【前編】独りぼっちの墓標考察会(歌詞ガン無視編)
お久しなすです。
先日、らゆこ氏による「墓標考察会まとめ」という記事が投稿されていた。
リンク先:墓標考察会まとめ
https://note.com/playalone/n/n0f489e802fbb
これは梨本うい氏の2枚組アルバム『墓標』について、その歌詞の内容をこれでもかってくらい掘りに掘り下げた考察記事で、私も少し目を通させて頂いた。正直、歌詞をあまり覚えていなかったため「はぇ~すげぇなぁ~」と淡泊な感想で申し訳ないのだが、読み物として非常に素晴らしいものになっているのでぜひ一読して頂きたい。
さて、ここでふと思った。「あれ、そういや『墓標』をぜんぜん聴きこんでなかったな。というかタイトルを見てどんな曲だったかすら思い出せないくらい聴けてないな」
ということで、改めて『墓標』をじっくり堪能してみようじゃないか。そして、せっかくなので歌詞については一切触れない、曲オンリーのレビューをしてみようじゃないか。時々ネガティブな感想が出てしまうが、それもすべて本音で書き記している証拠で、それが何より尊敬の裏返しであることにご留意願いたい。
『墓』全曲考察
一、いいこいいこ
イントロのベースで「あ、梨本ういの世界が始まったぞ!」と思わせるとこはさすが。2小節分のリフがひたすら繰り返されるが、この2小節目4拍目が「ファ#、ラ、ラ#」ではなく「ファ#、ソ#、ラ」となっているところがこの曲の色を強く印象付けていると感じる。
次にギター。定位をいつもよりだいぶ右(50%くらいだろうか?)に寄せている。普段の氏の楽曲の場合、ギターの定位は10%~20%くらい横にずらし、さらに後ろのほうから鳴っているような配置が多い印象(あくまで聴感上の感想)だが、今回はこの定位のおかげで後半のセンターのリードギターが活かされている。もちろん、ど真ん中であるボーカルが聞き取りやすくなるというメリットもある。また、音色についてはアルバム「まどのそと」の頃に似ていて、キンキンと金属っぽく響く。イヤホンの方はあまり大音量で聴くと耳を傷めてしまう恐れがあるため注意が必要だ。
曲構成はというと、氏の楽曲で多用されている「Aメロ→サビ」が採用されている。これが2度繰り返されたのちソロへと入っていくわけだが、その後いったん落ち着き、「わるいこ」のボイスとともにそのままアウトロである。これがアルバム曲ならではなのだ。この曲がシングルカットされて発売されるところを想像できるだろうか。そう、当たり前だが、アルバムはただの楽曲の寄せ集めではなく、アルバムとして一作品なのだ。そしてこの曲もそんなアルバムを構成する一部分である。そして1曲目というのはアルバムの導入であるべきだし、この曲は見事にその役目を果たしている。
二、絶叫モブB
1曲目でリスナーをきっちりアルバムの世界に引き込んだところで、いよいよここから本気出すぜ、と言わんばかりにエイトビーター梨本の登場だ。氏にIV→III→VI(※1)の進行はまさに鬼に金棒である。しかも面白いことに、この進行なのはあくまでベースのみであり、ギターは2つのコード(正確な耳コピが不可能なので詳細割愛)をひたすら繰り返しているだけなのである。このあたりは、非常におこがましいが『現代ササクレ概論』と考え方が似ている(※2)かもしれない。
曲構成は1曲目同様「Aメロ→サビ」が採用されている。サビ頭の「あぁ」の部分はおそらくライブでのシングアロングを想定しているのかもしれない。
ニコニコ動画版との差異をみていこう。全体的に若干リバーブが掛かっており、イントロから雰囲気が少し変わって聴こえる。また、1曲目同様ギターの定位が変更されていることにより、ボーカルもギターも共に映えるようなサウンドとなっている。大きく変わっている点は2か所。1つ目は2番Aメロ。もともとギターが鳴っていたが、『墓』版ではギターが無くなりドラムとベースのみ。1番との対比がより強調された。2つ目はソロ終わりのハンドクラップが入る静かなAメロ(と呼ぶのか?)からラスサビ頭にかけて。もともと途中からドラムのキックが入っていたが、『墓』版では頭からキックが鳴っている。またボーカルは1オクターブ下げられており、これはラスサビでの盛り上がりをより強調する効果がある。ラスサビ頭の「あぁ」の部分は、もともと小節の頭から全楽器が鳴っていたが、『墓』版では一瞬ブレイクを入れることにより、「あぁ」だけが聴こえる儚さを演出している。このようにニコ動版との違いと、それがどういう効果を与えるのかに着目すると、作品を何倍も何十倍も楽しむことができるのではないだろうか。
三、何処かで他人が死んでいる
ニコ動版ではキーがFに対し、『墓』版ではキーがGに変更されている。もともと氏の曲でキーがFのものは非常に珍しく、当時は少し異質なイメージを持っていたのだが、Gに変更されたことでその異質さは良くも悪くも無くなった印象。
さて、ニコ動版と『墓』版とでは、Aメロの歌メロが違うことをご存知だろうか。実際には「あらいやかしこ」として氏がボーカルを務める際に既にメロディが変更されていたため、『墓』版は「あらいやかしこ」バージョンのメロディを採用した、という見方が正しいかもしれない。ニコ動版の場合、歌メロがかなり低いところまで行ってしまうため、キーをどう変更しても歌いにくくなってしまうのだ。
『墓』版では(ハモリという意味での)コーラスが強調された印象を持ったのだが、ニコ動版を聴きかえしてそれは少し間違っていることに気づいた。実はVOCALOIDには「ブレシネス」というパラメータがあり、この値を大きくすればするほど、初音ミク等の声に息を混じらせることができ、いわゆる「かすれ声」を再現できる。もともと氏の初音ミクはこのブレシネス値が昔から高めに設定されており(「梨本さんちのミク」といわれるくらいに声が特徴的なのはこのせい)、おそらく『墓』版ではメインボーカルのブレシネス値がかなり高く設定されているのではないだろうか。そして、コーラスに対してはブレシネスが低めに設定されており、聴感上は声の芯の部分がメインに対してコーラスのほうが強めに聴こえることから、「協調された」という印象に繋がったのだ。
(憶測が多めなレビューとなり申し訳ない。しかし答えが無い以上こう表現するしかない)
四、しんじよう
もともとはコンピレーションアルバム『Innovator-gaku』用の楽曲。イントロ2つ目から奇怪なコードが聴こえてくるが、コンピ版とはコードが異なっている(コンピ版は1~5弦の4フレットと押さえた名前の無いコードと思われる)『墓』版は音が荒っぽく一つ一つの音を取りづらいため耳コピ断念。この奇怪コードに引っ張られ、ベースラインも独特な動きをする。曲調だけで言えば非常にのんびりとしているが、Bメロのブレイクでメリハリもついているため聴き飽きさせない。サビの後半、「やけになって」の「や」でメロディが半音下がるのが技ありだ(コンピ版では半音下がらない)ソロからBメロに戻ってくる際に1拍ずつコードが上がっていくところに、氏の楽曲の「ひねくれ感」が出ている(本人がひねくれているという意味ではない。念のため)
ラスサビの後半「こっちおいで」でメロディが変わるところも、この曲の見せ場といえる。こういうのんびり曲調の曲でも本当に抜かりが無い。
五、御手紙頂戴
ニコ動版『おてがみちょーだい』から最も変わったのはこの曲ではないだろうか。歌詞が大幅に変更されたことに伴い、サビ以外の歌メロがもはや別物になっている。また、ギターリフはニコ動版のような単音弾きではなく、コードをジャカっ!と鳴らしている。このようなアレンジに変えてもなお、ニコ動版と同じくベースが映えるようなサウンドに仕上げているところがさすが梨本氏。サビ以外のベースラインはニコ動版とほぼ同じだが、途中で溜めが入るようなリズムに変更されている。このベースリフ後半の「ド、ド#、ファ、シ」は、私には到底たどり着けない領域だ。きっとルーツがあるに違いないだろうが、やはり梨本ういの楽曲はベースが鍵となっているということが、改めて痛感させられる。
ところどころ左から聴こえるリードギターはおそらくアドリブ一発録りだろう。間奏のギターは、ニコ動版のような、曲のキーに合わない自由奔放なアドリブではなく、曲のキーに即した「少し真面目な」アドリブになっている。パッと聴くと粗削りされたように聴こえるアレンジも、こういうところで実は丁寧なのである。
私情を挟むなら、ニコ動版があまりにも好きだった曲なので、アルバムでイメージを壊されないか心配だったが、それは杞憂に終わった。
六、恋は幻で愛は空回り
ポップでロックな曲だ。が、意外にもコードワークはトリッキーなものとなっている。この曲はコード進行に注目してみよう。まずこの曲はキーがEメジャーである。そして、コード進行は E→C→CM7 を繰り返している。Eメジャースケールでは、本来Cは登場しない。しかし、時にこのように別のスケールから音を借りてくるということは作曲ではしばしばある。よく出てくる例でいえば、♭VI→♭VII→I というものものがある(通称「マリオ進行」と呼ばれる。詳しくは各自で)が、この曲においてはこれを変化させ ♭VI→♭VI△7→I であると解釈することができる。実際に、この後Aメロに入る直前にC → D → E(Aメロ)という進行があることから、おおよそこの解釈は間違っていないと思われる(本人がそれを意識して作曲したかどうかとは関係がないことに注意)
あまりに細かすぎる話をしてしまったため、曲構成をみてみよう。Bメロは1番と2番とで変化しているが、これは1番がサビに繋がるのに対し2番はソロに繋がるわけで、繋がり先を意識した展開になっているところが素晴らしい。ソロ終わりのラスサビ頭は「ジャーン、ジャーン、ジャッジャッジャー」というリズムになっているが、これ、ちょっと覚えていてほしい。
(触れるのを忘れてましたが、この曲はコンピレーションアルバム『The Magnificent Seven』用の楽曲ですね。先ほどちらっと音源聴いたのですが、1番のサビ前の歌メロが変更されていたんですね。そちらではFの音で終わっているのに対し、『墓』版では終止形であるEの音で終わっており、オケ的にも一旦ブレイクが入ってサビに入ることから、こちらのほうがアレンジとの相性が良いと思います)
七、メス豚アバズレ淫乱女
ニコ動版がキーBマイナーに対し、『墓』版はキーAマイナー。なのに、『墓』版のほうが何故か懐かしさをおぼえるのは私だけだろうか。私が梨本氏に出会った楽曲が『あぁあぁあぁああぁあぁああぁ』(同じくAマイナー)だったことが大きいのだろうが、初期の氏はこのキーが多かったイメージがある。
「劣等感浸るよ」から変化するリズムがかなりカッコイイ。Bメロ後半にも同じようなリズムがあるが、ベースがハイポジションであるため雰囲気が異なる。ここでもベースの重要さがよく分かる。
落ちサビではメロディが1オクターブ下に変更され、大サビに入る直前で元のキーに戻ってくる。この辺の雰囲気づくりがニコ動版に比べて聴く人に分かりやすく伝わるようになっている。
さてこの落ちサビ、「ジャッ、ジャッ、ジャッジャッジャッ」というリズムになっているが、先述した6曲目の入り方と非常に似ている。特に本人は意識されてはいないだろうが、いろんな曲を聴いているとこういう作者の(いい意味での)クセが見つかって面白い。
八、待ちぼうけ
先日、この曲を勝手にアレンジして歌った動画をYouTubeに投稿した。それぐらい、とても好きな曲なのだ。
実はこのカバーを作る際、あえて『墓』版音源を聴かないようにしていた。一度聴いたのでキーがGに変更されていることは認識しており、歌詞が変わっていることについても、らゆこ氏の『墓標考察会まとめ』で把握していたため、キーをGに、歌詞も新しい方を採用している。
さて、改めて『墓』版を聴いてみた。この曲はAメロ→Bメロ→Aメロをひたすら繰り返す曲だが、便宜上Bメロの後のAメロをサビと呼ぶことにする。大きく勘違いしていたのは、Bメロのコード進行。「君も何かを待ってるの?」の部分は Em→A7→C→D だと勝手に思い込んでいたが、正しくは Em→B7→C→D だ。考えてみれば VI→III→IV→V の派生なので普通にあり得るんだけど、これは意表を突かれた。
「らしいな」と思ったところは、サビ終わりに普通はGで終わればいいところを、わざわざG7にするあたり。シンプルな曲こそ、こういう何気ない「ひねくれ」がいい味を出している。
ラストの歌詞が変更されている部分は、メロディも変更されていた。聴きこんでいなかったため気づかなかったが、カバー版でもこのメロディで歌いたかった。
九、エンコー少女
この曲は本当によくできている。こういう書き方は失礼であることは重々承知なのだが、他の曲に比べてこの曲の気合いの入り方が尋常じゃないのだ。この曲だけで一つ記事が書けそうなくらいである。が、今回はザッと書いていく。
まずキーはBマイナーからAマイナーに変更。先述した通り、Aマイナーであることで初期本ういに近づく気がする。Aメロ、Bメロともに、ミュートを多用することによりサビとのメリハリが出ている。特に2番Aメロはギターを左右交互に振るところのカッコよさが凄まじい。2番Bメロは1番Bメロと対照的にミュートが無く、コーラスも交ざってきて不穏な空気を醸し出している。
サビはパッと聴くとガラッと転調しているように思われるかもしれないが、実はAメジャーである。つまり主音は変わらずただマイナーからメジャーに移っただけなのである。私もこれに気づくまでは「サビでガラッ変わる」という認識だった。もちろん短調から長調への変化なので感覚は間違っていないのだが、サビでコードとしてのA(メジャー)がほとんど登場しないため気づきにくかったのだ(私の感覚なので、すぐ気づく人はいるだろう)
そして、サビからイントロフレーズに戻るところが非常に秀逸である。6曲目に登場したマリオ進行を覚えているだろうか。敢えて「別のスケールから音を借りてくる」と表現したが、細かく言うと、マリオ進行は、あるメジャースケールにおいて、主音が同じマイナースケールからVIとVIIの音を借りている、とみることができる。本曲はそれを逆手にとり、あたかもVIとVIIを借りてきたように見せかけ、実はこっそりとマイナースケールに転調していたのだ!
・・・読者置いてけぼりで申し訳ない。分かりやすく言おう。
「行き場の無い性衝動」の部分は F→G→Am となっているが、FとGはAメジャースケール上のコードではなく、Aマイナースケール上のコードである。つまり、イントロフレーズに戻る際、Aマイナースケールへの転調を自然に行うため、FをAメジャースケールさんが借りてきた♭VIではなく、Aマイナースケールさんのもともと持ってるVIだと解釈すれば、誰にも気づかれない転調の完成!というわけである。
だめだ、このままではこの曲だけでとてつもない字数になる。というかロクに理論を学んでない僕が語る話ではない気がしてきた。
曲構成に戻ると、2サビが終わると間奏からCメロへと突入する。この部分はもはや前半部分とは雰囲気が変わっている。「消えていく~」の部分をDメロととらえるならば、「あい あい~」はEメロとなるのか。Eメロ前の怒涛の間奏から、Eメロの静かさ(ギターは激しいが)、そしてラスサビと、この辺りはテンションのアップダウンが目まぐるしく、まるで波乱万丈な人生を音に表した、という感じである。そしてラスサビ終わりからはEメロのメロディをマイナーに変化させて引用している。こういうアイディアはぜひ積極的に盗んでいきたいところ。
長くなりすぎて雑になってしまったが、それくらいこの曲は語り尽せないのである。
十、おえおえお
ニコ動版からキー変更無しのE。ニコ動版にあったイントロの「らんらららんらー」というボーカルは『墓』版では無くなっている。かしこバージョンに寄せてか。
ギターに関しては何を弾いているかさっぱり分からない。常に分からないコードを弾いている。もはやこの曲はベースが抜けたら曲として成り立たないんじゃないか、というくらいギターがめちゃくちゃである。めちゃくちゃなのかどうかすら分からない。
ベースだけを頼りにコード進行を拾ってみると、この曲はイントロからアウトロまで、ひたすらにD♭m→A→G♭m→Eを繰り返しており、パートによる進行の変化はない。それでも楽曲として成立するのは、歌メロや各楽器のリズムの変化を巧みに行っているからである。これができる人はなかなかいない。
正直、ニコ動にこの曲が投稿されたときの私の感想は「うーん・・・」だった。前後に投稿された『ジサツブシ』と『エンコー少女』の再生数やマイリス数と比較して伸び悩んでいることから、おそらく同じ感覚のリスナーが多いのではないかと推測する。が、あらいやかしこのライブでこの曲を聴いたとき「めちゃくちゃカッコいいやん」となったのである。つまり、この曲はライブ会場で爆音で演奏して初めて完成したのである(主観お許し)
その印象をもった上で改めて今回の音源を聴くと、うん、やっぱりカッコいい。
十一、そんな未来
氏のファンであれば、まさかこの曲が収録されるとは、と驚いたのではないか。この曲は氏が以前組んでいたバンド「あきすとぜねこ」時代の楽曲で、ニコ動にはバンドでの演奏音源が投稿されている。
冒頭の音は、その演奏音源の冒頭部分がそのまま使われている。なかなか粋だ。その後の曲構成もオリジナル版からほとんどデフォルメされておらず、それほどこの楽曲が当時から完成されていたということが分かる。
楽曲はオーソドックスな8ビートだが、よくよく聴いてみると、コード進行のバリエーションが意外と多い。Aメロでは①C→D→Em→D→Bm、②C→D→Em→G→Dが交互に、サビでは①C→D→Em→G→Bm、②C→D→Em→G→Dが交互に使われている。こういう似て非なる進行が使われている曲は、実際に演奏するとなると頭がこんがらがりそうである。
Cメロ終わりの落ちサビは、9曲目のEメロと酷似している。この辺りはルーツがあってそれが自然と出ているのか、はたまた手癖のようなものなのかは分からない。梨本ういを特徴づけるパターンの一つとして認識しておき、今後の楽曲でも登場するのか注目してみるのも面白い。
原曲と違う点は、大サビで2度上げ転調を行うところだ。アレンジの王道中の王道手法であり、これをやりすぎると「ワンパターン」と言われがちだが、(『墓』を一作品ととらえて)アルバムのラスト曲で満を持してこのアレンジを持ってくるというのは、もはや狙ってるとしか思えない。
『墓』の総評
大半が一度は聴いたことある曲であるはずなのに、聴けば聴くほどに新たな発見があった。もともと昔からそれほど聴き込めていなかったのかもしれない。というか、梨本氏の楽曲をわざわざ「ここのコード進行が・・・」など考えながら聴くのは野暮なことだと思っていたため、ここまでこだわり抜かれていたとは知らなかった。また、『墓』と『標』のラストが、曲調的に対比関係になっている(歌詞については考察していないため言及できない)など、アルバム全体を通してもいろいろと考え抜かれており、氏がもつ芸術的なセンスも見事に反映されていると感じた。この辺りは『標』を考察し終えてから改めて触れられればと思う。
この記事を通し、歌詞が素晴らしいことは言うまでもないが、曲そのものも素晴らしいということが、少しでも読者に伝われば幸甚である。ほぼ推敲無しの雑記ゆえ、読みづらい記事になってしまい申し訳ない。ご指摘等は遠慮なく。執筆している時点で、まだ『標』を聴き込めていないため、こちらも楽しみである。いつの投稿になるやら。
※1 『あぁあぁあぁああぁあぁああぁ』や『バカの飲み薬』等、氏がよく使っているコード進行。ただし、簡易的な表現であり、厳密にはこれに準じていない場合がある。
※2 『現代ササクレ概論』(なすP)では、ベース進行が I → VI → VII(簡易表現)であるのに対し、ギターはひたすら I と VII を繰り返している。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?