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初めてのネーム、どうすりゃいいの?(超初心者向け漫画のネームのやり方)

また会ったな。
先日、以下のような記事を書いた。

ご好評いただいているようで、主にお話づくりの部分で漫画ってむずかしいな…と思っていた人にはもしかしたらこの記事でなにかお話を作るきっかけがつかめているかもしれない。そうだったらいいな。

でも一方で
「漫画はネームが一番難しいんじゃろがい!!」
というお声も頂いていて…それは…そう…!

ネームってもうなんか…漫画そのものだから…いちばん大変なのはマジでそうなんだよな…。なので今回の記事ではネームやコマ割りのやり方を初めての人向けに解説していく。

ただ、あくまで自己流だし、この記事のターゲットは「初めて同人誌を出す人」だ。描き慣れている人やプロ・セミプロの人にとってはもっといいやり方もあると思う。

ちゃんと勉強したい人は背景美塾の演出講座とかMANZEMIのネーム講座とかに行ってください(この2つは筆者も受講しており大変おすすめ)。


なぜネームで躓くのか

それはね…大抵のノウハウが「お話づくり」と「絵的な演出」と「コマ割り」の説明の境界が曖昧だから…。

例えば「ネームを直す」って言われたときに直す部分として想像するのってなんだろう。お話?絵の演出?コマ割り?全部思い浮かんでギャッ!となりませんか…?筆者はなる。

でも漫画、「君に絶対~」の記事でも少し言ってたんだけど、やらなきゃいけないことさえはっきりしてればそんなに怖くないと思うんすよね。なのでやらなきゃいけないことを順番に説明していく。

※尚、この記事では以前の記事を参照してお話的なネタメモやプロットがすでに出来ている前提で話を進めていくので、もしまだの人は以前の記事を見てネタ出しに挑戦してみてください。


【下準備】このお話でやりたいこと・見せたいことをピックアップする

手元にネタ帳やプロットと赤ペンを用意してほしい。PCでやってる人はプリントアウトするか文字色変えてもろて。

そしたらそのネタ帳やプロットの中で絶対に見せたいシーンに赤ペンで印をつけよう

この赤ペンで印をつけたシーンは実際にネームに起こす説明の際に後述するが「できるだけ大きなコマにする」シーンだ。
言いたいことが伝わらない漫画は大事な情報が小さいコマとかに描かれていて読み飛ばされてしまっているのが結構な原因なので大事な内容のコマはなんぼデカくしてもいい

なのでまずはでかいコマにするシーンを決めてしまおう。


【コマ割り】コマ割りは「ぷよぷよ」

下準備でデカくするシーンが決まったと思う。
それは一旦置いといて、下のコマ割りを見てほしい。

<例①>

AさんとBさんが交互に喋っていて、それを1人1コマずつ割ったコマ割りだ。
メリハリないし読みにくいと思う…では、これをこうしたらどうか。

<例②>

ちょっとだけ漫画らしさがアップしたと思う。
例①から例②で変えたところは「この二人が同じ温度感で会話のキャッチボールしているコマはくっつけちゃっていいんじゃない?」という考えのもと1段目と3段目で2コマを1コマにくっつけた。同じ内容のときは1コマにまとめちゃえばいいのだ。同じときはくっつくの、ぷよぷよみたい
逆に話が変わるときとかなにかが起きる時はコマを分けてあげれば良い。

ここへさらに先程の下準備で解説した「大事なコマはデカくする」の精神を注入する。するとこうなる。

<例③>

いやもう漫画。これはかなり漫画。

これはなにをどうしたのかというと、こうだ。

マジで漫画が初めてならこれでコマ割りの基本はカンペキ。多分。諸説ある。自信ないなってきた。

◆同じ場面の内容のときは1コマにまとめてしまっても良い
◆大事な内容のコマはとにかくクソデカにする

この2つだけ覚えていれば本当に最初は十分だと思う。
これを元に下準備で赤ペンしたシーンを入れるコマをデカデカにすることをメインに考えながらページを埋めていこう。
おめでとう!君にもネームが描けた!


【絵の演出】顔漫画って言われない顔漫画

おっ…
「でも、まだこれじゃ顔漫画だよ~~~~!」
って声が聞こえてきたな…。

いや、顔漫画ではいかんのか?
同人誌なんて顔が一番見たいじゃろがい!

……そうだよね、せっかく描くんだからクオリティちょっとでも上げたいよね、ごめんね。

でも絵の演出ってマジでやることいっぱいあるから、ちゃんと考えたいなら前書きで紹介したような講座に行ったりするとか、「ストーリーボードの教科書」とか「クライマックスまで誘い込む絵作りの秘訣」を読むといいと思う。ちなみに漫画の技法書ってこういうとこで根本的な役に立つ本がマジで少ないので映像系の本を読むとか自分がうめーと思う作家さんを直に参考にするのがいいぞ!

なのでちゃんとした勉強はちゃんとしたところに任せるとして、この記事では顔漫画でも「や~い、顔漫画!って言われにくくする工夫」をいくつか紹介できたらと思う。


◆最初の1コマ目だけ背景や風景を描いてみる

結局背景描くんか~い!って思った人ごめんね。
でも場所が変わる時の最初の一コマだけでいいんだわ。
自力で描かなくてもいい、写真素材や3D素材でいい。

例えばさっきの例③の漫画。

<例④>

ほらもう学園モノになったやろ…2コマ目以降の背景がまっしろけでも「あっこの二人は学校で話してるんだな」ってなるじゃろ。
次に背景を書くのはこの二人が話してる場所が変わったときの1コマ目でいい。とにかく最初の1コマ目だけ頑張って背景入れてみてほしい。


◆顔のサイズや向きを描き分けてみる

顔しか描きたくないよ~!って人も顔のサイズだけならきっとこのくらい頑張れると思う。

顔の向きもこれくらいなら頑張れるでしょ。

極論この2つだけ描き分ければ顔漫画って言われにくくなる。
顔漫画って顔ばっかりって意味だけじゃなくて「同じサイズの同じ向きの顔がずっと並んでる状態」が顔漫画って言われやすいと思う。

<例⑤>

さっきの学校を書き足した例の絵を少し顔のサイズ感などいじった。
だいぶ顔漫画っぽさが軽減されたんじゃないかと思う。遠近感も出た。


◆上手・下手(かみて・しもて)を意識する

急に違う話してゴメンなんだけど、ウルトラマンと怪獣が向き合ってるのを横から見たところぼんやり想像してほしい。

30秒で描いたティガとガゾート、へなちょこすぎる

バトル中のいろんなカメラアングルや立ち回りで向きは変わるとはいえ、大体基本のポジションって画面左から怪獣が襲ってくるのをウルトラマンが画面右から受けて立つ構図になっていると思う。

これが上手・下手(かみて・しもて)。
舞台用語で方向を指し示すときに舞台側から見て右なの?客席から見て右なの?って方向がわやくちゃにならないように使われてる言葉で、客席側から見て右が上手、客席側から見て左が下手。

…なんだけど、何故か物語はだいたい上手から下手に向かって進む。

これが不思議で縦書き文化の漫画や邦画なら実感に逆らってないのはわかるんだけど、西洋でもディーンの法則っていうのがあってそれに基づくと洋画でもそんなに意味合い変わんないんだよな。ふしぎ。(流石に全部が全部そうじゃないかもだし、アメコミは流石に直に横書きでめくりの都合あるから違うかも、そのへん詳しくなくてごめんね…)

だから物語展開的に「順調に進んでいる」「味方側が勝ってる」「進行」といったポジティブだったり自発的に進んでることを表現したいときは「上手から下手」に絵を向かわせるといいし、「大きな困難が押し寄せてくる」「敵側が強くて勝てない」「帰還」といったネガティブだったり相手のほうが攻めてくる状態になっていることを表現したいときは「下手から上手」に向かわせるといい。

おおまかに。多分。アカンまた自信ないなってきた…。

…左利きの人大変かもな~、手癖で描くと多分物語進行と逆向きの絵のほうが描きやすいと思うので…。

ちょっと難しい話になってしまった、すみません。
ウルトラマン描きたかっただけかも。

もちろん原則であってこれを破ることで出来る表現もいっぱいあるはずだから色々やりながら探ってみてほしい。


◆その他、鉄板の顔漫画回避TIPS

詳しく説明しなくてもあーあれね!となるであろうTIPSいくつか。

  • 体の部位だけ描く
    手だけ映ってるコマとか足元だけ映ってるコマとか。
    ここに例えば「悔しくて手をぐっと握りしめる」とかの意味をも持たせるともうね、こーーーりゃ立派な演出になる。

  • 抜きのコマを作る
    青空だけのコマとか風景にセリフだけ載ってるコマとか。お手軽!
    ただ、これはキャラ無しでセリフだけのコマって誰が言ってるのかわからなくなりがちなので工夫はいるかも。

  • キャラの後ろに線を1~2本引いて壁や天井の継ぎ目と言い張る
    背景を書きました!!という顔をしておこう。
    それで堂々としてればだんだん背景に見えてくるので…。
    大丈夫、4番の顔しておけばホームランも打てるんすよ。


おわりに

いかがでしたか?(いかがでしたかブログ)
そりゃまあ~~~~~クオリティを求めたら青天井なんだけど、このくらいやっておけば全く伝わらないってことはないと思う。多分。

ネームなんか自分も自信ない、助けてくれ

あとネームってやっぱ人の好き好きとか読者層とかに左右される部分もでかいので最終的には己が目指してる方向性の好きな漫画を穴が空くほど観察するのがいいと思います。
タローマンの藤井監督が流行りを追うよりひとつの作品を10回見ることも大事だって本に書いてた。

それじゃあ頑張って薄い本を出してくれ。
この世に一冊でも多く好きの詰まった本が生まれますように。

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なたの久憲
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