退職金課税見直し、勤続30年2500万円→45万円減の試算(8月11日日経新聞HPより)

「政府は終身雇用を前提とした退職金課税を見直す。試算によると、同じ会社で20年を超えて働く人が対象の税優遇がなくなれば、勤続30年で退職金2500万円を一時金として受け取る人は最大45万円ほど手取りが減る見込みだ。一時金と年金に分けて受け取れば影響は小さくなるとみられる。

政府は6月にまとめた経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で「退職所得課税制度の見直しを行う」と明記した。」(退職金課税見直し、勤続30年2500万円→45万円減の試算 - 日本経済新聞 (nikkei.com))とありました。この優遇税制措置が変更されれば、20年以上を超えて働いた人の退職金に課税される額が上昇して最大で45万円ほど貰える手取り額が減少するというのです。

つまり、これまでは長く働いた人の退職金の課税対象のうち「この分には課税しないでおこうね」と言っていた税の割引き分(「控除」という)が減らされるということなのです。


また、上記以外に参考としたのは、以下のサイトです。
退職金の税金が変わる?|サクサク経済Q&A|NHK

「終身雇用」とは「働く期間の定めのない」雇用のことで、例えばアルバイトとかであれば「いつからいつまで」という契約期間がありますが、上記の正規雇用の場合には「期間」は就職時に提示されません。日本では簡単に人を首にはできません。この制度は個人的には「よい制度」であると思いますが、職場で嫌なことがあってもなかなか辞めにくい、とか辞めてもすぐに職が見つからないという別の側面もあるかも知れません。

この終身雇用と国民皆健康保険は戦時中あたりからできたものですが、以上の骨太の方針では「退職金課税の優遇が労働の移動を阻害していた」との趣旨の指摘がされており、その退職金課税優遇措置を提言することが方針のポイントであると思われます。

20年を越えて働く人は、それよりも短い期間働いた人よりも税制の優遇がされていたとのことで、退職金をもらった場合には通常その退職金に税金が課税されますが、その課税対象となる額のうちいくつかが免除されます(これを「控除」といいますー「税金がいくらか割り引かれる」と表現するとわかりやすいかな)。

企業にとって、従業員が長く勤めてくれればありがたいことですが、この優遇措置があるために、転職がし難いというテーゼがされた訳です。少し難しい言い方をすると「雇用の流動化を促進させる」ということです。働きたいと思う人のスキルと働いてほしいと思う人とのスキルが一致していない「雇用のミスマッチ」という指摘も長らく『厚生労働白書』で指摘されており、雇用の移動による経済全体のパフォーマンス向上に資するための「骨太の方針」であるように思われます。

オランダ・モデルとして有名なケースは、オランダが20年前位に不況に陥った際に非正規雇用を多く募集することで経済全体のパフォーマンスをあげることができました。北欧でも、従業員を首にし易くする代わりに失業手当を充実させるという政策が採られています。

「雇用の流動化」を促進させるのは時代の流れと思いますが、転職しようとする人のスキルを高められるようなスキル・アップの充実や、働かない間の給与保障などのセーフティーネットの拡充も同時にはかられなければならないと思います。




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