File番外編.知識から価値を伝える、ケアンズのガイドさん
高校時代の友人たちがオーストラリアに遊びに来てくれるということで、ケアンズへ行ってきた。
今回のケアンズ旅行、特にブログにするつもりはなかったのだが、色々と文字にしておきたい刺激があったので、残しておこうと思う。
2泊3日という時間の中で、
1日目
グレートバリアリーフ
グリーン島シュノーケリング
2日目
スカイレール
コアラの抱っこ
アーミーダック(水陸両用車両)
キュランダ鉄道
3日目
ケアンズ市内散策
というプランで動いた。
今回の旅行、ホテルからツアーまで全て友人が予約してくれたので、私は行き先くらいしか頭に入れてなかった。
まず驚いたのは、ケアンズの日本人の多さ。
旅行客だけでなく、グレートバリアリーフへ向かう船のスタッフも、シュノーケリングツアーのインストラクターも、キュランダ鉄道のガイドさんも、みんな日本人だった。仕舞いには、レストランのメニューまで日本語。
それだけ日本人の観光客が多いのだろう。
海外の知らない土地で、日本人が多いというのは、安心感はあるものの、同時に海外特有のドキドキワクワク感が半減してしまうような気がしないでもなく、「日本にいるみたい」なんて言いながら、旅行をスタートした。
これが結果としてこの旅行の楽しさを倍増させる要因の一つであることに、その時はまだ気づいていなかった。
その出会いは2日目のキュランダ1日ツアーでのことだった。
どきどきツアーズというツアー会社の担当してくれた日本人ガイドさん。
(何の許可も得ずに勝手に書いているので、名前は伏せておく。)
テキパキした方だなぁ、というのが最初の印象だったのだが、このお姉さんのガイドが最高に良かった。
先程も述べたように、何の予備知識も持たずに迎えた今回の旅行。
キュランダの熱帯雨林が世界遺産だということも行く直前に知ったし、それがなぜ世界遺産なのかも、歴史も何も知らない私にとっては、ああ、景色が綺麗な山なんだろうなー、世界の車窓からのオープニングで使われたとこらしいなぁー、くらいの認識だった。
世界遺産の価値がわかる人間からすれば、訪れる資格なしの札をつけられてもしょうがない、我ながら非常にもったいない旅行の挑み方だと思う。
それがこのお姉さんのガイドのおかげで、180℃見方が変わった。
世界最古の熱帯雨林に囲まれた村 キュランダ。
キュランダの熱帯雨林はアマゾンよりも歴史が古く、1億年以上前の自然の一部がそのまま残っていて、恐竜が食べていた植物や、絶滅の危機に瀕した植物も残っているという、地球の歴史を感じられる場所。映画アバターや天空の城ラピュタのモデルにもなったと言われている。
歴史や生息している動植物、それらの稀少価値や危険度を語る為のエピソード、具体的にイメージしやすい数字や比較対照を取り入れながら、非常にわかりやすく、ユーモアたっぷりに話してくれたこのガイドさん。
元々の人柄もあるだろうが、ガイドとして知識をつけ、経験を積んだからこそのトークスキルと要領の良さ。まさにプロのお仕事。
時間の許す限り、要点をおさえながら伝えられる彼女の話を聞くことで、それまでただの大きな木でしかなかったそれが、ラピュタの木になり、一気に私の中で色づく。
(カーテンフィグツリー 通称:絞め殺しのイチジク
イチジクの実を食べた鳥が木にフンをし、そこに含まれた種が元々生えている木に発芽。イチジクは根っこを地上にむかって伸ばしながら親木に絡み付き、親木の養分を吸い取りながら成長することで、親木はどんどん枯れてしまう。
イチジクは隣の木を親木にする為根っこを伸ばし、また絞め殺していく。
まさに中が空洞のラピュタの神殿に絡みつく木そのものである。)
(スカイレール
ケアンズの絶景を一望できる、熱帯雨林の上を滑るように動くケーブルウェイ。
建設計画原案完成後、熱帯雨林が世界遺産として登録された為、森林の形状を保ちつつ、生態に影響を与えないように支柱を建てる必要があった。
工事車両用の道路も作れない為、ヘリコプターを使用して上から吊す様にして建設。
スカイレールの着工発案、所有は個人。
要するに、超金持ちが3500万ドル(30億円くらい?)かけてヘリコプター使って約1年で建てたロープウェイ。(まとめると深みも何もなくなるな笑)
時折混ぜられる、彼女の経験談を元にした見所のアドバイスはまず間違いないなと思わせられたし、実際彼女に勧めてもらったキュランダ村のコーヒーショップのハニーラテはめちゃくちゃ美味しかった。
前日グレートバリアリーフのシュノーケリングで、ほぼ1日日光に当たり、海で体力を奪われ、旧友と旅行というテンションでお酒を飲みながら日付を超える辺りまで喋り、キュランダ観光当日も早朝ピックアップで動きまわり、昼食やデザートまで楽しんだ後の最後の行程キュランダ鉄道2時間。
元々体力のない私は、正直、電車に乗って座った瞬間、眠気が襲ってきたのだが、このお姉さんが話始めると、そちらへの興味が断然眠気を上回った。
ここぞ、という景色が見られるタイミング、その景色がどんな風にできたか、標高や広さ等の具体的な規模などなど、綺麗な景色に、お姉さんによって巧みに語られる知識が加えられることで、物語の様なストーリーが頭の中で再生され、写真で切り取られるだけの風景ではなく、その土地に生きた人たちの想いや文化といった深みが増す。
もちろんグレートバリアリーフも、キュランダの景色そのものも、ケアンズの穏やかな気候も、旧友たちと過ごした時間も、どれも良い思い出なのだけれど、何より私の刺激となったのは、このガイドのお姉さんだった。
人物File番外編:どきどきツアーズのガイドのお姉さん
彼女から学んだこと。
知識は、世界をさらに色づけて魅せる。
知ってるのと知らないのとでは、そこから受ける刺激が違う。
感じられる価値が違う。
中身が空っぽの私が、もっと世界を楽しむ為に身につけるべき物。
知識。教養。
知るって絶対面白い。
勉強したい。
知識を身に着けながら、旅をして、私が感じたその場所の魅力という価値を、私の言葉で伝えることができたら、楽しいかもしれない。
また生まれた、私の新たな欲求。
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