見出し画像

「ひろばの家・那須1」の増築決定! 二期工事に向けて、全体設計図ができたあ! 近山はダイエット決行中 その2

地域に開かれてこそのコミュニティ

前回の続きです。
〈那須まちづくり広場〉に新たな居室32戸増築計画。
これは「二期工事」と言っています。
現状は49戸なので、合わせると81戸。

近山が元同僚たちと暮らすサ高住も70戸ほど。それより少し規模が大きくなります。高齢者住宅のプロデュースを仕事にしてきて、自分の終の住処にしたサービス付き高齢者住宅(サ高住)も那須町にあり、すでに10年を超えて実際に高齢者コミュニティでの暮らしを経験してきました。

ある地域がコミュニティ創生の候補地に挙がったときは、今回の多摩ニュータウンに仮引越をしたように、私たちは最低数ヶ月から数ヶ年は「地域住人」になります。私たちの仕事は、単に「サ高住を作ること」ではないからです。そこを拠点にして、地域で暮らす高齢者や障害をもつ人たち、社会的に弱者と言われる人達も、より自由に豊かに暮らせるようにしたい。私たちのつくるコミュニティを地域に広げていくことこそが重要だと考えます。

サ高住だけが立派でも、地域に広がりを持たなければ、結局地域から距離をおかれる存在になり、時間の経過とともに場の空気が淀んだりするのです(前回をご参照ください)。

多摩ニュータウンプロジェクト「コミュニティプレイスあたご」

私たちは例えば「コミュニティプレイスあたご」など指して「地域拠点」という言い方をします。そこを「核」として私たちが望む生活空間を地域にも広げないと、結局理想の住まいを作っても、孤立と停滞の問題が生じてしまうと考えるからです。
「一般社団法人コミュニティネットワーク協会」が提案し、地域の方々と一緒に創る拠点ができ「私たちの暮らしも変わった」と地域の方たちが言い合えたらとても嬉しいです。

自立と依存……難しい話

それから、ここが難しいところですが、人数は「自立と依存」の関係にも影響があります。コミュニティと言うとすぐに、わがままな人や自分勝手な人がいると創れないのではと、想像すると思います。でも、私たちの経験でもっともコミュニティという環境で難しいことは、「依存」です。

他者との距離感をつかめず、他人に求め、頼り、判断を委ねる、といった依存傾向が強い人がいます。「わがまま」や「自分勝手」は見えやすい。けれど、「依存」は厄介です。人数が少なく、社会と閉ざされた環境になると、その傾向をもつ人はより顕著になるように思います。

日本では、とくに女性たちには、この傾向が育まれやすい制度や環境があったのではないでしょうか。女性が社会的な自立を求めても、高いハードルがあるなかで生きていくことになりがち。ときには、日常生活で家族や夫という他者に自分の感情や考えを委ねていくことが多くなっていないでしょうか。

お互いさまとか、助け合うということ、近山がよく言う「ギブアンドギブ」はコミュニティには大切なことなのですが、それは自立した人格を認め合う関係のなかで成り立つこと。のびのびと大らかに自分のありのままを生きるのがコミュニティでの本来の姿です。難しい話。
自立とはなにか、自由となにか。いずれまた掘り下げたいと思います。

ある程度の数は弱者・高齢者にとって力

さて、もうひとつの数の話。
たとえば、〈那須まちづくり広場〉は環境がよい。憧れの田舎暮らしだ。しかし、憧れはあるけれど、田舎には「交通の問題がなあ」と思う。私も免許をもたない一人です。都市生活が長いと、ペーパードライバーという人もけっこうおられます。都心を走るのと、那須を走るのは一輪車と三輪車くらい難易度が変わるとも言われるけれど、やがて免許を返上したら……と考えるのは当然ですね。

そこで、私たちが那須を終の住処に選んだとき、いわゆる会員制の乗り合いミニバスの運行を考えました。それを実行しています。しかし、考えてみると那須町の高齢者にも同じ課題があるわけです。那須の農家では昼間は家族が誰もおらず、実質お一人様になる高齢者もおられます。地域にもこの試みを広げたいと活動を続けています。

〈那須まちづくり広場〉の乗り合い会員バス「ひろばGO!」。

人間は、環境に自分を合わせやすいので、そうなるとやがて諦めてしまうのです。高齢者だから、田舎だから仕方がないと。那須町には、行政が主導する乗り合いタクシーもありますが、それだけでは気軽に出歩くにはちょっと不便です。

「だから、田舎は不便なんだ」と言う人がいますけれど、それは高齢期の不自由にまだまだ想像が至っていません。そして、この現実のマイナスをプラスに変えるのがプロです。

それに、高齢期にNGなのは、例えばほんの少しの段差。もう若い人の目にはわからない段差! に足があがらない。躓く。これは実は都心ほどある現実です。

それから、早く動けない。歩行が信号に間に合わないといったことになるのが、高齢期のやがて来る道です。高齢者に合わせた信号にしてほしいと思うことがあります。想像してみてください。高齢期には、目の前にコンビニがあっても、心身の加減で利用できないことがあります。駅があっても、現実には都心でも不自由なことに変わりありません。出かけるのが億劫になります。

〈那須まちづくり広場〉は92歳のAさんも、補助車を利用してカフェやマルシェなど
自由自在に日々を楽しむ。

その点、乗り合いミニバスは、顔見知り同士。そう、乗り合いで知り合いができるのも利点。段差のない道での乗降や手荷物が多いときは、運転手さんや同乗者が部屋までひょいと運んでくださったりします。お互いさまでフォローしあえるのです。この乗り合いバスも、利用者の数がものをいいます。

たとえば、一週間に二度温泉に行きたい、あちこち別の温泉に行きたい、美味しい寿司屋や中華料理店にももっと行きたい(これ、すべて近山の願望)。

日々の食事もそうです。利用者の数が集まれば、一人が少しのお金を出し合うことで、よりバリエーションの利いた料理をいただくこともできます。さまざまな必要なサービスがある程度の人数が集まることによって可能になるのです。

10人集まってもできないことが、50人になればできることがある。人の関係は人数が多くなれば薄まるという利点。そして、暮らしの選択肢が増えるという利点。
人数は頃合いが大事、というお話でした。

「ひろばの家・那須1」増築にともない「人生100年・まちづくりの会」がスタートしています。那須まちづくり株式会社HPからお問い合わせください! 

「人生100年・まちづくりの会」11月のお知らせチラシ表面
「人生100年・まちづくりの会」11月のお知らせチラシ裏面

(20231105-30)



いいなと思ったら応援しよう!