父の葬儀とこぼれるお米 11/22
11/22、父の葬儀の予定は午前10時であるが、母の身支度に時間がかかるだろうから、午前8時には実家に行って、9時前には連れ出そうと言って行動していた。
出発間際の午前9時直前。
斎場に直行するとばかり思っていた母方の親戚、伯父(母の姉の夫)と従弟が来た。
礼服に着替えるのにうちの実家を使わせて欲しいという話で、別に問題はないのだが、何しろ田舎の人で老人なので、伯父は普通に案内される前から私が掃除した父の書斎に入って寛いでいたので、悪気は無いが父の部屋を掃除していて本当に良かったと思っていた。
あと、伯父は米屋をやっているので、米を3袋持ってきてくれたのだが、車から下ろした時、「車に米が散っちょる、穴が空いちょる。」と言った後、「まあいい。」と言ってドアを閉めていた、おいちゃん?
伯父と従弟が来てくれたため、私の車に5人(母、兄夫婦、うちら夫婦)乗るところだったところを、従兄に母を乗せてもらう。
分乗以外に、伯父と母でもう亡くなっている伯母(母の姉)の話でも出来ればと思ったのだが、どうやら母は、車中で伯父に
「もういくつになられます、もう90?お元気ですね」
と3回以上繰り返して聞いていたらしい。
伯父は優しく相手をしてくれたらしいが、なんかすまん。
斎場に着いて、受付、そして式が始まる。
式自体は雰囲気の良いものだったのだが、それとなく親戚には出欠を取ったにもかかわらず、急遽葬儀に2名増え、火葬場にさらに3人増えた。
参列してくれるのはマジで嬉しいのだが、不意打ちはやめろ、弁当と席が足りない。
キリスト教の葬式では讃美歌と頌栄を歌うのだが、讃美歌のセレクトは牧師にお願いした。
それから献花と、棺を花で埋めて、故人の好きだったものを入れる。
とりあえずセレクトはこれ。
①リンドールチョコ
②講談社ブルーバックスの量子力学の本
③楽譜
以上である。うん、これ以外無いな。
いよいよ火葬場に出発だが、霊柩車には一人しか乗れない。
まあ母しかいないのだが、ここでトラップ。
火葬場には火葬代金の二万五千円を持参しないと受け付けられないそうなのだが、事前に袋に書いて持たせておいたにもかかわらず、車に乗り込む直前、母がハンドバッグから金の入った袋を掴みだし「このお金はなんね?あんた持っとって!」と渡してこようとする。
持たせる。意外と危機一髪。
火葬場は、街の外れにあって今の季節は紅葉が美しかった。
火葬場では、焼く間に待つため、待合室を借りて皆で弁当を食べる。
普通の会食ができない時期なので、久しぶりに親戚が集まったと思う。
足の悪い高齢者もいたので車椅子の貸し出しがあったのは本当に助かった。
葬儀はこうやって午後三時ころ終わった。
家に帰ってひと段落着いて、この日の夜の便で、義理の姉は帰る。
母の状況があまり良く無いのもあって、兄は木曜日(11/25)まで忌引きを取ったが、義姉には他に用事もある。
夜は空港のレストランで5人揃っての最後の食事をして、義姉を見送ってから帰宅する。
こんな日でも、母の首の洗いと張り替えはある。
一種の葬式ハイ状態になった母が、もう今日はいいと言い出したり、説得に時間がかかったりもしながら、伯父が持ってきた米を半分もらって帰ったら、袋に穴が空いていて米が床にこぼれた。
…その時点で思い出した。
おいちゃんが、「穴があいちょる、まあいい。」と言ってた、空いてた。やられた。
トラップだった。
投げ銭歓迎。頂けたら、心と胃袋の肥やしにします。 具体的には酒肴、本と音楽🎷。 でもおそらく、まずは、心意気をほかの書き手さんにも分けるでしょう。 しかし、投げ銭もいいけれど、読んで気が向いたらスキを押しておいてほしい。