しそうに食べている。
カキフライはとても美味しい。
そしてこの中でもダントツで嫌いなのがシメサバ。
親友も把握済みである。
生臭いものに酢を足さないでほしい。
「シメ」とは。
酢で「シメ」たという事なのか。
シメるな。
全然しまってない。
面白くない。
でも皆シメサバを美味しそうに食べている。
居酒屋で飲んでいるおじさんはお酒飲みながら「堪らない」という顔で食べているのである。
私はシメサバを何度も挑戦した。
おじさん達が美味しそうに食べてるのを見てこのシメサバならいけるのでは...と10回は挑戦した。
予想通りの味で、オエッとなりいつも辞める。
やはり私には克服できないのだ、白子と同じだ。
もうシメサバを好きになるのは諦めよう。
そう思っていた時に妹がセブンイレブンでシメサバを買ってきた。
あぁ。
前に妹の家で集まって飲んだ時義弟も食べてたな。
美味しい美味しいって。
そんなバカな。
騙されている。
所詮コンビニだ。
美味いわけがない。
だってあのシメサバである。
しかしたった今妹が美味しそうに食べている...
よし、これで最後にしよう。
これが不味かったらもう二度とシメサバは食べない。
美味しいのでは...と期待もしない。
そう思って1切れ食べてみた。
美味しい....。
かなり美味しい。
もう一切れ食べたい。
身がフワフワなのにきゅっとしまっている。
これが酢の効果なのか?
2切れ目を食べる時に観察した。
やっぱり美味しい。
一回炙っている?炙ったから美味しいのか?
そしてテーブルの上のつまみはチョリソーが1本、シメサバが1切れ残っていた。
もちろん私はシメサバを狙っていた。
妹に見せられていた東海オンエアの動画が終わったら妹に
「私はシメサバが食べたいからチョリソーを食べてほしい」
と交渉するつもりでいた。
動画の途中もシメサバの事を考えていた。
今はチョリソーより断然シメサバがの方がいい。
シメサバって本当にこんな味だったのだろうか、私の味覚が変わって一段階大人になったのでは。
そう考えていた時に悲劇は起こった。
なんと妹はなんの躊躇いもなくシメサバを食べてしまったのである。
私は呆然とし、箸を置いた。
妹は母親の昔話を面白おかしく語っている。
しかし私はシメサバの事で頭がいっぱいである。
なぜ私に許可を得なかったのか。
私が好き嫌いを克服したならもっと食べろと勧めるべきではないだろうか。
こんな無慈悲な女が本当に私の妹なのか。
そして私はその日、お酒を飲むのをやめてしまった。
とにかくセブンイレブンの炙りシメサバは美味しかった。
今後もうシメサバに挑戦する事はないが、セブンイレブンの炙りシメサバしか食べないと思う。