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バターサンド
バターサンドを発表してから1週間ちょっと、信じられない件数のご注文をいただきました。
バターサンドは東京工場でワイフと二人きりで製造から出荷までを行うので、お、これはヤバいぞ、となってます。
というのも、カノーブルでバター以外のものを発売するのはこれが最初で、そこまでは売れないだろうと考えていたので、まあのんびり手作りでやっていけばいいかとたかをくくっていたのですが、そんな事も言ってられない数のご注文をいただいてしまいました。
現段階でご注文分の約2万枚以上のサブレをどうやって僕が1人でちゃんと焼き上げるか、という問題をクリアするために製造ラインを設計しています。
そもそもそれが本職で大学の専攻でもあったので、この辺りはクリアしてくでしょう。
しかし、やはり遅くなってしまっているのは申し訳ない。
今日になるまでの途中、百貨店のポップアップとかいろいろとありまして、文字通り三日三晩寝ないとかそういう窮地に立たされてしまい、ポップアップ終了後もしばらく体調が悪く、ちょっとのんびりしていました。
(ちゃんと働けや)
今回もポップアップですぐに商品を出せというご要望にもお応えしようとしてみたのですが、やはりうまくいかない。プロならちゃんとやれ、と言われそうですが、できないものはできないので、ほんとみなさんにご迷惑をかけました。
こんなことを書いたらお前はアタマがオカシイのか?と言われるでしょうが、僕は急かされるのが異常に苦手なんです。急かされてまで仕事をしたくないんです。なのでここ1年は予約販売というスタイルでやってます。
それでも最初の出荷までいろいろとチューニングをしてしまうので、出荷期間ギリギリ、あるいはオーバーしてしまうということもあります。
そんなのらりくらりをしていましたが、チューニングが完了しました。
美しい。
ほぼバターと砂糖だけでつくっています。
バターに何かを混ぜるのではなく、バターそのもののポテンシャルを最大限に引き出すテクニック。
食べると分かってもらえるかもですが、バターだけでこんな味になるんだ〜という面白さは体験していただけると思います。
で、このバターサンド、そのまま食べても美味しいんですが、ひとつだけ付け加えていない要素があります。
それは酸味。
レーズンウィッチやその他にもいろいろなバターサンドがありますが、カノーブルとしては“バターサンドの皮を被ったバター”を作ろうというマッドサイエンスなので、ここからさまざまなアレンジで楽しみ方が広がるようにしています。
例えばこんな感じ。
ブルーベリージャムの酸味を合わせる。
果実味を後から加えていくのはテクニックとしては大アリです。
焦がしバターの風味に果実の酸味を合わせると、大仰なフルーツタルトにも負けない強さが出ます。
バターサンドなのでコーヒーや紅茶の苦味やタンニンの渋味なんかも合わせると最高なのですが、ここで一発レモンを絞った炭酸水なんかを合わせるとヤバくなります。
バターの粘質に対して炭酸水の刺激、レモンの香気成分リモネンは油分を分解します。焦がしバターの油分を分解した後、残るのは香気成分です。
バターは焦がすほどおいしくなる。
これは僕の座右の銘なのですが、この高温の乳脂肪で焦がした無脂乳固形分の香気成分こそが、人類が到達しうる最高のバターの形態なわけです。
これまでもフレーバーバターやバターチョコレートでこれを表現してきましたが、いよいよ初のお菓子でこれを表現していこうという感じです。
ということで、頑張って作ってますので、もうしばらくお待ち下さいね。
では。
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