見出し画像

【栄養学】人類は純粋な草食動物でしょうか?


世界中に様々な食事方法がありますが、その中でホールフード・プラントベースの食事が最も健康的な食事であることが、研究で証明されています。ただし研究者たちは、それが良く計画された食事であることを条件づけています。
なぜならビーガンの食事には、反栄養素と呼ばれる特定の栄養素の吸収を妨げる物質が含まれていたり、欠けている栄養素があるからです。

厳格なビーガンに足りないものはビタミンB12です。このビタミンは動物性食品にしか含まれていないので、ビーガンはサプリメントなどで補わなければなりません。

では、このように補わなければならない栄養素があるということは、私たちが純粋な草食動物ではないということでしょうか?

チャイナスタディの共著者であるトーマス・キャンベル博士は、次のように述べています。
【イデオロギー(物の考え方)的な反応を引き起こす危険を承知でいうと、人類は厳格なビーガンとして進化したわけではないことは明らかだと思っている。B12の補給が必要であることは、この観点を裏付けるものであるだろう。しかし、私たちは植物を食べる霊長類と遺伝的に近い親戚であり続けている。現代の栄養学は、未精製の植物中心の食事、あるいは植物だけの食事が慢性疾患の予防と回復に優れていることを示している。私たちは、肉を食べる必要はないと考えられる】

高度に加工された加工食品や精製食品、工業的に生産された家畜、海洋汚染まみれの魚介類など、現代の私たちの周りに溢れる食べ物は健康的だとは言い難いでしょう。

縄文時代ならば、人々は何も考えずに食べても健康を保てたかもしれません。しかし、現代の生活環境の中で健康に生きていくためには、私たちは栄養について学ぶことが賢明な食の選択に必要なのではないでしょうか?

今回はビーガン食では摂ることができないビタミンB12について学んでいきましょう。

ビタミンB12はなぜ必要でしょうか?
ビタミンB12は体の中で非常に重要な働きをします。それにはDNAの合成、神経系に機能する、血中のホモシステインのレベルを低く保つ、赤血球の形成、エネルギーの生産などが含まれます。

マイケル・グレガー博士は、ビタミンB12の補給は特に老年期と乳児期が一番重要な必須事項であると言います。
妊娠中にビタミンB12の欠乏症のビーガンの母親を持つ乳児に、脳の萎縮が認められたという報告があるそうです。しかし重度の脳萎縮であっても、ビタミンB12を補給すれば回復できることが判明しています。

フランスの小児科医やドイツの栄養協会、(2016年までの)アメリカの栄養学会が妊婦や授乳中の女性、幼児、子ども、青少年にビーガン食を推奨しないのは、ビタミンB12が欠けていることが理由の一つでしょう。やはりビーガン食は研究者たちが言うように、よく計画されたものであることが必須です。

ビタミンB12は肉や魚、卵、乳製品などの動物性食品に含まれています。
植物では、発酵食品やキノコ類、海藻、スピルリナなどにも含まれていると言われていますが、たとえこれらに少量含まれているとしても、生体に有用なビタミンB12を供給することができないことが判明しています。

ここから先は

4,796字 / 1画像
この記事のみ ¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?