逍遥日記#27 千円と都市生活
ベランダから解体中の家屋が見えた。どこの町にもあるような、他の小綺麗な家々に比べて頭一つ分低い、おそらくずっとその町で暮らしてきたであろうお年寄りが住んでいそうな家だった。
4、5人の作業員が屋根に上って何事かを怒鳴り合いながら瓦をひとつひとつ剥がし、家の横にある駐車場くらいの空間に放り投げていた。
まだらに瓦の剥げた、赤茶けたトタンの張り付いた家はなんだか食べられている途中の焼き魚みたいに見えた。
ここしばらく悪天候が続いたのと、中途半端に寒くなってきたのとでややぐったり