母からの凍りつくような一言
こんにちは。芙蓉です。
今日は、一生忘れることができないであろう
母からの凍りつくような一言を
書き記しておこうと思います。
この一言は、私の人生史上
もっとも謎な一言と言っても良いかもしれません。
母のリハビリ病院入院期間は、
3ヶ月ぴったり。
退院の日は、ゴールデンウィークに入る前の
春らしい穏やかな日和でした。
母がこれから入居する有料老人ホームまでの
約1時間半の介護タクシーの中で
私と母はいろいろな話をしました。
母はリハビリ病院での生活は
なかなか楽しかったそうです。
若い理学療法士のお兄さんに
料理のレシピを教えたり。
「すごく懐かれちゃったのよ」
と嬉しそうに話していました。
私は姉のことを話したかったのですが、
母から姉のことを心配たり
気にかけたりする様子は
まったくありませんでした。
忘れたのか?と思うほど、
不自然なほど
姉の話はしませんでした。
私の方から、切りだしました。
「お姉ちゃん、ママに会いたがってたいへんだったよ」
すると、母の表情はキッと険しくなり
厳しい口調でこう言い放ったのです。
「老人ホームへは、絶対にお姉ちゃんを
連れて来ないでね。
私、もう二度とお姉ちゃんには会いたくないの。
電話で声を聞いている分には、いいのよ。
ただ、もうお姉ちゃんの姿を見たくないの。
お願いね」
あまりの意外な母の言葉に
私は凍りつき、一瞬思考が止まりました。
なぜ、そんなことを言うのか?……
本当に、わからない……
姉は、母のいない約4ヶ月のあいだ、
ずっと我慢していたのです。
姉は自分が、場にそぐわない大声を出してしまうことや
周りに迷惑をかけてしまうところがあることを
理解しています。
だから、母に
「病院にはお見舞いに来れない。
周りに迷惑だから」
と言われれば、
素直に言うことを聞いて、無理に会いに行きたがったりは
しませんでした。
でもそれも、退院するまでの我慢だと思っていたから
できたこと。
姉は、母の退院を待ちのぞみ
老人ホームへ会いに行けることを
楽しみにしているのです。
なのに、「もう二度と姿を見たくないから、連れて来ないで」
とは、どういうことでしょう?
私は頭が真っ白になりました。
つづく。