OFFICE TOSHIKI NASU/臨床に「易」をつかう
「易」による気づき
2022年から易を勉強しています。
きっかけは麻布に鍼灸院を構える和方鍼灸 鍼立 関 墨荘堂の関先生でした。
以前から恩師に易の話を聞いていたこともあり、いつかは学んでみたいと思っていたのですが恩師から「易は易しいと書いているが難しい」と言われていたことから学ぶことを避けてきました。
しかし、患者さんを診ていると分からないことがあるのです。
それは病なのか病気なのかということ。
その曖昧なもの正体を話から判断したり、脉や腹、舌から読み解いたり、相を紐解いたり。
ただどうしても主観的になりすぎるため、客観的にみることが必要に思えたのです。
そんな時に関先生の投稿に蒼流庵易学講座の知らせが。私はすぐに問い合わせのメールを送りました。
易とは何だろか
易経はいまから約5000年前には古代中国にあった世界最古の書物です。
それは陽(ー)と陰(- -)を組み合わせた六十四卦によって自然と人生の変化の道理を説いたもの。
各卦を説明する暗示的な卦辞に対して、さらに「十翼」と称せられる解説がつけられ、儒家的な宇宙観、倫理観を表わされています。
これらは法則性により政治をはじめ様々な場面で重要な判断がされてきました。
そして、分析心理学のユングに大きな影響を与えています。
「表面上の因果関係はなくても、無意識の層においては繋がりがあるため、シンクロニシティが起きる」。
シンクロニシティは「因果関係がないことが類似性や近接性を持つこと」です。
因果関係とは「結果」と「直接的な原因」の関係のことですが、シンクロニシティでは「直接的な原因とは無関係に思えること」と「結果」の間に関係性ができます。
ユングはシンクロニシティが起こる理由を「集合的無意識によるもの」としました。
集合的無意識とは、個人の心理より心の深層にある「無意識の層」のことで、普段は意識できない領域のことです。
患者さんを診ていると、いま起きている現象に対して何かを施すということが表面的に思えることがあり、その奥底にあることがきっかけになっていると感じることが多々あります。
私はそのことに興味も持ちました。
とはいえ、私は心理学者でも占い師でもありません。
ただ目の前の人の理解が施術には必要であると考えたのです。
腎臓癌の方の発熱に対して
ある時。
既往歴に腎臓癌を患った方の奥様から「主人が発熱したので診て欲しい」というメールがありました。
この夫妻とは5年ほどの付き合いがあり、ご主人が慈恵医大病院で腎臓癌の手術を受けて1つ摘出していること、透析のならないように気を付けていることなど聞いていました。
いまは鍼灸を受けることで透析にならないように体調管理をおこなっているのですが、発熱をしてから喉が痛いため何とかして欲しいと連絡があったのです。
鍼灸は発熱や風邪に対して有効ではありますが、コロナ禍になりそのような施術をおこなうことは感染リスクを考えておこなわなくなっていました。
また持病のこともあるため、嫌な予感がしたので筮竹を取り出したのです。
山風蠱(初)
筮竹を取り出して占ったところ。
その結果は山風蠱(初)でした。
私は早急に病院へ行くことを勧めました。
奥さんはご主人を助手席に乗せ、病院へ急いで車を走らせたそうです。
そして検査をおこなったところ、肺炎の疑いだけでなく透析の可能性も伝えられ、2週間ほど入院することになりました。
早急に対応したことで数値も落ち着き、結果的に透析をおこなうことはなくなり、医師は回復力に驚いていたそうです。
私は「蠱」の意味、初爻が出た理由から一刻も早く対処した方が良いと考えて鍼灸を選択することをしませんでした。
まとめ
鍼灸の適応は肩こりや腰痛といったものだけだと思われることがありますが、実際には風邪や発熱、喉痛にも効果があります。
鍼灸はただ単に身体に物理療法を施すというものではありません。
メンタルヘルスや自律神経に対しても良い効果をもたらします。
そして今回のようなケースに対して、占うということもまた必要な時があります。
「鍼灸の受療率が低さは鍼灸師・鍼灸院の差が大きい」という話を患者さんから聞きましたが、少なくともこの場所があなたに必要な場所であれたら良いと思っています。
【OFFICE TOSHIKI NASU】はこのようなことを大切にしている鍼灸院です。
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