TeXi’s ファジー『ours』稽古(たちくらようこ)
8月のある朝、TeXi'sの稽古に伺いました。
TeXi'sは、テヅカアヤノさんが主宰する劇団。男女二元論が生み出してしまっている「加害性」について考える1年間のプロジェクト「ファジー」を実践中で、今日はプロジェクト内で上演する3作品のうちの2作品目『ours』の稽古です。
集合
丸くなって座るみなさん。
テヅカさん「元気です。昨日の帰りに、子供用のキリンのTシャツが売ってて・・・」一目惚れTシャツを買うべきか迷っている話をしおえると、右隣に振りました。お、これは順番に体調とひとことを述べるやつですね!
まずは右隣、
「靴下が裏返しなのにいま気づきました」とひとしきり恥ずかしがったのち、昨日の夜、料理をする気持ちになってお弁当を作ったけれど、今日は食べるタイミングがないことに気づいて、朝食べてきました、という話。焼きうどん、美味しそうです。
ちょっとしたご近所トラブルについて。どうしよう〜となっていたのが、皆さんのアドバイスで急に解決の兆しが現れました!よかった!
グミ好きという渚さんは、ミント味グミの話。「美味しいんだけど、見た目が0点(笑)」一粒いただきました、美味しかったです!
右手に火傷をして、よく見たら怪我もしていて、このまま怪我が右手を上ってくるのでは??と懸念しているそう。
某有名害虫に強くなったきっかけを思い出した!という話。危機管理能力が300まで上がった瞬間だそうです。
TeXi’sのメンバーでもある古川路さんは、嵐の夜の話をしてくれました。ほっこりなよい話でした。
準備運動
皆さんが話し終わったところで、みんなでアップ!
アップ① ラジオ体操
なんだかとても個性的なラジオ体操が展開しております。
アップ② 筋トレ
「筋トレに向いた曲知らないんで無音で・・・」「喋りでつなぐ?」「しんどい!(笑)」「独断と偏見で昭和アイドル行きます!」
松田聖子をBGMに。たしかにこれは要BGMのハードなやつ。
アップ③ ストレッチ
各々のばしたいところをのばします。
12時の休憩
アップをおえてプチ休憩。
今日のおやつ
インドのキャラメルみたいなやつと、ベジタリアンステーキなるもの
今回、小屋入りまで2週間程のとっても短期集中な稽古期間で、その分1日の稽古時間が長めなんだそう。今日も11時から16時まで5時間。乗る場で行われる演劇の稽古ではかなり長いです。筋トレは毎回やっているそうで、古川さんによると「稽古場の周り走ってたこともある」とのこと。
稽古
再開時刻になると、急になんか始まりました!?!
テヅカさんが「箱早立て選手権みたい」というとおり、大きな箱型の骨組みが3つ、あっという間に出来上がりました。乗る場が狭い・・・!
出来上がった箱の間でシーンが始まります。あっちとこっちで別の会話が起こっていて、そしてどうやらケンカしてる?
1回やってみて、テヅカさんからディレクション。
「『先輩とか思ってねーし!』の『!』をとって、冷静に。こう(👊)にこう(👊)で勝とうとすると大変だから、裏取る方が」
「『頭わる』にダメージ受けた方がいいかな?」南風盛さん、はぁっ‼︎とダメージポーズをしてみせます。
それぞれの演技を調整、攻撃とダメージと反撃が有機的に、クリアになっていきます。「負の連鎖、起こしてこ!」
次のシーンでは
上手の3人が賑やかに話している一方、下手では静かな会話、そしてさりげなく合流します。
フィードバックでは、各チームのスピード調整。「下手の箱が倒れるくらいで、ジョウロウが始まるくらいがちょうどいいと思うんですよね」。スムーズに合流できるように目印をつけていきます。
休憩 13時
俳優さんたちは軽食タイム、おにぎりやパンでカロリー摂取。
稽古
時間になると、テヅカさん「自分の縄跳び決めて〜。何色にしますか〜?」
小道具のカラフルな縄跳びが、それぞれのマイ縄跳びを選んで、名前も書いちゃいます!
名前を書きながら、幼稚園で何組だった?トーク。「うさぎ、パンダ、ライオンでした」「食物連鎖って感じ(笑)」
シーン稽古
突然笑いだす皆さん!!
どうやら台本の未修正箇所が発見されたようです。
「そうじゃったねぇ・・・」と苦笑いなテヅカさん、「テヅカは10分、時間が欲しいです!」と宣言し修正開始。10分もたたないうちに「ディスコードに送りました」。早い〜!
20分休憩
「このあと結構大変、頭使う気がするので」というわけで長めの休憩。
その間に、台本を見せてもらいました。
上下二段組、でも上段の続きが下段というわけではなさそう、途中に縦線が入っていたりします。役名は基本的に俳優さんの名前なのですが、名字だったり、ニックネームだったり、ときどき絵文字だったり。どういうこと??
上段と下段では別の会話が同時に進行しており、縦線の箇所で合流するのです。先ほどの稽古のスピード調整はここでスムーズに合流するため。
また、物語はいくつものレイヤーが重なっており、しかも小刻みに切り替わります。どのレイヤーのシーン・人物なのか示すために、レイヤーごとに役の表記を変えているのだそう。
このページでは、下段では名字レイヤーの古川のモノローグ、上段ではニックネームレイヤーのさとと、もええ、つむむの会話が進行していて、縦線のところで一瞬合流し、下段は再びモノローグ、上段は、ニックネームレイヤーのなぎぎと名字レイヤーの南風盛の会話に変わるのです。
複雑な進行が可視化されています!発明!!
稽古
枠を動かす段取りを軽く確認してから、今日やったシーンをおさらい通します!
台本持ってるとはいえ、動かしたり移動したりしゃべったりレイヤー変わったり合流したり、忙しい・・・!
お片付け
フィードバック前にお片付け。
フィードバック&お疲れさま
テヅカさんからフィードバック。
「2人じゃなくて3人の会話に」「体の向きを意識して」「モノローグから情緒的なものを抜きたい」「その発語なら宝保さんに近づいてもいいかな、そうじゃないなら独り言の方がいいな」・・・ものすごい量!
明日以降の稽古予定を話し終えたテヅカさん、「どうでした?」と宝保さんに話をふります。
「急に回してすみません」と謝られながら、それぞれひとこと。「本見てるじゃない私~!」「早めにセリフ覚えます、がんばります」。俳優さんからは台本持ちながらの不自由に関するひとことが多いです。セリフを覚えきるまでのそわそわを抱えつつ、早く入れて次の段階のことしたい!という心意気を感じます。頼もしい・・・!
これで今日の稽古はおしまい!5時間みっちりの稽古おつかれさまでした。『ours』のみなさん、ありがとうございました、公演たのしみです☆彡
TeXi’s ファジー『ours』公演は、8月21日(水)〜8月25日(日)、横浜のSTスポットです。小さな劇場ですのでご予約はお早めに!
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