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コストバリューからタイムバリューへ

昔の節約志向:時間をかけてコスト削減を目指す時代

かつては、多くの人が「節約」を中心に生活していました。

例えば、スーパーでの買い物では、10円、5円の違いのために複数の店舗を回り、少しでも安く手に入れることが目的でした。家計を助けるために、労力や時間を惜しまず、安価な商品を探し求めることはごく当たり前の行動でした。

また、「青春18きっぷ」の利用も同様です。
新幹線や飛行機を使えば速く目的地に着けるものの、普通列車を使えば格段に安く旅ができる。このきっぷを利用し、各駅停車で何時間もかけて移動する旅は、コストを最小限に抑えながら新しい土地を楽しむ手段であり、「時間がある時代」の人々にはぴったりの選択肢でした。

現代の価値観:「時間=価値」にシフトする生活スタイル

今や、価値観は大きく変わり、時間の効率的な使い方に人々の意識が向かうようになりました。

たとえば、ウーバーの登場により、テイクアウトの常識が変わりました。
テイクアウトと言えば飲食業の付属品のような取り扱いでしたが、頼んですぐに手元に届くシステムをウーバーが提供したことで概念が一変しました。
コンビニエンスストアと同じですぐに手に入るため手数料を多く払うことに抵抗感がなくなりました。
時間効率と温かく美味しいものを選んで食べられるというニーズを埋めた好例です。

また、映画の視聴スタイルにも大きな変化が見られます。
以前であれば、上映時間に合わせて映画館へ出向くことが当たり前でしたが、現在ではNetflixなどのサブスクリプションサービスが普及し、いつでも自宅で好きな映画やドラマを視聴できるようになりました。
わざわざ移動する時間や待ち時間を削減できるため、時間に価値を置く現代人にとって、自宅での視聴は高いメリットがあると言えます。

時間を「楽しむ」こと自体に価値を見出す消費スタイル

一方で、時間そのものに価値を見出す、いわゆる「スローダウン」する消費スタイルも注目されています。

例えば、スターバックスでは、単にコーヒーを飲むだけでなく、居心地の良さを提供する空間作りに力を入れています。
椅子やテーブルの配置、店内の音楽や香り、そして店員のホスピタリティなど、すべてが顧客がリラックスして過ごせるように設計されています。
そのため、訪れるお客さんも「ちょっとした贅沢な時間」を過ごす目的で訪れることが多く、通常30分以上の滞在が一般的です。このように、コーヒーの料金以上に、リラックスした時間に価値を見出しているのです。

さらに、豪華列車「TRAIN SUITE 四季島」の旅も、移動中の「時間」を価値に変えるユニークな事例です。
飛行機で数時間で到着できる場所でも、四季島では優雅に一日かけて移動します。豪華なインテリアや食事、沿線の風景を楽しみながら、普段味わうことのできない「特別な時間」を提供する旅は、単に目的地に行くための「移動」ではなく、移動そのものを楽しむ新しい価値を見出しています。時間が豊かな経験と結びつくことで、消費者はあえてお金を払ってでも「価値ある時間」を手に入れるようになっているのです。

まとめ:新しい「タイムバリュー」の時代に向けて

現代の私たちは、単に安さを追い求めるだけではなく、限られた時間をどう活用するかに価値を見出すようになっています。従来の「Time is money」という考え方は、単に「時間を効率よく使う」ことだけでなく、「価値ある時間」に投資するという新しい視点にシフトしています。

このタイムバリューの意識は今後も一層強くなり、私たちの消費行動や生活の選択にも影響を与え続けるでしょう。

あなたは数円のコストダウンに躍起になるビジネスがいいですか?
それとも今の消費者のマインドに合わせたビジネスに投資しますか?
重要な分岐点に立っていることを改めて気がつき歩みを進めていきましょう。

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