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譜面絵画『良いキャンペーン』の稽古(たちくらようこ)

5月はじめのある夜、譜面絵画『良いキャンペーン』のお稽古にお邪魔しました。

譜面絵画は、乗る場に4月に加入したばかりの、三橋亮太さんが主宰する劇団。今日は5月下旬からアトリエ春風舎で始まる公演のお稽古です。

←作・演出の三橋亮太さん
演出助手の谷平絵梨さん→
キャストの皆様

新田佑梨さん、西山真来さん、西村由花さん、高橋星音さん。もう一人のキャスト・林ちゑさんは今日はお休み。

まずは、昨日劇場の下見をしてきた三橋さんのスマホを覗き込みながら、丸くなって舞台の説明。同行した美術さんもアイディア盛り盛りだったそうです。

ぐるり

衣装は、キャストごとのパーソナルカラーになるそう。というのは、三橋さんによると「目の端に映った時に誰々さんってわかるように」ということで・・・?新田さんも「遠いからなぁ」・・・?

ふつう舞台エリアはお客さんからはしっかり見えるし、劇場はそんな広いところではなかったはず。不思議なことをおっしゃる・・・?

丸く座ったまま、お喋りタイムが始まりました。三橋さんがお題を振ります。「GW終わりましたね。なんかしました?どっか行きました?」

谷平さん「終電を逃してLOOPで家まで帰るっていうのをやりました」「来年はキャンプに行きたいな」アクティブ〜!

サンリオキャラクター大賞の結果発表イベントに応募した、という話から、高橋さんにサンリオ事情を詳しく教えていただきました。サンリオの名誉会長(今年96歳のおじいさま)の可愛いエピソードを聞いて、西山さん「その人のイメージでやろう、あの人」サンリオが演技プランに影響しています。

サンリオ企業推しの高橋さん
キティちゃんTシャツ!

新田さんは、公開中の映画『悪は存在しない』を観たよという話をしてくれました。「すごく良かった」と5回は言ったので、すごく良かったんだと思います。観なきゃ。

西山さんは連休中に職場で起こった災難について。これは・・・すごい・・・災難(泣)

三橋さんは「遊戯王の大会に行こうと思ったんだけど二度寝して行けなかったので・・・小屋入りの3日前に予約して、行こうと思って♪」遊戯王のカードゲームがとっても好きということが判明しました。

再現:遊戯王との馴れ初め

ハトコの悪いお兄さんが箱いっぱいのカードを見せてくれたシーンです。

休憩

遊戯王じゃないゲームで盛り上がっていました。仲良し〜☺︎

シーン稽古

三橋さんが、ヒソヒソ声で稽古開始を宣言。端々にお茶目さがのぞきます。

見る人は中央に座ってくださいと言われたのですが・・・中央?え、ここ?劇場の真ん中に客席があるってことですか?どういうこと??

ここは部屋の真ん中

みなさんの背中の後ろには、前側と同じくらいの隙間があります。
ドラマトゥルクの小野晃太郎さん(左)も加わって、稽古開始!

新田さんがみんなの飲み物を持ってきてくれたけど、西山さんの分を落としてしまって、わ〜〜〜っていうシーン。

わ〜〜〜〜〜

飲み物を落とした瞬間、大丈夫??って大集合(やさしい人たちだ!!)

こういうことあるよねと思ったけれど、やりたいのはこれではなかったらしく、三橋さんが新田さんの動きを調整していきます。

「まじ謝罪してもらっていいですか」「(飲み物を)椅子に置いてもらっていいですか」
演技して、考えて、伝えて、の繰り返し。三橋さんも正解を知らなくて、じっくり吟味し探る時間です。

あ・・・

渡しそびれた新田さんの動きが整ったら、受け取りそびれた西山さんの動きを調整。
「取りに行くモーション、なしにしてもらっていいですか」「初期の真来さんの位置をこっち(新田さんから離れたほう)に」

飲み物を落とすシーンを整え終えて、続きのシーンを。高橋さんのモノローグの終わり頃、

西山さん「移動か、ここで移動なのか!」

移動して

高橋さん、西山さん、西村さんの3人の短い会話ののち、また移動!

西村さんと西山さんの2人のシーン

短いシーンがいっぱいで、舞台の地形もややこしくて、移動する場所とタイミングを把握するのが俳優さんこれは大変だー!!お客さんもあっちあっち見たりこっち聞いたり忙しい、けど楽しい〜

一通りシーン稽古をおえたところで、20時から荒通しをします!
荒通しとは!開演から終演までやってみましょうか、それで全体像を把握しましょうか、でもまだ稽古したてだから段取りやセリフを間違える前提で、「プロンプありですので、困ったら手を挙げていただいていいですか」というサポートありの通し稽古です。
※プロンプ=プロンプターの略、セリフをこそっと教えてくれる人のこと。手を挙げればプロンプ係の人がこそっとセリフを囁いてくれます!

休憩&通しの準備タイム

ソワソワしはじめる女優たち

譜面絵画メンバーで制作の河﨑さんも到着、一緒に通しを見ます。

右奥の黒い服の方が河﨑さん

俳優・観客ともにスタンバイ。

開演のあいさつがはじまって・・・

〜〜上演中〜〜

終演しました!パチパチパチパチ👏
遠くににいる人をみたり、後ろからの声をきいたり、初めての街を探検しているようでした。で、ときどき、土地に尊厳はあるんだろうかとか、自分はどういうふうに死ぬんだろうかとか、ふと考えてしまったりしました。

上演時間は60分、予定より短かったようなのですが、新田さん「移動があるからこれくらいじゃないと・・・」そうですね、本番の舞台は乗る場よりだいぶだいぶ広いですもんね!諸々込みで計画通りです。

休憩&ノートタイム

荒通しのごほうびおやつ

美味しいおにぎりの噂話をしたあとは、荒通しの所感をシェア。まずは俳優とドラマトゥルクの感想を。

新田さんは「ローな感じで入ってしまって・・・違う感じで行ってしまった〜」「悪い意味で地続きみたいな」シーンごとの演技の切り替えがうまくいかなかったようです。「悔しい!」

「なんでみんなこっち見てんだ?」

ていう状態が面白かった、という西村さん。進行中のシーンに出演していない俳優も舞台上にいて、セリフを言っている俳優を見ているのですが、たしかに、役じゃない共演者に同じ高さの舞台上で見られているって、俳優でもあんまりない体験。

終始ニコニコなドラマトゥルク小野さん

小野さんの感想は「土地が、この街が主役かも、と思って。亡くなる土地の走馬灯見てるみたいな感じで。街だから人間に対してスケールがデカすぎるからわかり得ない、みたいな不思議体験」観劇体験が深まる言葉です。

小野さんが「サービスエリアの上りと下りで見える景色が違う、みたい」と表現していた不思議な客席については、
三橋さん「席によってちょっとだけ体験が違う。どの席のお客さんもくすぐれたらいいなって思いますね」実際の劇場の広さを心配しつつも、「みんなライブの最前なんだけど最後尾」を目指すそうです。ワクワク♪

ガッツリノートタイム!

演出の三橋さんが、台本とスマホのメモを見比べながら、細かい演出を伝えます。

「むずいのはやっぱ(シーンの)繋ぎ目だったなぁっていうのは改めて」

発話のテンション、抑揚、切り替え、支配度、を細かくチューニング。

三橋さん「パーティのくだりねー、楽しすぎますよねー」
小野さん「めっちゃワクワクしちゃった(笑)」
楽しすぎシーンも調整しなければ。

時間が遅くなってしまったので、帰りの会を省略して今日の稽古はおしまい!(いつもは帰りの会というのがあるみたいです、学校みたいかわいい!)

みなさまお疲れ様でした、ありがとうございました✩

譜面絵画『良いキャンペーン』は、
5月25日(土)〜6月2日(日)、アトリエ春風舎で上演です!
見たことない春風舎を見られそうです。楽しみ楽しみ。



演出家が模索していて、俳優がわかんないなぁと思いながら一緒に模索している時間、本人たちは苦しくてモヤモヤして不安だと思うんですが、わたしはそういう時間を眺めるのが大好きです。

ばらばらな存在が、ばらばらである良さと悪さを抱えて、一緒にがんばっている時間だなって思って、なんかとても愛らしいと思うのです。悩んでいる譜面絵画は愛らしかったです(いじわるいですかね・・・?)

ドラマトゥルクの小野さんの荒通し後の感想もとっても良くて、
目の前のモヤモヤしか見えないよぅという俳優に、モヤモヤなんかちっちゃくて見えないくらいの広い視野で、どういう物語の中にいるのか教えてくれる言葉だなって思いました。そういうの聞くだけで俳優のモヤモヤは急に晴れたりしちゃいますよね。ドラマトゥルクってすごい仕事ですね!!

演出助手の谷平さんは元気いっぱいで、制作の河﨑さんはノリよくかつしっかり仕事してて、やぁバランスが良い、いいチームだなって思いました。

本番をみるのがたのしみです。

おまけ

食レポ中の三橋さん

真ん中のジャムの酸味が良いらしいです(譜面絵画、もっと食いしん坊キャラ出してってもいいんじゃないかしら?)

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