ルールを知れば面白くなる SDGsのトリセツ(3)
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ルールを知れば面白くなる
SDGsのトリセツ(3)
SDRs研究所 所長 奈須 憲一郎(下川町在住)
知識ではなく道具として
前回はナチュラル・ステップが提唱する持続可能な社会の4つのルールを紹介した。15年ほど前から機会があるたびに紹介してきたので見聞きした覚えのある方もいるだろう。しかし、残念ながら定着しなかった。
たかが4つ、されど、科学者たちが選りすぐって構築した4つ。その内部には、日進月歩の科学の世界で変わらず受け継がれてきた基礎的な科学法則が組み込まれている。こうした基礎を、単なる知識ではなく論理として身につけ、道具として使いこなすには、丁ねいな説明と練習を繰り返すことが必要だった。
こうした反省を踏まえ、この連載では中学生でも理解と応用ができる内容を目指している。文意が読み取れない所があったら、ぜひ筆者にご連絡いただきたい。
さて、今回から4つのルールの元になっている考え方について解説する。
まずは、4つのルールのうち3つで使っている「自然」について。ここで言う「自然」とは、生物が暮らす区域のこと。生物圏(せいぶつけん)と言い換えることができる。高山の樹冠から低地の木の根、そして海の表面から海底まで、地球全体から見れば表面のごく薄い空間の中で、様々な命がお互いに関わり合っている。
次に、4つのルールの1つ目に出てくる「地殻(ちかく)」は、読んで字のごとく地球の殻(から)、図の③の部分だ。
出典:藤井一至(2018)『土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて』光文社新書、p21図4より転載
この地殻と生物圏との間には、人類が誕生する前から物質の流れがある。1つは生物圏から地殻への流れ。地中深くへと埋もれていった生物の死体が、長期間の高温と高圧で石油になるのがその例だ。もう1つが地殻から生物圏への流れ。例えば火山の噴火で地殻の物質が生物圏に放出される。
ここで重要になるのが「循環(じゅんかん)」。生物圏で物質がめぐること、生物圏と地殻とで物質がめぐること。こうした循環と文明との関わり方が問われる時代になったのだ。