歌集「金平糖と夜とあたたかいもの」
趣味で短歌をつくっているんですが、昨年から1日1首を自分に課して真面目に実行していたら、1年半ですんごい溜まってしまったので、お借りしているシェアアトリエの定期イベントの当番を利用して発表しました。
31音分の言葉と想像力でなんでもやっちゃう短歌っていう表現が、好きだし素晴らしいと思っているのですが、文字を表示する以外の現れ方があってもいいんじゃないの?と思いまして、展覧会みたいな歌集をつくっています。
🍏歌集「金平糖と夜とあたたかいもの」🍆
円盤に乗る場 月イチコンテンツ(β版)
日時 9月10日(金) 14時〜20時、11日(土)12時〜20時
会場 円盤に乗る場(田端駅徒歩20分・宇都宮線尾久駅、都電荒川線小台駅も近い)
歌集引換チケット料金 1000円
※ご来場いただかないとお渡しできません。
ご購入 https://noruha.stores.jp/items/6129b6117acd160472ac2505
詳しくは 円盤に乗る場note をご参照くださいませ。
一首ごとに似合う声ってあるよなぁと思って、これは!という声の方に読んでもらって、音声を展示しました。これと一緒にあったらよくない?というのもあって、絵とか、金平糖とか、月とか、アロエとかと展示したのもあります。はじめて文字を刺繍しました。あと、お客さんをソファーに座らせて、富岡町の仏浜からみた海の映像を見せながら、肩を揉みました。
こちら、展示した短歌です。
愛猫
海見たいっていうから昨日恋人と江ノ島行った的猫自慢
写真 山崎健太
リベラルキャピタリズム
池袋じゅうにユニクロはいくつあるのだろうか晴れるだろうか
屋上庭園・かがやく・星になる
池袋西武の屋上庭園に今夜天使が降るって噂
昨日見た月に厚みがあることと金平糖に棘があること
新宿の静かな夜のつきあたり砕けた星が散らばっている
夏の色・雲・日だまり
おそらくはこんな夏色 初恋の人とあなたのものだった海
いつまでも浮かんでそうなあの雲もゆっくり進むあるいは消える
もう君と座っていたい陽だまりがみあたらなくてもうすぐ終わり
声 北村美岬・蜂巣もも・大石将弘
絵 渡邊織音
記憶
アルバムに載せない顔は消えるからやたら美人な記憶のあなた
モデル たむ(雑種)
はなうた
お風呂からはなうたと湯気こっそりとベランダで吐く煙をつつむ
声 秋元菜々美
深く冷たい
シーラカンスあをに染まれぬ鳥よりも深く冷たい孤独を生きて
山手線の駅の内側
新宿に見えぬくらいの雨が降る人身事故の翌日の朝
足立区を滅ぼす朝もローソンでカフェラテ買うか迷うと思う
昇っても喜ばれない朝があることにそろそろ気づけ太陽
生き方と自分らしさを探す間に終わってそうな僕の一生
それぞれの目盛りで空気測りつつ微妙に関係してる円たち
白黒をつけたくなくて存在が曖昧な服ばかり着ている
すれ違う君は他人の顔をして僕はなんでもない人になる
もう二度と会わないひとにまたあした、と言って別れる日もあるでしょう
溜め息をつけ引き換えに息を吸え遊ばせておけ幸せなんか
新しい服を得るとき少しだけきらめく生きる気力がうざい
ここにいたはずの誰かに会いたくて乾いた海をただよう渋谷
ぼそぼその雨 自販機にコーヒーを補充する人 遠くの夜明け
声 林ちゑ・蒼乃まを・今井新・中條玲・渋木すず・遠藤麻衣
日和下駄・加藤仲葉・辻村優子・落雅季子・西山真来・カゲヤマ気象台
ふりかえる
もう君の名は呼ばないよふりかえるときの不思議な目が好きだった
祝福
手を洗う二十秒間バースデイソングを歌うはるかな君へ
肩
消毒をしてから細い肩を揉む
潮風
君が嫌いだった海だよ潮風の匂いが喉に肺腑にからむ
声 小山薫子
<初出>
Twitter @shimejitachi @101213hiyara
Instagram yokotachikura
屋上と短歌オンライン1
COVID-19句2021
<ありがとうございました>
さやまさん、こゆっきー、なかちゃん(相談係)、げたくん(書籍版歌集のデザイン)、藏下くん、黒木さん、カゲヤマさん(留守番係)
サポートしていただいたお金は、なにかしらの文章や短歌を制作していくための研究費、パフォーマンス作品の制作費・研究費にします。