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ジャパンアズナンバーワン Japan as No1 ~日本の何がNo1だったのか?

日本がまだバブル景気に入る前の高度成長期の頃の1979年に社会学者エズラボーゲルによって書かれた本です。今から、約40年前ですね。ほぼ同時に英語・日本語版が出ましたが、英語版は、Lesson for Americaと副題があるように、米国のビジネスマンに日本から学べという趣旨で話は展開されています。


日本人は、No1とかおだてられたようで、「自分たちのやり方は間違ってなかった。アメリカが負けを認めた」と大ベストセラーになりました。私は、当時大学3年生でした。夏休みにアメリカで1か月のホームステイした時です。初めての海外の体験でした。この年にウオークマンが発売されました。

本書の中では、

高卒率は90%で先進国の先端をいっており、大学進学率は米国のほうが多いが、卒業率は日本の方が高い。義務教育は日米大差ないが、日本の方が年に60日ほど多く登校し、受験勉強もしている。日本の学生の方が西欧の学生より、世界史や時事問題に明るく、音楽、芸術、体育の分野でも高い能力がある。若い人の英語力は、アメリカ人の学生の外国語能力より格段に高い(但し、英会話能力は、ヨーロッパ人よりは劣る)。

社会人になっても、国際関係、政治、歴史、科学、芸術に興味と関心を持ち続け、本と雑誌と新聞を合わせた購読者数は世界一であろう。

日本は米国に比べて所得格差が少ない。経営者、社員、労働者、農民、役人全ての人への熟慮された所得分配政策の賜物であり、日本人の90%が中流意識を持っている。

という記述などで、日本人の勤勉性などを持ち上げ、終身雇用制度、年功序列などの制度が高度成長を支えていると説いています。

そして、

19世紀、西洋からの圧迫を受け、蹂躙される国々の多かったなかで、日本は熱心に、そして素早く外国のやり方を導入することによって、その被害者とはならず、むしろうまく対応した。そして、日本が成功したように、アメリカが、現在直面している新しい挑戦を克服し、良い社会を築くためにあと知恵でなく、先見の明をもち、難局に際しての場当たり的対応でなく、事前に計画を立てて事態に対処できるように、という願をこめてこの本は書かれたのである。

とアメリカ人への教訓として締めくくられています。

しかし、下記のような記述もあり、

「日本の小・中学校では、教育課程は全て一律で、子供の独創性を伸ばす柔軟性がほとんど認められない。もっとも日本人の創造性は、集団の協力を必要とする分野で発揮され、その方面での研究能力を軽視することはできない。特に最近は、そのような研究面での成果は著しいものがある。もっとも今までのところ、個人の創造力を必要とする基礎研究の分野では、日本人の業績は他の多くの分野に比べて立ち遅れている。」

今後、高度成長期の次はこのモデルで生き残れるのか、労働集約型産業モデルは、途上国へ移ってしまうだろうという投げかけもしています。

当時は、この日本人への提言のところは、スルーしてしまって議論にはならなかったように思います。

残念ながら、エズラ・ボーゲルの危惧は的中していまい。この本の出版から10年ちょっとで日本のバブルははじけ、「失われた30年」に突入してしまいました。

彼が指摘している、高度成長期にワークした年功序列や終身雇用制度などのビジネスの仕組みは、今もあまり変わってはいません(多少の変化はありますが)。そして、彼が絶賛していた日本人の勤勉性は、未だに英語も話せず、ITの人材も少ないということを鑑みるに、ここは悪いほうへ変わってしまったように思います(ハングリーではなくなったからなのでしょうか)。

環境の変化に合わせて、先見の明をもって変わっていかなければならなかったわけです。



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