直腸脱の話

生後6ヶ月でヒルシュスプルング病の根治術を受けた娘が先日無事に1歳の誕生日を迎えた。

排便機能に関しては同月齢の赤ちゃんとは少し違うけれど、概ね健康優良児の娘。幸いにもヒルシュ以外はほとんど親を心配させることなく、すくすく育っている。

が、先日いきなり直腸脱を起こした。

直腸脱とはなんかの拍子にお尻から直腸が出てきてしまうことらしい。夜、立ち上がって泣いていて、あ、オムツ替えて〜と旦那さんに娘を手渡した先で、旦那さんの叫び声。Oh my God!!

あぁ、後ろに漏れたかなと呑気に考えながら駆け寄ったら、お尻からなんか梅干しみたいなのが出ていた。え、これ何、内臓!?やばいんじゃない?

旦那につられて焦ったが、娘は泣いている以外は特に変わりない。冷静になったところでハッと手に持った携帯で幹部を撮影。即かかりつけの病院に電話した。

冷静と思われたがしかし実はバッチリ焦っていたようで、受付のおばさまに「小児外科に!回してください!脱腸?脱肛?とにかく娘のお尻から腸が出ちゃってるんです!」と叫んだ。

当直の先生がいろいろ聞いてくれて、ガーゼで幹部を包んで連れてきてください、と言ってくれたのでタクシーで病院へ。怖くてロンパースのスナップも留められず、オムツ丸出しでツナギにくるんで出てきた。車中でふと、ワインほとんど飲んでなくてよかった…とか考えていたその間に、娘は寝落ちしていた。

病院についてオムツを開けたらあら不思議、出ていたはずの腸は跡形もなく消えており、ひと眠りした娘はご機嫌。後には、ガーゼのみが残っていた。

たしかに出ていたんです…と写真を見せると「お母さんナイス」とお褒めの言葉を頂いた。えへへ。しかし、「念のため入院を第一に勧めたいのですが…」と言われて一気に動悸が。え、今から付き添い?と思っているとどうやらコロナ禍のため自費でPCRを受け(3万弱)、結果が出るまでは預かり入院とのこと。

生後数ヶ月の頃ならいざ知らず、今は母子分離なんて無理。娘は後追い真っ最中。2メートルも離れたら必死で追いかけてくるのだ。置いていこうもんなら柵に捕まり泣き叫び、小児病棟の看護師の皆様に一晩中抱かれているだろうことが想像に難くない。

と焦り気味に伝えたら、「それだと返って再発をまねいてしまうかもしれませんねえ」と先生。その日は土曜日で、すぐに何か検査をするわけではないこと、あくまでもヒルシュの手術をしたことを考慮して、念の為の入院であることから、「お母さんおうちで経過観察してくれるなら」と帰宅を許された。「ただし再発したら来院時に入院セットを持参して」とマイルドな脅しつきで。

その時先生にこれは直腸脱と言うんですよと呼び方を教えてもらったが、うちの娘にはもう直腸無いんですけどねと内心で捻くれたのは内緒。そこ(お尻に)にくっついてれば、横行結腸だろうが上行結腸だろうがそれはもはや直腸ってことだろうか。

それからは、泣くたび、つかまり立ちするたび、踏ん張るたびに腸が出てきてないかヒヤヒヤする日々を送ったが、今のところちゃんと中に収まっている。願わくば二度と出てこないで欲しい。


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