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「外国人の入国全面停止」の意味

こういうことです。
※一部追記してます。

新型コロナウイルス緊急事態宣言とビジネストラック、レジデンストラック

NHK 外国人の入国を全面停止へ 政府 2021年1月13日 16時59分

NHKでは時期について不明確ですが…

産経新聞【菅首相記者会見詳報】(2)ビジネス往来中止「国民の不安高まる現状を重く受け止める」 2021.1.13 20:32
 首相「しかしながら、現在の国内の深刻な感染状況に加えて、直近では英国からの帰国者によるクラスター(感染者集団)で変異株が確認された事例、またブラジルからの帰国者で新たな変異株が確認された事例。こうしたことが相次ぎ、国民の皆さんの不安がさらに高まっている現状を大変重く受け止めています。国民の皆さんの命と暮らしを守る、あらゆるリスクを予防的に取り除くためにビジネス・トラック、およびレジデンス・トラックについては緊急事態宣言が発令されている間、一時停止することにします。今後、速やかに相手国との調整を完了し、これら11カ国からの新規入国を一時的に停止いたします」

緊急事態宣言の7府県追加に合わせて14日にも停止し、停止期間は緊急事態宣言の宣言期間の2月7日までとする」ということです。

これは現在手続中の者を除きます。緊急事態宣言が発令されている間なので、緊急事態宣言が延長されればこちらも延長されることになります。

会見の発言は首相官邸HPでも見れますが、記者との質疑応答については産経新聞の【菅首相記者会見詳報】(1)首相「厳しい状況を好転させるには欠かせない措置」2021.1.13 19:49 などでまとめられています。

「ビジネス目的の新規入国を停止」の意味:ビジネストラック、レジデンストラック、9月25日の決定に基づく新記入国、その他特段の事情が認められる場合の違い

以下の図は1月7日以前のものですが…

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報道されている「ビジネス目的の新規入国を停止」の意味ですが、「上陸拒否対象地域」の指定が解除された11か国のうち、シンガポール・ベトナム・韓国・中国 に対して行われていた「ビジネストラック」と、11ヵ国が対象の「レジデンストラック」という枠組みは止めるということは判明しています。

他方で、日常的な意味での「ビジネス目的の新規入国」には他にも「9月25日の決定に基づく全ての国・地域からの新規入国」と「その他「特段の事情」が認められる場合」があります。

外務省 国際的な人の往来再開による新規入国のための査証(ビザ)の申請
(レジデンストラック、ビジネストラック、9月25日の決定に基づく全ての国・地域からの新規入国、その他「特段の事情」が認められる場合)
令和3年1月13日

2 9月25日の決定に基づいて日本に新規入国する場合(すべての国・地域対象)
9月25日、日本国政府は、10月1日から、ビジネス上必要な人材等に加え、順次、「留学」、「家族滞在」等のその他の在留資格も対象とし、新規入国を許可することを決定しました(防疫措置を確約できる受入企業・団体がいることを条件とする)。この決定による新規入国許可の対象となるのは、原則として全ての国・地域に居住する当該国・地域の国籍等を有する方及び第三国籍者です。9月25日の決定に基づいて新規入国する外国人の方は査証の取得が必要です。
(注1)12月23日に発表された措置により、12月24日以降、当分の間、この仕組みによる英国からの新規入国はできません(日本入国前14日以内に英国に滞在歴のある者が対象)。
(注2)12月25日に発表された措置により、12月26日以降、当分の間、この仕組みによる南アフリカからの新規入国はできません(日本入国前14日以内に南アフリカに滞在歴のある者が対象)。
(注3)12月26日に発表された措置により、令和2年12月28日から令和3年1月末までの間、この仕組みによる全ての国・地域(既に措置が発表されている英国及び南アフリカ共和国を除く)からの新規入国が拒否されます。ただし、この仕組みにより発給済みの査証を所持する者については、原則として入国が認められます(本邦への上陸申請日前14日以内に英国又は南アフリカ共和国における滞在歴のある者、並びに、令和3年1月4日午前0時以降の入国者で本邦への上陸申請日前14日以内に感染症危険情報レベル3(渡航中止勧告)対象国・地域における滞在歴のある者を除く)。
(注4)令和3年1月13日に発表された措置により、1月21日以降、緊急事態解除宣言が発せられるまでの間、この仕組みにおける発給済み査証の効力が停止されます。
3 その他「特段の事情」が認められる場合
1)8月31日までに再入国許可(みなし再入国許可を含む。)をもって現在上陸拒否の対象地域に指定されている国・地域に出国した者であって、その国・地域が上陸拒否の対象地域に指定された後、再入国許可の有効期間が満了し、その期間内に再入国することができなかった者
 新たに在留資格認定証明書を取得し、再入国期限までに再入国できなかったことをお近くの在外公館等へご相談ください。
(2)「日本人・永住者の配偶者又は子」
 在留資格認定証明書、または、日本人・永住者の配偶者又は子であることを証明する資料(戸籍謄本、住民票、在留カードの写し等)をご用意の上、お近くの在外公館等へご相談ください。
(3)「定住者の配偶者又は子」で、日本に家族が滞在しており、家族が分離された状態にある者
 在留資格認定証明書を取得の上、お近くの在外公館等へご相談ください。
(4)「医療」の在留資格を取得する者で、医療体制の充実・強化に資する者
 在留資格認定証明書を取得の上、お近くの在外公館等へご相談ください。
 なお、「特段の事情」があるものとして上陸を許可される具体的な事例については、法務省のホームページ(PDF)別ウィンドウで開くでご確認ください。

法務省ページだと、上記分類に加えてさらに以下があります。
(法務省上は入管法5条1項14号における「特段の事情」に該当する者として、外務省とは記述の仕方が異なることに注意)

新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る上陸拒否について 令和3年1月13日現在
カ 10月1日以降に入国する者で,必要な防疫措置を確約できる受入企業・団体が本邦にあるもの(「外交」又は「公用」の在留資格を取得する者を除く。「短期滞在」の在留資格を取得する者については短期間の商用を目的として査証を受けた者に限る。

なぜ外務省ページにこれが無いのか不思議ですが。

なお、法務省ページには以下のカテゴリがあります。これはビジネスではないですが一応。

(4)上記(1)ないし(3)のほか,特に人道上配慮すべき事情があるときなど,個別の事情に応じて特段の事情が認められるもの

変異株との関係について

産経新聞【菅首相記者会見詳報】(2)ビジネス往来中止「国民の不安高まる現状を重く受け止める」 2021.1.13 20:32
 首相「水際対策について、年頭の会見において、私はビジネス・トラック(ビジネス関係者らの往来)に合意している相手国の国内で変異株が発見された際は、即時運用を停止するという方針を表明しました。同時に入国に対しての検査も強化し、水際からの感染拡大防止に万全の対策を講じてまいりました。これまでビジネス・トラックおよび(中長期滞在者の)レジデンス・トラックに合意している11カ国からの入国者に変異株の感染が確認された事例はありません

検疫法改正による隔離措置の実効性確保について

日本国内での変異株感染者の感染伝播は、入国緩和をした地域=ビジネストラック・レジデンストラックを実施している地域からの入国者ではありませんでした。

自己隔離期間中に会食をした等で感染伝播させた事例です。

よって、この点を責めるのであれば、「検疫法で隔離措置違反に罰則を設ける=強制性を持たせて実効性を確保せよ」となります。

これは行政=政府の仕事(内閣立法)でもありますが、第一義的には立法府=国会議員の仕事です。

新型コロナを感染症法上の新型インフルエンザ等に位置づける法改正が検討されていますが、それだけではこれは不可能ですので、どうするつもりでしょうか?

「ザル規制だ外国人の入国をすべて止めろ」論の恐ろしさ

ここでも書きましたが、7~9月は台湾の方が日本よりも外国人の入国者数が上です。現在も1~2万人単位で外国人が台湾に入国しています。

冒頭のツイートにあるように、生活に必要な物資が海外から入ってくる。その際には船員によるロジスティクスが必須。その中には外国人も含まれている。よって、すべて止めるということは日本国民の生活を毀損する行為。兵糧攻めをしろ、と言っているということ。

ビジネストラック・レジデンストラックで日本側での到着後検査を義務化したのは良いことだと思いますし、さらには一定期間の枠組みの停止を決めたことは、間違いではなくやむを得ないものだと思いますが、「全ての外国人の入国を止めろ」というのは逆に日本国の国益を損ないます。

以上

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