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名文today_82/『目利きのヒミツ』

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もうちょっと具体的なものでいうと、たとえば床板のズレだ。水平に広がっている床を歩いていて、ほんのわずか斜めに落ちた部分を、いつもは鈍感に見える足の裏が、あれ? と感知している。別にだからどうということはないのだけど、人間は大して役に立たないところでものすごく敏感である。じつはその集積が意外に大きな力となって、世の中は呼吸して動いているのではないだろうか。

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目利きのヒミツ/赤瀬川原平/2002年/知恵の森文庫

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