多摩ニュータウンの希望の星々。若い世代が体験を積んで育ち輝く!
「那須まちづくり広場」という可能性
コミュニティネットワーク協会の3つのプロジェクトのご紹介をしてきました。
なかでも、「那須まちづくり広場」は私達が目指す住まいを中心としたコミュニティになりうる可能性大!
まだまだ課題はたくさんあるのですが、那須には理想の機能はできあがっています。この機能を利用して、住人のみなさん、地域のみなさんとともに「少子高齢社会コミュニティ」のモデルになっていくことを願っていますし、近山も引き続き頑張ります!
団地は勤労者のための住まいだった
かくいう近山が多摩センターの団地で暮らし始めて早4ヶ月。多摩ニュータウンにも、「那須まちづくり広場」を創成しようと奮闘中。って、自分で言ってます(笑)
そもそも団地という住まいは、勤労者のために作られたが故でしょうか。そこに一日いる人の機能性については、あまり考えられていないのだと、この地で暮らし改めて実感しました。車を運転しない、腰も膝にも弱点がある「高齢者」の私にとっては、スーパーや銀行が撤退した団地内は、那須より厳しい環境だと思いました。とくに日常品の購入は、高齢期には短い距離の徒歩圏でないと死活問題なので、まずは命をつなぐ食料購入の場は必須だと思いました。
さらに、人間が生きるに必要な文化や人間関係がない地域は、魅力がない。豊かでない。面白くない。
私のモットーは、ないものは自分達で作る。頭で思い描いているだけではなく、思ったことを行動に移すのです。もちろん、非常識なこと、フツウでは考えないことを実行していくので、失敗もつきものなのです。それでも、たとえ思い描いた成功に至らずとも、そこには必ず共感し協力しあえる方々が現れるのです。そんな人との出会いがあれば、失敗は成功への途中経過とも、チャンスとも言えます。
不景気知らずの多摩センターの居酒屋さん
前述したように、多摩地域のセンターの団地群は高度経済成長時代に作られた「働く人たち」に機能的な住まい環境でした。電車に乗って通勤1時間、職場やその周辺には多様な文化活動があり、消費生活もできる。仕事終わりに同僚と一杯呑み憂さを晴らすこともできる。昭和のイケイケの時代とも重なって、男たちの時代は最高潮でしたことでしょう。
そんなお父さん達は、会社から一時間かけて多摩センターに戻り、駅近くの居酒屋で〆の一杯を楽しみ、バスに揺られて就寝のための住まいに到着。
私もそういう古き時代の暮らしを知らないわけではなかったのですが、それが実感を伴って回想できたのは、やはりこの地に住み始めてからのこと。
多摩センター駅周辺には、とても居心地がよく味のよい居酒屋さんが複数件あります。近山、美味しい酒と肴に目がありません! よく駅周辺に出没。ボトルキープする店も見つけました!
しかし! 平日でも混みあっている。席がない。過日は、執念で6軒目で席を確保しました。
どこに不景気があるか? と思うくらい店は賑わっている。みんな楽しげです。団地に行くバスも夜の11時台まであります。多摩センターには居酒屋文化が豊かに育まれたようです。
この経済不況と言われるときでさえ、元気な居酒屋さん。好景気の頃はさぞや、と思いをはせました。
ひきかえ、高齢者・障害者にはあってほしいものがない
しかし、時代が変わり、その文化を育んできた働き盛りだった人たちも、高齢期を迎えました。団地も共に年月を重ね、少子高齢社会になり、消費が落ちこんできたら、団地内にあったスーパーも金融機関も撤退。ゆったりとした敷地に緑豊かには違いないけれど、どこか人工的で行けども行けども整備された風景は変わらず。そもそも、足元がおぼつかない高齢者には、立派な公園があってもそこまでの道が難所。
団地を作った人たちは、あまりに人間の住まいというものをある種機能的に創造しすぎたのではないだろうか。現役世代、就労を中心とした暮らしの目線で作り込まれすぎた感があるのです。引き換え、高齢者や障害者が暮らしていく場としては、本来あってほしいものがない感じがするのです。
その本来あってほしいものをどう創成していくのか。那須になくて、多摩ニュータウンにあるものはなんだ!?
頭を抱えそうになったとき、希望の光が見えました。この多摩という地域には大学がいくつもあります。そして、行政も若い世代を応援するべく力をいれておられる。これだ。
徒歩圏に、地域交流、相談、買い物ができる場所があること。
それは、多世代・多文化・多種の集まる場所であること。
それを、松が谷団地内のスーパーの跡地を利用して作りませんか? と
再生計画を提案していくと、地域住民とともに学生さんたちがボランティアとして沢山参加してくださいました。もちろん、行政の若きご担当者も積極的に動いてくださいました。
スタートしたのが、「コミュニティプレイスまつまる」と「コミュニティプレイスあたご」。
自分はここで、何が出来るのか
今年4月15日には、愛宕地域にもサテライト拠点「コミュニティプレイスあたご」が誕生しました。ここでも地域住民ボランティアの皆様とともに、学生さん達が大活躍。
オープン当日のお披露目会は、200㎡弱の「コミュニティプレイスあたご」に約250人が集まり大盛況となりました。この日も朝5時から地域住民と学生さん達は、お赤飯のおにぎり、豚汁などの準備をして、訪れた方たちに振る舞う姿がありました。
ボランティアに参加した方たちは、「自分はここで、なにが出来るのか」を考えながら関わりを深めていかれたように思います。学生さん達からは、地域を誰もが暮らせる豊かな場にするとき何が必要なのかを考え、送迎、地域通貨、広報、文化的なまちづくりに取り組もう、それを下級生にもつなげるための学内での仕組み作りもしたい、といった意見もでてきています。近山、感激。
頼もしくて希望に満ちた若い世代が、これからも多摩ニュータウンでさまざまな体験をされ、頭ではなく体感を育むことができたら……希望の星々を思い、近山はお気に入りの居酒屋で一献傾けながら、今宵も楽しい妄想をしています。
次回は、「コミュニティプレイスあたご」のさらなる魅力的で具体的な取り組みについてご紹介します。
(202304024−21)