かまどキッチン『遊星からの音楽.zip』稽古(たちくらようこ)
6月はじめのある夜、かまどキッチンの、NEO表現まつりZでのステージに向けての稽古にお邪魔しました。
かまどキッチンは劇作家・演出家・俳優の児玉健吾さん、制作の佃直哉さんが共同主宰を務める劇団。坂田機械さん、おにぎり海人さんを加えた4人がメンバーです。
ペン先が予想より太かったため、児玉さんのお名前は本気のサイン仕様。
坂田さんの担当は、児玉さん曰く「音楽、デザイン、ほか大体なんでも」。かまどキッチンでいちばん人当たりが良いのも坂田さん(これも児玉さん評)
『遊星からの音楽.zip』はNEO表現まつりZでのステージ。執筆中の新作のワークインプログレス上演+トーク、という内容です。
台本を印刷
まずは児玉さんが書いていた台本を印刷。
未完結で、A4の2段組で7ページ。なかなかボリューミー。
が、よく見ると、「開場中」「イベント開幕」のシーン?が2ページ半もあり、その後にやっと作品上演開始、とあります。上演前に一体何があるのかというと・・・
ゲーム業界で新作タイトルのプレス発表をメーカー主催のイベントとして行うことがあるそうなのですが(カンファレンスというそうです)、NEO表現まつりZでの『遊星からの音楽.zip』も、かまどキッチン最新作のカンファレンス、体験版試遊会として行われるのです!
作品上演開始までの時間、溌剌としたスタッフが案内してくれたり、プロデューサー(佃さん)やクリエイティブディレクター(児玉さん)のプレゼンがあります。そしてもちろんイベントあるあるのノベルティも!ステッカー、ショッパーに加え、ワークイン上演台本や企画書まで、来場者にプレゼントしてくれるそうなのです。豪華☆彡
でも・・・こんなに豪華なノベルティ作っちゃってお財布大丈夫かしらと心配になってしまったのですが・・・
今回は劇団メンバーだけだからお金があまりかからない、浮いた予算をどうしようと協議した結果、「全員一致で "物販"」となったそうです。じゃあしょうがないね!
「物販じゃないや。売ってない…」佃さん、気づいてしまった。でもまあ大勢に影響はありません。
インターバル1
本日のおやつ
坂田さんと佃さんはさっそく栄養成分をチェック。おふたりともダイエットアプリあすけんユーザーで、アイコンもお揃いなんだとか。児玉さんがあすけんを始めるときはアイコンを渡すから連絡して、と言われているそうです。
休憩中もずーーっとにぎやかな皆さん。
謎の固有名詞で爆笑してると思ったら、大学の先輩にあたる有名演劇人の、在学中にやっていた劇団の名前なんだそうです。その頃にもう今でも再演される作品を作ってらしたのですが、当時のブログの雰囲気が今の作風と全然違っていて、この人も学生の時はこんなだったんだー!俺たちと同じだー!と思ったりしていたそうです。
でも。先輩とはいえけっこう年齢が離れているので、同じ時期に大学にいたりはしないはず。にしては生態に詳しい理由を、児玉さんが教えてくれました。かまどキッチンのメンバーは、それぞれの趣味のコミュニティを持っていて、オタクトークはとっても得意。今日のこのメンバーは、演劇が共通の趣味の演劇オタクとして盛り上がれるのだそうです。なるほどオタク的に知識を深めているのですね・・・!
読みます!
「違う価値観の話を5個やろうかな、独立した5篇をやろうかな」という意図で児玉さんがかいたこの戯曲。場面01は神話で、場面02はちょっとラブコメ、とのことなのですが・・・?
ト書きを佃さんが、セリフを児玉さんと坂田さんが交代で読むスタイル。開場中から2幕の途中までを一気に読みました。所要時間は15分もないくらい・・・でもその15分で!情報で溺れそう!!所要時間と情報量が見合ってません。脳にUSBを差し込まれて激重ファイルを3つ注入された気分です。
上演開始前と場面01と場面02が、月9と大河ドラマとみんなのうたくらいに別世界。しかも場面01と場面02は、大河ドラマの1000年後は月9の世界になるように、うっすらと確実に繋がっているのです。で、1000年前のある出来事が月9の社会の元になっているという・・・壮大!!
「日本の緩やかな迫害を描こうと思って」と、児玉さん、佃さんが話してくれたのが「共感格差」。共感を得たものが強くなり、共感を得られないものは過剰に攻撃される。SNSをイメージするとわかりやすいかと思います。スケールは壮大なのに、今を生きている人の痛いところをついてきます。
ところで。照明・音響・映像のオペレーション含め、参加メンバーは3名。一方、同じ場面に登場するキャラクターは3名以上。どうやってこの話を3人でやるの・・・?かはインターバルののちに!
インターバル2
坂田さんのipadを囲んでワイワイ。坂田さんの描いたキャラクターのイラストで盛り上がっています。「質感が違うのがいいな」「ひっくり返ったりしてほしい」かまどキッチンのフライヤーはじめグッズや劇中の音楽、映像などを一手に担っている坂田さん。坂田さんのiPadに保存されている数々のキャラクターのイラストを凝視しながら「かまどキッチンキャラクター選手権したい」「ランキングしてグッズ化したい」どんどん出てくる企画案。
坂田さんはニコニコとイラストを披露しつづけ、児玉さんと佃さんは稽古中と同じくらい喋りつづけ、そしてそのままワイワイが落ち着くことなくインターバル終了・・・え、今ので休めてます?!
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再開
クリエイティブディレクター児玉さんから、この戯曲をどうやって上演プランの発表です。
さっそく坂田さんから質問「ここで曲が欲しいとか、言いますか?」児玉さん「じゃ言いましょうか」坂田さん「ヤッタァ」。
この後すぐこの会話の大事さがわかりましす・・・
客入れの音楽は坂田さんのストックから、開場中流し続ける映像も必要。音声ガイダンスと生身のスタッフはレイヤーが違う、ディレクターも異化されたものにしたい、坂田さんは生身でフィクションを担う存在、ここで切り替えのSE、この手のSEが曲より必要になる気がして、あ、この映像は撮らなきゃ、ロケする?あ、ウェルカムシートも!ここは体でやっちゃっていいと思って、何を出そう、ぬいぐるみ?この役は音声にして、この役は坂田さんにやってほしい、音声多用する感じかな・・・
続々と発表されるプラン、というか、映像・音楽・美術担当でしかもいい声の坂田さんの多岐に渡るTODO。しかし坂田さん全く動じていません。頼もしさ尋常でない。
佃さんから現実的な観点の発言「おぐセンでやれる規模に・・・」。
会場のおぐセンターは正式な劇場ではないうえに、他のステージ作品と毎回入れ替えるので、準備が大変な装置は使えないのです。
というわけで、まつりZの他ステージの美術プランを偵察してみると「美術はありませんが〇〇を置きます」「照明なし・舞台美術なし」・・・
佃さん「俺ら、ゴリゴリ仕込もうとしてるね」。でも他に合わせて規模を小さくする気は全くなさそう。運営の皆さんファイトです!
プランを発表し終え、今後の稽古の予定を確認して、本日の稽古はおしまい。溢れかえる情報が心地よかったです。児玉さん、佃さん、坂田さん、ありがとうございました。
かまどキッチン『遊星からの音楽.zip』は残り2ステージ、6月28日(金)15時〜と29日(土)11時〜。どちらも会場はおぐセンター2階です。お見逃しなく!
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