IQ18の白岩次郎君がスタンダップコメディアンを目指す理由は?白岩次郎さんインタビューより(おくやまプロジェクト#008 )

今回は、私のスタンダップコメディアン修行仲間?である白岩次郎君のインタビュー。知的障害当事者の次郎くんが、どのように世界を捉え思考しているのか。お母さんのよしこさんも知らなかった、次郎君の将来設計とは?前回の記事、次郎君のお母さんであるよしこさんのインタビューのアンサーみたいなところもあります。かいつまんで要約しようとメモりながら見ていたら、またまた良すぎて全編にわたって文字起こししてしまいました…。ぜひぜひご覧ください!

以下、インタビュー。

次郎くんの毎日。大好きな職員さんのお別れ会があった

よしこさん「9時30分から11時まで草取りをして終わって、草取りをして、みんなと一緒にお昼ご飯を食べて、ママはここにいたけど、僕は事務所でみんなと職員さんのお別れ会をした」
よしこさん「それが平日、通所している福祉事業所で、レストランを週に三回していて料理がとても大好きで、お別れする職員さんはシェフさんだったので、シェフさんのところに行っては”仕事何かない?”と」
次郎君「うん」
よしこさん「お皿を、コップを洗ったり」
次郎君「ブブ」
よしこさん「ペットボトルか」
次郎「うん」
よしこさん「買い出しに行ったり、週に二回買い出しに行ったり」
次郎君 3のジェスチャー
よしこさん「三回か」
次郎君「うん」
よしこさん「包丁まで持たしてくれたんだよね。買い出しに行ったり。そのシェフさんが辞めるから、悲しくてしょうがないんだよね」
次郎君「うん」
よしこさん「だから悲しみに包まれて帰ってきたんだよね」
次郎君「うん」指さしのジェスチャー
よしこさん「悲しみをいやしにスーパーに行ってジュースを買って飲もうと思ったら」
次郎君「うん」
よしこさん「ママがダメっていうから」
次郎君「うん(笑)」
よしこさん「それで”なんでだよ!”って思ったら、そうだったそうだったって(この撮影がある)?」

次郎くんのお仕事は?家事手伝いの手数料と作業所の工賃、そしてスタンダップコメディアン


次郎君「うん」向こうを指さす
よしこさん「ちょっと一杯ひっかけに行ってくる」
次郎君「うん、いけ」指さしでおいでおいでするようなジェスチャー
よしこさん「なんか出す?」
次郎君「うん」
よしこさん「半額になってるかもしれない?スーパーに?」
次郎くん 指の位置を動かすジェスチャー
よしこさん「じゃなくて?荷物?」
次郎くん 指でここをトントンする。
よしこさん「ああ、粗大ごみにシールを貼って?」
次郎くん(そうそう!という表情とジェスチャー)
よしこさん「夕方出す仕事があるから」
次郎くん 両手でグーして「うん!」と。そうそう!みたいな表情。そして自分を指さす
よしこさん「お母さんから手数料を稼ごうと思ってる」
次郎くん「うん!」笑顔で
よしこさん「ああ、それはひどい話だな」
次郎くん爆笑


よしこさん「僕の仕事は、ママからお小遣いを、お小遣いじゃないね、家の仕事をして、手数料をもらうことと、日中行ってる作業所の工賃と、ここで開くスタンダップコメディのステージに出ることが、僕の仕事です」
次郎君「うん!」
よしこさん「だからここは、6月に引っ越してきたんだけど、ここのお部屋にたくさん人が呼べるねって言って、ママがスタンダップコメディクラブを月に一回はじめて、しゃべらないスタンダップコメディアンとして月に一回ステージに立っています」
次郎君「ママが」といってよしこさんの頭を叩くジェスチャー
よしこさん「ママが?」
次郎君ノートを指さして「わー!」
よしこさん「たくさん質問があるから、よろしくって?」
次郎君「うん!」

買い物好き

よしこさん「好きなことは」
次郎君「うん」
よしこさん「買い物」
次郎君「うん」
よしこさん「あと、好きなものはお金」
次郎君「…」
よしこさん「え?お金じゃないの?お金大好きじゃなかったっけ」
次郎君 首を横に振る。
よしこさん「違うの?お金は、買い物できるお金があればいい」
次郎君「うん」
よしこさん「別にお金が好きなんじゃない」
次郎君「うん」
よしこさん「じゃあ、買い物の何が好き?」
次郎君「ブタ」
よしこさん「ブタっていうのは唐揚げのこと?」
次郎君「うん」
よしこさん「唐揚げが一番好き?」
次郎君「うん」そのあとキッチンの方を指さす
よしこさん「それから好きなものは、あと何があったっけ」
次郎君「すぅーー(息を吸いながらよしこさんを見る)」
よしこさん「思いつかない?」
次郎君「うん」
よしこさん「じゃあ、から揚げが大好きな人」
次郎君「うん」
よしこさん「それ以外は何かなあ?」
次郎君 首を振る。
よしこさん「買い物以外になにかなあ、一人で行くのが好き?」
次郎君「うん」
よしこさん「それは、一人でバスに乗って、スーパーに行って」
次郎君「うん」
よしこさん「今日の特売品は何かなと思ってみて」
次郎君「うん」
よしこさん「で、買ってくるのが好き」
次郎君「うん」
よしこさん「それで」
次郎君「ママ」
よしこさん「ママに見せると」
次郎君「うん」
よしこさん「”なんでこんなの買ってきたの”と言われるのはイヤ」
次郎君「うん(笑)」
よしこさん「だけど、ママがダメ出ししてもダメ出ししても」
次郎君「うん」
よしこさん「買い物に行ってるね」
次郎君「うん」
よしこさん「そう、そこはめげずに行ってるね」
次郎君「うん」
よしこさん「明日も行く?」
次郎君「うん」
よしこさん「毎日いかなくてもいいけど笑」

自薦ヘルパーさんとのショートステイが楽しみ


次郎君「うん」といいながら肘の内側を手で切るジェスチャー
よしこさん「スズキさんが?」
次郎君 ここを指さす
よしこさん「一緒にお泊りするとき?」
次郎君「うん」
よしこさん「ショートステイ?」
次郎君 首を振って「バッチ」
よしこさん「場所がわからないって言ってたよね」
次郎君「うんうん」
よしこさん「そうそう、今日辞めた職員さんが、施設型ではない単独型ショートステイを、海老原宏美さんが遺して言ってくれたんですよね。マンションの一室を借りて。そこは自薦のヘルパーさんを登録してもらって、次郎が特定の職員さんに”僕のヘルパーさんになってくれない?”って頼んで、で、”いいよ”っていうことで、ショートステイのヘルパーさんとして来月は3日ほど決まっています。それが楽しみだよね」
次郎君「うん」
よしこさん「それがなければもう心が折れそうだったよね」
次郎君「うん」
よしこさん「”えー!もう会えなくなるの?僕も仕事辞めちゃおう”って言ってたよね」
次郎君「アカ」
よしこさん「コイズミさんも言ってた?」
次郎君「うん」
よしこさん「え、そうなの?」
次郎君 ひじのあたりを手で切るようなジェスチャー
よしこさん「スズキさんがいなくなると、僕は…?」
次郎君「よっしゃー!」と両手をあげる
よしこさん「えー、なんで?」
次郎君 手の指で、4,5を示す
よしこさん「4時とか5時に?」
次郎君「うん」といったあと首をかしげて「あー」と指をまわし「アコ」
よしこさん「ヤオコーに?」
次郎君「うん」
よしこさん「あ、(と何かに気づいた様子)4日の日のショートステイの話してる?」
次郎君「うん」
よしこさん「4時に帰ったら、ショートステイに行ったら、一緒にヤオコーに買い物に行けるしすごい楽しみなんだよね」
次郎君 鍵を開けるジェスチャー
よしこさん「で、鍵を開けたり、初めてだから…」
次郎君 ちょっと首を振って手を拡げながら「んか」(時間とも聞こえる)
よしこさん「ん?」
次郎君 よしこさんの肩に手を置きながら「ママ」
よしこさん「何?ママに?」
次郎君 鍵を開けるジェスチャー
よしこさん「鍵?」
次郎君 手のひらを下向きにして振る(違う違うみたいなジェスチャー)
よしこさん「鍵のことはもうわかるんでしょ?」
次郎君「うん」
よしこさん「今はショートステイのことで頭がいっぱいだよね」
次郎君「うん」
よしこさん「初めて一緒にお泊りするのにわかるかなあってドキドキしてる感じ?」
次郎君「うん」人差し指と中指を歩かせるようなジェスチャーと、手のひらを上にして上下に動かす
よしこさん「お金、高くかかっちゃうかなって」
次郎君自分を指さしながら「うん」、両手を上に向けて上下に合わせながら「ママ」
よしこさん「ショートステイのお料理は、一緒に作れば安く上がるから。お料理、シェフだったからさ、すごい…節約できるんじゃない」
次郎君 ちょっと首を振るような感じ
よしこさん「一緒に考えてお料理できるから」
次郎君 首を振りながら「ブタ」
よしこさん「え…唐揚げは、買わない」
次郎君「うん」
よしこさん「もう何を食べようかと」次郎君「うん」
よしこさん「今から考えている」
次郎君「うん!」
よしこさん「そんな感じよね」

津久井やまゆり園事件の日の記憶「僕のところにも来るかも」

次郎君 ちょっと首を振りながら「ダン」
よしこさん「死んだ」
次郎君「うん」
よしこさん「誰かが、死んだ」
次郎君「うん」
よしこさん「…のは、わかった」
次郎君 自分の方向に指を向けながら 「うん」
よしこさん「わかって、それで…」
次郎君 下向きに人差し指を向けて力強く指さす
よしこさん「あ、ここに来るんじゃないかと思った」
次郎君「うん」
よしこさん「僕のところに?」
次郎君 うなづく
よしこさん「僕のところに来ると怖いなと思った?」
次郎君「うん!」
よしこさん「テレビが、なんか障碍者の人が殺されたって言ったから」
次郎君「うん」
よしこさん「え!僕のところにも来るんじゃない?って思った」
次郎君「うん!」
よしこさん「それは怖いね」
次郎君 カメラの方を指さす
よしこさん「テレビでニュースが流れるたびに」
次郎君「うん」
よしこさん「え!僕のところにも来るかも、って思った?」
次郎君「うん!」
よしこさん「ほんとう、じゃあ怖いね」
次郎君 うつむいて 「…」

学校で教えてくれた対策

よしこさん「そのときは県営住宅の三階に住んでたけど、そこまで来ると思った?」
次郎君「うん」
よしこさん「ほんとう?じゃ、戸締りちゃんとしなきゃいけないよね」
次郎君 無言でうなづく
よしこさん「じゃあ、見つかんないようにしないとね」
次郎君 パンっと自分の手首を片方の手でつかむ
よしこさん「え?おまわりさん?」
次郎君 スマホを耳に当てるポーズ
よしこさん「…に、電話しないとと思った?」
次郎君「うん」
よしこさん「ああ、来たらおまわりさんに電話しないとね」
次郎君「ん?」
よしこさん「助けてくださいって言うの?」
次郎君 よしこさんの肩をポンっと叩いて(違う、みたいな感じ?)、片方の指を片方の手に潜り込ませてくりくりさせるようなジェスチャー
よしこさん「学校でも言うの?えっと…その時の学校?」
次郎君「うん」
よしこさん「学校でも言ってた?」
次郎君「うん」
よしこさん「ああ。学校でもそんな話をしてた?」
次郎君「うん」よしこさんの肩を指でつつく
よしこさん「あ、そうなんだ、その日に?」
次郎君「うん」
よしこさん「学校に行ったら、その日は先生が、”今日はすごいひどい事件があったけど、みんなは落ち着いて、そんなことがあったときは、」
次郎君 「うん」手首を片方の手でパシッと押さえるジェスチャー
よしこさん「”落ち着いて電話をしてくださいね”って」
次郎君「うん、うん」

校長先生「慌てず騒がず冷静に」

よしこさん「”あわてず騒がず冷静に”って」
次郎君「うん」
よしこさん「あの学校はね、何があってもみんな慌てないようにねって言ってたから、そう言ってた?」
次郎君「うん」
よしこさん「それで、おまわりさんに電話したら助けてくれるからねって」
次郎君「うん」
よしこさん「それでちょっと安心した?」
次郎君「うん、うん」よしこさんの肩をつついて、手のひらをはじくようなジェスチャー
よしこさん「そんな心配してたの、お母さん知らなかった」
次郎君 よしこさんの肩をつついてジェスチャー 「んが」
よしこさん「え?学校で?」
次郎君 ちょっと首を振って手のひらをはじくようなジェスチャーを続ける。
よしこさん「それは?その時の、学校の話?」といいつつ、次郎君がジェスチャーをしている手を指で触れる
次郎君「うん」
よしこさん「学校の、校長先生だったツジ先生が言ったんでしょ?それ」
次郎君「うん」手首をもう一方の手でパシッと抑えるジェスチャー
よしこさん「えっと…全校集会かなんか朝礼か何かして」
次郎君「うん」
よしこさん「おまわりさんが助けてくれるからね、心配しなくていいよって」
次郎君「ママ」
よしこさん「ママも助けてくれるからねって?」
次郎君 首を振って指を振り下ろすジェスチャー
よしこさん「違う?ママ…は、ママはやられちゃうかも?」
次郎君「うん!」
よしこさん (笑)
次郎君 笑顔で力強くカメラの方を指さす
よしこさん「みんな?みんなやられちゃうかもしれないから」
次郎君「うん!うん」
よしこさん「そういうときは、おまわりさんに電話して助けてもらうんだよって、言われたんだ」
次郎君「うん!うん!」
よしこさん「ああ、そうなんだ、それはお母さんも知らなかった」
次郎君「クーッ!(笑)」

よしこさんも知らなかった、あの時の「ブブー!」の意味

よしこさん「お母さんはさあ、ニュースでさあ、流れるたんびにさ、”障害者はいらない”とかさ、”障害者は生きてる意味がない”とかさ」
次郎君「うん」
よしこさん「犯行動機っていうんだけどさ、犯人が言った言葉はさ、テレビで流れるたんびに、次郎が遊んでてもさ、ご飯食べてても、振りむいてテレビに向かってさ”ブー”って言ってたじゃん?」
次郎君「うん」
よしこさん「それは覚えてる?」
次郎君 首を振る
よしこさん「それ覚えてないんだ?」
次郎君「うん」
よしこさん「あ、そうなんだ」
次郎君「うん」
よしこさん「”障害者はお荷物だ”とかさ」
次郎君 首を振って首元のタオルを口元に寄せて「ブー」
よしこさん「いろいろ言ってたからさ」
次郎君 よしこさんを見ながら小さく首をふる」
よしこさん「テレビに向かって”言うな”って」
次郎君「うん」
よしこさん「”言うな”って言ってたの覚えてる?」
次郎君 首を振る
よしこさん「あ、覚えてないんだ?」
次郎君「うん」
よしこさん「あ、そうなんだ、お母さんそっちの方を覚えてる」
次郎君「んあー!」と言いながらちょっとカメラ方面に体を向ける
よしこさん「あ、そうなんだ、言うなって言ってたんじゃないの?」
次郎君 ちょっと首を振る
よしこさん「あ、違うんだ」
次郎君「うん」
よしこさん「障害者が殺されたことに対して”ブー”って言ってたの?」
次郎君「うん」
よしこさん「殺すなって言ってたの?」
次郎君「うん」
よしこさん「そんなことしちゃダメじゃないかって言ってたの?」
次郎君「うん、ダン!」
よしこさん「痛いじゃん?」
次郎君「ダン!」
よしこさん「ああ、死んだから?」
次郎君「うん」
よしこさん「死んだらダメだって?」
次郎君「うん」と言いながら自分を指全体で差す。
よしこさん「僕も死にたくないよって?」
次郎君「うん」
よしこさん「ああ、そう言ってたんだ」

バリケードをはって、ピンポンが来ても出ないように!

次郎君「ママ」ママを指さす
よしこさん「ママ?」
次郎君 うなづく
よしこさん「ママも、殺されたら困るから?」
次郎君 机をトントン
よしこさん「うーんと…」
次郎君「んしょ」指を歩かせるようなジェスチャー
よしこさん「ママがなんか運ぶ?」
次郎君「うん」机をトントン
よしこさん「何を?」
次郎君 指でしかくを描くようなジェスチャー
よしこさん「荷物を?」
次郎君「うん」
よしこさん「荷物を運ぶ?」
次郎君「うん」手を広げて両手で円を描くようなジェスチャー「うわーっ」
よしこさん「え、なんか荷物を運んで入れないようにしてほしかったとか、そういうこと?」
次郎君「うん、うん!」
よしこさん「玄関に?」
次郎君「うん」
よしこさん「あー、大きな荷物を玄関に置いてドアが開かないようにしてほしかった」
次郎君「うん」
よしこさん「ああ、それは気がつかなかったよお母さん」
次郎君「グハハハハハ(笑)うけ!」頭をげんこつでこつんとするジェスチャー
よしこさん「僕はそう思ってたんだ、誰も入ってこれないように」
次郎君 手のひらに片方の指先を当ててグリグリしてはじきながら首を少し横に振るジェスチャー
よしこさん「学校の先生が?お家に帰ったら」
次郎君「うん」
よしこさん「ドアが開かないように、鍵を閉めて」
次郎君「うん、んっんー♪」指で押すジェスチャー。
よしこさん「ピンポンって誰か来ても、出ないようにって言われた?」
次郎君「うん」
よしこさん「あ、ほんとう」
次郎君 カメラの方を指さす
よしこさん「みんな気を付けてねって」
次郎君「うん!」
よしこさん「言われたんだ、ああそうなんだ、それは知らなかった」
次郎君「くふふふふ(笑)!」

次郎くんが当時通っていた学校がすごい!


よしこさん「先生たち…ちゃんと、みんな不安がらないようにって、お話ししてくれたんだね」
次郎君「うん!」
よしこさん「ああそうなんだ。お母さんそんなこと思いもよらなかった」
次郎君「ああーー!(笑)」よしこさんの頭をぽんと叩くジェスチャー
よしこさん「そうなんだ、よかったね、あの学校ね」
次郎君「うん」
よしこさん「次郎が当時行ってたのは、専攻科って言って、次郎たち知的障害のある子たちって、支援学校の高校卒業後の進路ってほとんどないんだけど、
三重県四日市市で学校法人で専攻科って、高等部専攻科って本当はこの子たちにも大学をと、大学と名乗りたいところを、文科省は大学という風な認可が下りてなくて、専攻科って名乗ってたんだけど、高等部の延長で専攻科って言うのを設けて、そこで4年間、次郎は大分県で育って、高校卒業して2年ぐらいはB型の福祉事業所に通ったんだけど、支援学校行ってた時も、公立の高等部ってわりと訓練的なことが多かったから、高等部になって急に学校が面白くなくなっちゃうんですよね。
で、高等部卒業するときは、”もう2度と学校なんか行かない”っていう感じで卒業したんだけど、たまたま三重県四日市市に見学に行った時に”ここに行きたい”って。すごい楽しくて。
で、今その”慌てず騒がず”っていうことを言ってくれた先生が、ギターを弾きながら子供たちに。藩士縄地大震災の後に障害のある子たちが慌ててなおさら災害に巻き込まれないように、歌でね、”慌てず騒がずちゃんと助けを呼んでね”って歌を歌ってくれてる先生だったんだけど、その先生が事件の後もみんなに対して”慌てないでね、大丈夫だからね”っていうことを言ってくれたんだね」
次郎君「うん」
よしこさん「いい学校にいたねえ次郎」
次郎君「うん」
よしこさん「お母さんちっとも気づかなかった」
次郎くん「へへへ(笑)」

事件の第一印象について


よしこさん「事件の時は…」
次郎君「ダン」
よしこさん「ああ、死ぬのが怖いと思った?」
次郎君「うん、ママ」よしこさんを指さして肩をパシッ
よしこさん「え、ママも?」
次郎君「ダン」
よしこさん「えっと、ママも死んだら嫌だし」
次郎君「うん」といいながらカメラマンさんの方を指さす
よしこさん「ああ、みんなも死んだら嫌だし」
次郎君「〇〇」
よしこさん「お友だちも?」
次郎君「よっしゃあ!」
よしこさん「え?あ、いま冗談言ったね」
次郎君「うん」
よしこさん「シャレを言ったけど、みんな死ぬのは嫌だなと思ったんでしょ?」
次郎君「ブブ」首を振る
次郎君「〇〇」
よしこさん「それはね、あの…”死ねばいいのに”っていう冗談は今は言わない方がいいよ」
次郎君「うん!よっしゃー!」
よしこさん「え?よっしゃーとか?そういうのはね、言わない方がいいと思う」
次郎君 「ブブ!」
よしこさん「まあ、あの…”死ねばいいのに”って思うことはあるけどね」
次郎君「ママ!」
よしこさん「うん。ママも、死ねばいいのにって?」
次郎君「うん!」
よしこさん「あ、それは冗談として成り立つ成り立つ。ママだったらいい。友だちとかには言っちゃだめ。でもお母さんだったらいいよ。次郎のこといつもさ、ああしろこうしろといううるさいママなんか死ねばいいのにっていう冗談は全然言っていい。お母さんは次郎にとったらさ、上から物を言ってくる煩い人でしょ?」
次郎君 首を振る
よしこさん「だからお母さんは、次郎にとっての権力者だから」
次郎君「うん」
よしこさん「ママなんか死ねばいいのにっていうのは全然言っていいよ」
次郎君 首を振りながら「ママ」ママにげんこつするジェスチャー
よしこさん「え、なんで?嫌なの?」
次郎君「うん」
よしこさん「死なれたら困る?」
次郎君「うん!」
よしこさん「笑 だから、誰が死ぬのも嫌だって思ったんでしょ?」
次郎君「うん」
よしこさん「そうだよね、人が死んだ事件なんか嫌だよね」
次郎君 うなづく
よしこさん「人が死んで嫌だなって思った?」
次郎君「うん」
よしこさん「あれはでも、”障害者はいらない”とかいって…」
次郎君「ん?」
よしこさん「ニュースで流れていたのは覚えてない?」
次郎君 首を振る
よしこさん「覚えてないんだ。」
次郎君 うなづく
よしこさん「覚えてない?」
次郎君「うん!」
よしこさん「覚えてないんだ。お母さん、そこが一番問題だと思ってたんだよね。次郎たちとかさ、ちっちゃい子たちとかがさ、テレビから流れてくる”障害者はいらない”だとか”障害者は社会のお荷物”だとかさ、毎回毎回言うからさ、そんなこと言わないでって思わなかった?」
次郎君 首を振る
よしこさん「え?そんなの関係ない?」
次郎君「うん」
よしこさん「そんなことは耳に入らなかった?」
次郎君「うん!」
よしこさん「そうじゃないし?」
次郎君「うん」
よしこさん「そんなこと思ってもないし?」
次郎君「ママ!」
よしこさん「障害者いらないとか言ってても気にならない?」
次郎君「うん」
よしこさん「そんなこと言う人のほうが」
次郎君「うん」テレビを指さす
よしこさん「おかしなこと言ってるなって感じ?」
次郎君「うん」
よしこさん「気にもならなかった?」
次郎君「うん」

ママが死んだら困る!(唐揚げ的に)


よしこさん「それよりも怖かったんだ」
次郎君 首を振る
よしこさん「それよりも」
次郎君「ママ」
よしこさん「ママが?」
次郎君「ダン!」
よしこさん「ママが死ぬのが怖かった?」
次郎君「うん!」
よしこさん「ああ、ママが死ぬと思った?」
次郎君「うん」
よしこさん「え、なんでママが死ぬの?それは、怖い人がナイフ持ってきたとき?」
次郎君「うん」
よしこさん「ママが次郎を助けようとして?」
次郎君「うん」
よしこさん「ママが先に刺されちゃったらどうしようかなと思った?」
次郎君「うん!」
よしこさん「そっかあ、そうよね、ママ弱そうだもんね」
次郎君「うん」
よしこさん「そうだよね、ナイフ持ってる人が来たらね」
次郎君「ママ」ママを指さして、指をくるくる回して手刀で片方の手を切る様なジェスチャー
よしこさん「えっと…料理してる包丁は持ってるけど?」
次郎君 首を振ってキッチンの方を指さす「チク…」手でスプーンで何かをすくうようなポーズ
よしこさん「えっと…揚げ物?」
次郎君「うん」
よしこさん「したときに?」
次郎君 手でかき混ぜるジェスチャーをしながら「うん!」とよしこさんを指さす
よしこさん「危なかったね」
次郎君「チー」っと、顔に何かが当たったようなジェスチャーをしたあと、よしこさんを指さす
よしこさん「危なかったね」
次郎君「うん!笑」
よしこさん 笑
次郎君「アウトー!笑」
よしこさん「危なかったもんね。だから」
次郎君「ん」自分を指さして片方の手でも何かしてる
よしこさん「僕はセーフだったけど」
次郎君「うん!」
よしこさん「だからママも」
次郎君「うん!」
よしこさん「ドジだから」
次郎君「うん」
よしこさん「殺されちゃったら嫌だなと思った?」
次郎君「うん、チク」(食べるポーズ)
よしこさん「で、揚げ物?」
次郎君「ブタ」
よしこさん「唐揚げも作ってもらえなくなるし?」
次郎君「うん」
よしこさん「生きててもらわないと困ると思った?」
次郎君「うん」
よしこさん「それが一番大きいんだね、じゃあね」
次郎君「うん」

犯人は捕まっても、第二第三の犯人が

よしこさん「自分のところに怖い人が来たらどうしようと思ったんだ」
次郎君「うん、うん」
よしこさん「でも、怖い人はさ、つかまっておまわりさんが連れて行ってるからさ」
次郎君「うん」
よしこさん「何が怖かったの?」
次郎君「ママ」
よしこさん「ん?ママのところにそんなような人が来ると思った?」
次郎君「うん」
よしこさん「怖い人がまだ他にもいると思った?」
次郎君「うん」
よしこさん「怖い人がほかにもいて、来るかもしれないと思った?」
次郎君「うん」
よしこさん「その…犯人は捕まったけど、犯人みたいな人が」
次郎君「うん」
よしこさん「他にもいて、僕んとこにも来るかもなって思った?」
次郎君「うん!」
よしこさん「あ、そうなんだ。それは怖かったよね。怖がってる風には見えなかったけど、怖かったんだ」
次郎君「うん」
よしこさん「そっかあ」

ショートステイは怖い…犯人は元職員だったから


次郎君「ママ」指でよしこさんの頬をつつく
よしこさん「え、ママ?ママはねえ、夜勤とかするときは怖いなあと思ったけどね」
次郎君 首を振って「ブブ」
よしこさん「次郎はその時はショートステイでさあ、週に一回ショートステイに行って、お母さん夜勤に行ってたじゃん。その時は怖かった?施設の中は」
次郎君「うん」
よしこさん「施設の中は怖かったんだ」
次郎君 鍵をかけるジェスチャー
よしこさん「鍵をかけるから、逃げられないなと思った」
次郎君 「スー」何かを飲むジェスチャー
よしこさん「ジュースも買いに行けないし?」
次郎君 ちょっと首を振る
よしこさん「喉が渇いても?」
次郎君 机をトントン
よしこさん「えっと…」
次郎君「はいっ」引き出しを開けるようなポーズ
よしこさん「はいってジュースはくれるけど?」
次郎君「うん」
よしこさん「飲み物はくれるけど、施設の中は鍵かけちゃうから、怖いなと思ってた?」
次郎君「うん」
よしこさん「そうよねえ。あの事件の犯人がさ、施設の職員さんだったっていうのは知ってた?それは知らなかった?」
次郎君 片手でもう片方の手首をパシッとつかむ
よしこさん「おまわりさんにつかまった人」
次郎君「うん」
よしこさん「施設の仕事をしていた人が犯人って知ってた?」
次郎君「うん」
よしこさん「あ、知ってたんだ?」
次郎君「うん」
よしこさん「あ、それは怖いよね。職員さんだったことが、怖かったんだ」
次郎君「うん」
よしこさん「自分もショートステイに行った時に、この人大丈夫かなあと思ってみてた?」
次郎君「うん」
よしこさん「この人、カギ閉めたけど…笑」
次郎君 指先で何かを回すようなジェスチャー
よしこさん「僕外に出れないけどこの人大丈夫か…」
次郎君 よしこさんをつついて「んか」
よしこさん「お金?お金がどうした?」
次郎君「ママ」
よしこさん「ママが」
次郎君「うん」片方の手の甲を片方の手のひらにパンパン
よしこさん「ママがショートステイに行くと、ママがお金を稼ぐから、僕は我慢して行ってたんだよね」
次郎君「うん」
よしこさん「ママが仕事行けないと、お金稼げないから」
次郎君「うん」
よしこさん「だから僕も我慢してショートステイに行ってたけど」
次郎君「うん」
よしこさん「でも、怖かったんだ」
次郎君「んん」手首を片方の手でパシッとつかむジェスチャー
よしこさん「おまわりさん、捕まえてくれるかなって」
次郎君「うん」
よしこさん「ここまで助けに来てくれるかなって」
次郎君「ママ」
よしこさん「ママが助けてくれるかなって」
次郎君「うん」
よしこさん「ママはママでね、高齢者のグループホームにいたからさあ。ママはおじいちゃんとかおばあちゃんを守らなきゃいけないしね。電話かけられないしね。それは怖かったよね」
次郎君「うん」
よしこさん「それは知らなかった。次郎がグループホームに行って怖いと思ってたとは。あと犯人が元職員さんだと知っていたとは知らなかった」
次郎君「うん!笑」
よしこさん「知ってたんだ」
次郎君「うん!」

事件以来、施設に行かない理由

次郎君「ブブ!」
よしこさん「それは変わらないんだ」
次郎君「うん」
よしこさん「やっぱり施設は怖いと思う?」
次郎君「うん!」
よしこさん「ああそうか、それで絶対、施設、行かないんだ」
次郎君「うん!」
よしこさん「それがあるから」
次郎君「うん!、アカ!」
よしこさん「えー?」
次郎君「アカ!」
よしこさん「お友だちのことは…まだしもさ、次郎が「絶対に施設にりょーとショートステイに行って」ってお母さんが頼んでも絶対「イヤだ」って言うじゃん?」
次郎君「ブブ」
よしこさん「それは、あの事件があったから?」
次郎君「うん」
よしこさん「そうなんだ、それは知らなかった。鍵を閉めるだけかと思った。鍵を閉めたり、次郎の好きな買い物にも出れないし、ご飯作ったりもできないから、だから施設嫌なんだと思ってたけど、元職員さんの犯行だったからか」
次郎君「うん」
よしこさん「だから施設なんて…」
次郎君 首を振りながら「んあー!」」
よしこさん「はっはっは笑、施設なんて怖いんだって」
次郎君「にゃー!」
よしこさん「そら怖いよなあ」
次郎君「うん!」
よしこさん「そらそうだよねえ」
次郎君「ママ!」
よしこさん「ママも怖いけど?」
次郎君「うん!」
よしこさん「あはははは笑」
次郎君「ふふふふふ笑」
よしこさん「施設の方がもっと怖い?」
次郎君「ママ!」
よしこさん「ママの方が施設より怖い?」
次郎君「うん!」
よしこさん「オチとしてはそっちのほうが面白いよ。「施設よりママの方が怖いけど」って」
次郎君「うん!」カメラマンさんの方に乗り出して指さしながら「ん-け」

元職員が犯人だったことの余波

よしこさん「どうしたらよかったのかなあ?」
次郎君「ん!」といいながらここを指さす。
よしこさん「お家にいれば大丈夫?」
次郎君「うん」
よしこさん「施設にいた人も、お家にいればよかったのになって思う?」
次郎君「ブブ」
よしこさん「違う」
次郎君 手で向こうを差して回すようなジェスチャー
よしこさん「その人たちのことはわかんないけど」
次郎君「うん」
よしこさん「僕は、お家にいるから大丈夫って今は思ってる?」
次郎君「うん」
よしこさん「そっかあ。
次郎君「んっんー♪(ピンポンの音)」指でインターホンを押す仕草
よしこさん「ピンポンって?」
次郎君 逮捕のジェスチャーで、指で「ここ」
よしこさん「あ、おまわりさんが来てくれるから?」
次郎君「うん」
よしこさん「怖い人が来ても、おまわりさん呼べばいいし」
次郎君「うん」
よしこさん「そっかあ、そうなんだ、お家にいれば安心なんだね」
次郎君「うん」何かを飲む仕草
よしこさん「じゃあ、おうちにみたなグループホームとかでもいい?」
次郎君 首を横に振って、逮捕のジェスチャー
よしこさん「それは違うの?またそれはそれで職員さんが心配?」
次郎君「うん」
よしこさん「ははは笑」
よしこさん「困ったのそれは。職員さんが怖いっていうのは困ったね」

どうすればいいのか、結論!

次郎君 「ん!ん!」よしこさんの肩に触れて二の腕を切るジェスチャー
よしこさん「あ、怖くない人もいるわけね?僕の大好きなスズキさんとかなら」
次郎君 よしこさんの鼻のあたりをつまむようなポーズをして「うこ」
よしこさん「ゼロ?ゼロってなに?」
次郎君が指を三本立てる
よしこさん「ああ、ぼくは、仕事関係なく、お友だちだから安心だけど」
次郎君「うん」
よしこさん「その…」
次郎君「チチ」手を横に振る
よしこさん「仕事で来る人は、やっぱりちょっとこわい」
次郎君「うん」
よしこさん「仕方なく仕事でしている感じの人とか?」
次郎君「うん、ママ」
よしこさん「「やってられないよーって感じで仕事してる人とか?」
次郎君「っちー!」手で仰ぐジェスチャー
よしこさん「暑いなあとか?」
次郎君「チチ」
よしこさん「大変だあとか?」
次郎君「チチ!」
よしこさん「チチって?(カメラマンさんに向かって)チチっていうのはね、男性全般のことなんだけど、あの…男性ヘルパーさんのことをチチって言うことが多いけど、どの人かはわからないね、お母さんには」
次郎君「うん」
よしこさん「どの人か特定の人のこと言ってる?チチって」
次郎君「チチ」向こうの方を指さす
よしこさん「仕事で来る?」
次郎君「うん」
よしこさん「だからあの…仕事以外でも友達だって思える人だったら安心だけど、」
次郎君「うん」
よしこさん「仕事だからって来る人はやっぱりちょっと嫌。嫌って言うか…その時間は仲良くしてくれるけど、あの…」
次郎君 片方の人差し指を立てて、片方は手のひら全体をよしこさんに向ける感じ
よしこさん「6時?」
次郎君「うん」
よしこさん「6時から、その時間になったらさようならって感じ?」
次郎君 首を横に振る
よしこさん「6時過ぎたら?」
次郎君「うん」手を上げ下げするジェスチャー
よしこさん「時間外手当が発生する?」
次郎君「うん」自分を指さす
よしこさん「僕に?あ、僕もか。僕も仕事で付き合ってやってるんだから僕にも給料くれって感じ?」
次郎君「うん、うん」二の腕というかひじの内側を切るようなジェスチャー
よしこさん「はははは」
次郎君「うこ」切るジェスチャーを続ける
よしこさん「僕の大好きな職員さんだったら、お金とか関係ないけど…」
次郎君「ブブ!」首を横に振りながら、手を上げ上げするジェスチャー
よしこさん「え?ああ、ぼくの好きな人に給料たくさん上げてほしいって言うこと?」
次郎君 自分を指さす
よしこさん「僕も欲しいっていうこと?」
次郎君「うん」
よしこさん「なんかよくわからない話になってきてるけど…」
次郎君「うん」
よしこさん「ま、みんなの給料が上がったら、どうよ。みんなの給料が上がって、そうしたらみんなニコニコ仕事をし始めたら、それはちょっとよくなるんじゃない?」
次郎君「うん!」
よしこさん「あ、それは良い?賛成?」
次郎君「うん!うん!」
よしこさん「あ、なるほどね。じゃあ、「もうやってられないよ!」って仕事に来る人の時は、ちょっと嫌な感じ?」
次郎君「うん」
よしこさん「みんなニコニコ、この仕事が大好きって感じで仕事をすることと、みんなに余裕があって、楽しく一緒に過ごせたらいいなって思ってる?」
次郎君「うん!」
よしこさん「おお、いい話じゃない」
次郎君「うん」
よしこさん「お母さんもそれいい話じゃないって思うね」

今日のインタビューで何を応えようか考えていた次郎くん

次郎君「うか!」電話をするようなポーズ
よしこさん「何考えた?」
次郎君 手のひらにグーをあてる
よしこさん「ああ、パーチェ(通所先)で…、あ、今日考えてたんだ」
次郎君「うん!」
よしこさん「あー、インタビューされたら、「どうしたらよかったのかなあ?」って考えてたんだ!」
次郎君「うん!」ニコニコ
よしこさん「おお、すごいじゃん!へー」
次郎君「フッフッフッフ、ママ!笑」よしこさんを指さす
よしこさん「そうか、みんなが…」
次郎君 「〇〇〇ダン!」
よしこさん「それはいただけない冗談だけど」
次郎君「うん!」
よしこさん「そこは、コメディとしても成立してないけど、そこは抜きにして、…ネタとしてもちょっとは考えてたんだ?」
次郎君「うん」
よしこさん「だからね…「ママが死ねばいい」はコメディになるよ。それはネタとして」
次郎君「ハハハハ笑」
よしこさん笑
次郎君「んか!」カメラの方の何かをつかむ
カメラマンさん「つぎ?」
次郎君「うん!」

次郎くんがスタンダップコメディアンになりたい理由は?

よしこさん「スタンダップコメディアンになりたいんだよね?」
次郎君「うん!」
よしこさん「なんでなりたいんだろうね」
次郎君 よしこさんを向いて「ママ」
よしこさん「ママが?ママがスタンダップコメディをしてるから?」
次郎君 向こうを指さして「うわーっ」
よしこさん「ああ、たくさん?あの…ぼくのグッズを買ってほしいし、」
次郎君「うん」
よしこさん「僕も、みんなのことを知ってほしいし」
次郎君「うん」指でつまんでこするような動作
よしこさん「お金を稼ぎたい?」
次郎君「うん、アカ」
よしこさん「お金を稼ぎたいし、みんなに知ってほしいし」
次郎君「うん」
よしこさん「それは良いことだね。で、次郎はあれなのかなあ」
次郎君「ん?」
よしこさん「その…嫌なこと言われたりとかある?」
次郎君 首を横に振る
よしこさん「そんなにない?」
次郎君「はい!」
よしこさん「あっち行けとか、シッシッとか言われたりしないの?」
次郎君 首を横に振る
よしこさん「ないんだ」
次郎君「うん」
よしこさん「みんなのことが好き?」
次郎君 腕を切る動作
よしこさん「ああ、特にスズキさんのことが好き?」
次郎君「うん」
よしこさん「うん、それは知ってる」
次郎君「んか」さっきのお金のジェスチャー?
よしこさん「こう…次郎のことをさあ、お店行ったりバス乗ったりするじゃん、みんな優しい?」
次郎君「うん」
よしこさん「あ、そうなんだ」
次郎君「ん」よしこさんの肩をさわって、両手をグーにしてこすり合わせるようなジェスチャー
よしこさん「ん?バスの運転手さん?優しくない人もいるよ?」
次郎君 さっきのジェスチャーを続けながら「バッチ」
よしこさん「バスの運転手さん?」
次郎君 首を横に振って、腕を切る動作
よしこさん「スズキさん?」
次郎君「うん」
よしこさん「えっと、スズキさんが、バス?、あ、バス停の話ね。それまたお母さんが確認して教えるよ」
次郎君 首を振ってよしこさんの肩に触れて、片手をグー、もう片手をヒラヒラさせながら「バッチ」
よしこさん「お母さんはさ、次郎がなんでスタンダップコメディアンになろうとしてるのかなと思って」
次郎君「ブブ」
よしこさん「え?」
次郎君「ママ」
よしこさん「え?ママがスタンダップコメディアンになったから僕もって思ったの?」
次郎君「うん!うん」
よしこさん「そうなんだ笑 お母さんは、次郎がスタンダップコメディアンになって、障害者のことを知らない人が次郎のことを知ってくれたら、「障害者って暗いよね」とかさ…」
次郎君 笑顔で首を振りながら「ブブー!」
よしこさん「ね、そんなことないよね、「障害者ってかわいそうだよね」とか」
次郎君「ブブ!」
よしこさん「ね、そんなことないよね」
次郎君「うん!」
よしこさん「で、そんなふうに思ってる人が「おっ、そうじゃないんだ」っていうのがわかったら、そんな思い込みがなくなったら」
次郎君「ブブ!」
よしこさん「いいなと思って」
次郎君 首を横に振りながら「ダン!」
よしこさん「え、何?死ぬ?」
次郎君「うん、ママ」
よしこさん「ママが?」
次郎君「うん」
よしこさん「ママが死んだ後のこと?」
次郎君「うん」
よしこさん「ママが死ぬって言ってるじゃないかって?」
次郎君「うん!」
よしこさん「ママが死んだ後のことを考えて、」
次郎君「うん」
よしこさん「僕は稼ぐんだと思った?」
次郎君「うん!」
よしこさん「あ、なるほどね」
次郎君「うん」
よしこさん「あ、ママが死んだ後も、生きていけるように」
次郎君「うん」
よしこさん「お金を稼げるようになりたいんだ」
次郎君「うん」
よしこさん「あ、なるほどね」
次郎君 手を上下させる動作
よしこさん「えっと…」
次郎君 片手を上に伸ばして向こうを指さしながらくるくる
よしこさん「終わり?ん?」
次郎君「ぐー」頭を傾けて寝るジェスチャー
よしこさん「明日?明日何がある?」
次郎君 下を指さして前後に動かす
よしこさん「一緒に?」
次郎君 手を切る動作
よしこさん「料理をする?」
次郎君「うん」
よしこさん「シェフ?明日から別の人なの?」
次郎君「うん」
よしこさん「だから、新しいシェフの時に、僕が、稼がせてもらえるかちょっと心配なんだよね」
次郎君「うん」人差し指を立てる
よしこさん「今までは一緒に、買い物に行ったらいくらとか、コップ洗い100円とか」
次郎君「うん」
よしこさん「あとは、玉ねぎの料理をして、玉ねぎむいたり、切ったりするのに、工賃つけてくれてたけど、新しいシェフがそれを、させてくれるかわかんないから、」
次郎君 よしこさんを見て「ブブ」
よしこさん「だから、稼がせ…」
次郎君 下を指さす
よしこさん「下にいなさいって言われたんだ?」
次郎君 首を横に振りながら上方向を指さす
よしこさん「上に、呼ばれたら来てねって」
次郎君「うん」
よしこさん「だから呼ばれるまでは下にいてねって、言われたんでしょ?」
次郎君「はあ」手を広げて休憩のポーズ
よしこさん「で、休憩時間を挟んで、休憩時間は休んでねって言われたんだ」
次郎君「うん、うん」
よしこさん「だから、今までは休憩時間に一緒に仕事してくれたりとか」
次郎君「うん」
よしこさん「今までやらせてくれて、工賃を足してくれた仕事も、させてもらえないかもしれないから」
次郎君「うん」
よしこさん「そう思うと不安だから、」
次郎君「ママ」
よしこさん「ママが死んだ後も」
次郎君「うん」
よしこさん「僕が、生きていけるように」
次郎君「うん」といってよしこさんの肩をパンとつかむ
よしこさん「お金を稼ぎたいんだね」
次郎君「ママ」
よしこさん「わかった。だから僕は売れっ子のスタンダップコメディアンになりたいと思ってるのね?」
次郎君「うん!うん!」
よしこさん「はい、わかりました笑 ぜひみなさん、よろしくお願いします。以上ですか?」
次郎君「はい」
よしこさん「僕を、呼んでください。どこでもいきまーす」
次郎君「うん、うん」

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