【沖縄を感じる曲】 RITTO・Olive Oil、 CHOUJI・ネーネーズ
RITTO 「女 -HITO-」
ラッパーRITTOとDJ /トラックメイカーOlive Oilの共作「女 -HITO-」は、2013年2月にリリースされたRITTOの1stアルバム「AKEBONO」の収録曲だ。
三線やエイサー太鼓、波の音などの沖縄テイストに加え、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの「No Woman No Cry」がサンプリングされている。おそらく沖縄の音楽グループ・ネーネーズが歌った「No Woman No Cry」のサンプリングではないだろうか。
そんな心地よい音色にユニークなアレンジと深みのある音色が重なると、更に感情が揺さぶられる。RITTOのリリカルな感性からなるリリックとの相乗効果は計り知れない。彼の紡ぐ言葉から感じるのは、悲しみと喜び、陰と陽、情熱と癒し。魂から溢れ出る言の葉たちが、聴く人の魂にそっと寄り添い、光へと導く道しるべとなるようだ。
8年前にリリースされた本作。今こそ「女 -HITO-」に身を委ね、感覚を研ぎ澄ませたい。
ゆらゆら揺れる情熱のフロウ ゆらゆら揺れる景色とフロウ
キラキラ踊るお前とフロウ 抱き寄せた唇お前のフロウ
──「女-HITO-」
CHOUJI feat. ネーネーズ 「No Woman No Cry」
2021年6月4日にリリースされた「No Woman No Cry(CHOUJI feat. ネーネーズ)」 。
沖縄を軸にカルチャーを発信してるストリートブランド「BLAQ FLAVOR」から初の作品だ。ビートはトラックメーカー/ダブエンジニアのHarikuyamakuが担当。RITTOの「女-HITO-」にも使われているボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの「No Woman No Cry」が原曲となっている。
本作は琉球王朝時代(1429〜1879年)から1960年代まで続いていた「毛遊び」と、現代の沖縄のパーティーを掛け合わせた曲だ。毛遊びとは、主に夕方〜深夜にかけて若い男女が野原や海辺に集い、三線に合わせて歌ったり踊ったりしながら交流を深める慣習のこと。
古き良き風習と現代を掛け合わせた作品だからこそ、MVからもこだわりを感じる。琉球王朝時代の服に身を包んだ男女が、歌い、踊っている毛遊びの風景が流れたと思えば、プールでBBQをしながら遊ぶ現代のパーティー映像が繰り広げられる。違いはあれど「音楽」や「人と人の繋りの場」は今も昔も変わらず無くてはならない大切なものであることが伝わる。
「No Woman No Cry 」と相性の良い三線の音色から始まるこの曲。沖縄の音楽グループ、ネーネーズの美しい歌声と、女性の恋心を方言で綴った歌詞、CHOUJIの心地よいフロウとレゲエの軽快なリズムが組み合わさるとバイブスは最高超になる。
時代のシンクロが織りなす新たな「No Woman No Cry 」。今年の夏はこの曲で沖縄を感じてみては。
里前に千惚り アヒ小に万惚り 思い思まーって五年
毛遊びぬ歌声ぬ 秀らさ 三線弾ちゅる姿ぬ 秀らさ
くぬ世ぬ果報な者や 我んどぅやてーる
しに大きな夢語り この人生綱渡り
暗闇から見てる光 今日も変わらない月明かり
番外編──RICCHO 「ハイボール」
沖縄を代表するラッパーRITTOとCHOUJIは、RICCHO(RITTO &CHOUJI)としても数々の曲をリリースしている。
数ある秀作の中から、2020年8月にデジタル配信リリースした「ハイボール」を紹介したい。ビートは島根県「松江」を代表するDJ/プロデューサー、符和(フワ)が担当。
本作は一聴してわかるメロディアスなビートが印象的。ダイレクトに鳴り響くサックスが心に染み渡る。心地よいフローが印象的なフックは、一度聴けば何度も脳内で再生されるほどの中毒性を持つ。
コロナ禍にリリースされた本作。多くの人が感じているであろうもどかしさを表現したリリックと「再会」に向けた前向きなメッセージが、メロウなビートとともに晴れない心に火を灯してくれるようだ。