母は掃除機の首の伸ばし方を忘れる 1/14
夕方、実家に行ったら書斎の机の上に、昨日(木曜日)きたヘルパーさんからのメモと、メモの上にスポンジが置いてあった。なんだこりゃ。
(何故か昨日はここにはなかった、多分母が自力でなんとか解決しようと試みたから?)
「お風呂用のスポンジ。たわしをお願いします。」
……。
母が置いたのは、どう見ても証券会社からタダでもらった食器用スポンジである、これじゃなかろう。
うちにも風呂掃除用ブラシとスポンジはあったと思うが、ちょっと要求がわかりにくい。下手でも図解(絵)でもつけてくれるといいんだが。
ついでに、楽器を鳴らしていたら、真剣な顔で母が来た。
「あんた、私はね。
とうとう、明日あさってに、最後に残った投資信託を売ろうと思うんよ。
そしたらあんたに半分やるけんね。」
私も真面目くさって回答した。
「うん、お母さん。
明日と明後日はね。
土日。
証券会社休み。」
「あ?土日ね!
全然気づかんかった!」
あっそう。
多分月曜には気が変わってる。
半年前から売る売る詐欺で聞き飽きたので、そのまま持っておいてくれて良いと思う。
そして帰る直前。
「あんた、帰る前に掃除機見て!
伸ばし方が分からんのよ!」
伸ばし方ってなんだ。
見てみると、掃除機の首が、ちょっと押し込まれて短くなっていた。
このボタン部分を押したら伸長できるタイプなので説明はしたが、まあまたすぐ忘れる。
しかし、それよりも気になることがある。
あんた、ペースメーカーで、医者から振動の強い電気機器、つまり掃除機はかけるなと言われてなかったか。
しかしいくら言っても聞かない上に忘れるし、使ってもピンピンしているので、野放しである。
さらに戸建てで良かったと思うのは、こんな夜の時間帯の掃除機である。
マンションとかだったら確実に苦情が出てる。
まあ、母の生活はぼちぼちである。
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